フェラーリF1のチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、チームの今シーズンの支出がF1の予算制限額である1億4000万ドル(約178億円)に「収まる見込みはない」と断言している。

 ビノットの主張は、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表や、マクラーレンF1チームのマネージングディレクターであるアンドレアス・ザイドルの、最近の同様の発言に続くものだ。急激なインフレ、エネルギーコストや運賃の上昇、世界的なサプライチェーンの問題によって、今シーズンはすべてのチームに大きな財政的負担がかかっている。

 F1の小規模チームが1億4000万ドル未満で運営されている一方で、大規模チームはすでにコスト制限に近づいており、制限を超えてしまうだろうと予測されている。5%以下の超過は『軽微な規則違反』にあたり、FIAから正式に戒告を受ける可能性があるが、コンストラクターズもしくはドライバーズポイントが没収されたり、レース出場停止処分が科されたりすることも考えられる。

 現在チームは、FIAがやがて起きる予算制限超過に対し、どのような制裁措置を取るのか把握できていない。一方でF1の小規模チームは、少数派ではあるものの、コスト制限額を引き上げるためのシーズン中のルール変更を阻止する力を持っている。

「我々は、制限以下に留まることはできない見込みだ。ある段階で超過することになると確信している」とビノットは土曜日にモナコで語った。

「レギュレーションには5%の境界値が設定されており、予算制限の超過額が5%を超えていなければ、軽微な規則違反とみなされる可能性がある。彼らがどのような罰則を科すかについては分からない」

「我々や他の多くのチームは、制限内に収めることができないと思うし、スタッフを解雇することが正しい選択だとは考えていない」

「すでに夏になっている。過剰な価格やコストに対応するための手当は十分ではない。どのようなことになるだろうか?」

「最も重要となるのは、多くのチームが規則違反をすることになるということだ。財務レギュレーションの点で非常に悪い状況になるだろう。我々が財務レギュレーションに違反しているのなら、財務レギュレーションが機能しているかどうかの議論が始まると思う。そうなるとあらゆることが議論に戻されるだろう」

 レッドブルのホーナーは、特定のチームがコスト制限を超えるのを防ぐための対応をFIAに促している。このような状況は、小規模チームが選手権の結果をFIAの控訴裁判所で争う事態につながる可能性があるからだ。

「もっと大きな視野で見なければならない」とホーナーは語った。

「これは不可抗力の出来事か? インフレを加速させている(ウクライナにおけるロシアの)戦争行為は、不可抗力の出来事になると私は考える」

「我々が本当に求めているのは明確さだ。なぜなら誰もシーズン終了時にパリの裁判所に駆け込んで、『彼は我々より100万ドル多く使った』などと言いたくないからだ」

「だから常識的な範囲で制限を設けなければならないと思う」

 一方で、F1の小規模チームの利益を守ろうと反論しているアルファロメオF1のフレデリック・バスール代表は、コスト制限を超える恐れのあるチームは、単にコストを抑えるべきだと述べている。

「エネルギーや運賃の値上がりがあったら、最善の解決策は風洞のスイッチを切り、毎週末にアップデートを持ち込むのを止めることだ」と現実的で率直なバスールは語った。

「このような状況なので、遅かれ早かれ我々は開発を止めなければならない。なぜなら予算が制限に達してしまうからだ。誰もが同じようにできると思う」

 アルピーヌF1のチーム代表であるオットマー・サフナウアーも、予算制限額の引き上げに反対している。

「ほとんどのチームが11月から12月に翌年の予算を立てるが、我々も同じだ」とサフナウアーは述べた。

「あの時点でインフレは7%以上になっていた。イギリスのRPI(小売物価指数)は7.1か7.2%だった。それを踏まえて我々は予算を組み、すべての開発作業を計画した。思っていたよりも少し高くなったが、それでもまだ制限内でやっている」

「我々は制限以下にあり、今年の終わりもそこに留まる予定だ。フレッドがまさに言ったように、我々は状況に応じて開発を調整する」

「そうできると考えている。意志のあるところに道は開ける。予算の上限を決めたのだから、それを守るべきだ」