アウディスポーツは、アウディのLMDhプログラムが休止されたことにともない別のメーカーとのスポーツカーレースのプログラムを模索しているWRT(Wレーシング・チーム)とGT3カスタマーの関係を維持したいと考えている。

 今年4月、WRTのチーム代表であるヴァンサン・ボッセはSportscar365に対し、他のブランドとの話し合いを通じてプロトタイプレースに参加する野望を維持するための努力をしていると語った。

 また、GTレースでアウディを代表するチームのひとつとして何度も注目度の高いレースを制してきたWRTのボスは、必要があればGT3メーカーのスイッチも検討するとしていた。

 一方、アウディスポーツのカスタマーレーシング責任者であるクリス・ラインケは、WRTが今後もアウディR8 LMSを走らせることを望んでいる。

 アウディスポーツは今後数年間もWRTをパートナーとして確保するために動いているのか、との質問に対しラインケは次のように答えた。

「もちろん、そのように確認している」

「WRTは長年にわたる我々の主要なパートナーのひとつだ。私たちは、ともに成功を収めてきたことに非常に満足している」

「カスタマーレーシングの観点からは、アウディR8 LMSでの成功の路線を継続できれば非常に喜ばしい。WRTがその先を臨むでのであれば、それはうれしいことだ」

「それ以外の彼らの視点からの戦略的な可能性については、WRTだけがコメントできることだ」

 アウディのLMDhプログラムが中断されたことは、WRTとメーカーとの間に少なからず摩擦を引き起こしたようだ。

 しかしボッセは、このことが彼の組織のメンバーとアウディスポーツのGT3カスタマーレーシング部門との間に長年培われてきた協力関係とは無関係であることを強調した。

 両者はこれまで、トタルエナジーズ・スパ24時間や、リキモリ・バサースト12時間、ニュルブルクリンク24時間などの主要耐久レースでともに勝利を掴んできた。

 そのWRTは、マルチマチック製LMP2シャシーをベースとすることが確定しているアウディLMDhプロトタイプのメイン開発パートナー、およびファクトリーレースチームになる予定だった。

「WRTがチームとしての卒業を望んでいることは、一般的に見て明らかだと思う」とラインケ。

「彼らは現在LMP2プログラムを持っていて、ドライバーのラインアップを見ればわかるように、良好なパートナーシップで運営されている」

「その先にあるLMDhについては、(アウディの)プロジェクト側で伝えられているように、(初期とは)明らかに異なるプランとなってしまっている。それはWRTの将来の展望に役立たないかもしれない」

「その可能性は充分にあるが、アウディスポーツ・カスタマーレーシング側からはWRTと非常に強力で健全なパートナーシップを結んでおり、今後もそれが継続されることを望んでいる」

■BMWと接触したWRT。メーカーは口を閉ざす

 Sportscar365は、チームWRTがBMW Mモータースポーツと事前に接触し、両者が将来のプログラムオプションを描こうとしていることを理解している。

 BMWは、DTMドイツ・ツーリングカー選手権に用いたV8エンジンをターボ化したユニットを搭載したLMDhで、WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスへの参戦を検討していることが知られているが、チームRLLとのIMSA GTPでの2台体制以外のプログラムは発表していない。

 BMW Mモータースポーツ代表のアンドレアス・ルースは、先月スパ・フランコルシャンで開催されたWEC第2戦スパ6時間に姿を見せ、その一環としてWRTのガレージを訪れた。

「我々は公式にWECでのプログラムを考えていると言った」とルースはSportscar365に語った。

「市場にはいくつかの興味深いチームがある。WRTがどれだけのレースで勝ったかを見れば、彼らも我々と一緒に仕事ができる重要なパートナーのひとつになるだろう」

「しかし、ル・マンやWECのプログラムが承認されない限り、今のところ何も話し合うことはできないんだ」

 BMWがハイパーカークラスに参戦する可能性がある場合、パートナーチームがGT3など他のレースプログラムでBMWブランドを掲げる必要があるかどうかについて、「私たちはそれについて考えたことがない」とルースは述べた。

「私たちのGTプログラムには、かなり強力なチームがある。まずはWECに出るか出ないか、その判断をしなければならない」

「それから、(LMDhとGT3の)組み合わせが可能かどうかを考えなければならない。これらの話は現時点ではまだ遠すぎるんだ」