スーパーGT第3戦鈴鹿、予選で19号車WedsSport ADVAN GRスープラは国本雄資がGTで自身初のポールポジションをレコードタイムで獲得。19号車としても第2戦富士に続いての2戦連続でのポールとなり、ヨコマハタイヤの進化と速さをアピールする形となったが、決勝ではオープニングラップからペースが上がらず順位を下げ、結局5位でチェッカー。タイヤのウォームアップ性能とともに、低い内圧でのスタートによるボトミングの問題が絡んでいた。

 前戦の富士で19号車は予選Q2を阪口晴南が担当してポールポジションを獲得したが、今回の鈴鹿ではQ2を国本が担当。第2戦と第3戦で予選の担当を入れ替えたわけだが、この戦略がまず奏功した。国本が2009年にGTに参戦して以来、初のポールポジションを獲得したのだ。19号車WedsSportの坂東正敬監督が戦略の意図を話す。

「2017年に(第6戦)夏の鈴鹿で予選2番手を獲得したとき、Q2を国本が担当していたんですよ。国本と鈴鹿の相性はすごくいいと思っていますし、Q2を担当するとなるとモチベーションもまた違ってくると思うので、彼にアタックを担当してもらいました。本当、今回は『国本様』のお陰です」

 その坂東監督の英断で見事ポールポジションを獲得した19号車だが、決勝がスタートするやいなや、オープニングラップからペースが上がらず、ミシュランを履く3号車CRAFTSPORTS MOTUL Z、ブリヂストンの37号車KeePer TOM’S GRスープラに順位を奪われ、序々に順位を下げてしまった。決勝開始直後、19号車はウォームアップの遅れとともに、ボトミングの問題を抱えていた。スタートを担当した国本が振り返る。

「ちょっとペースがきつくて、結構低内圧で走っていたので、ウォームアップというよりもボトミングが結構強かったです。130Rでは底を打ちまくって、(アクセルを)踏めて行けないんですよね。あと、鈴鹿は去年もすごくデグラデーションが大きくて、コンスタントに走れなかったというのもあったので、どちらかというと今回はエアロ(ダウンフォース)をたくさんつけて、タイヤへの負担を減らしてコンスタントに走ろうというコンセプトでした。でも、そうなると1周目の混戦のときにはストレートスピードが全然伸びなかったですね」

「うまくスタートは切れたのですけど、後ろのマシンにスリップに付かれると相手は5km/h以上速くて、どこをブロックしようとも簡単に横に並ばれてしまった。ロスが少ない抜かれ方を考えていたのですけど、オープニングラップで1台だけでなく、130Rで2台目にも行かれてしまった。うまくいかなかったですね」と、国本は苦しかった状況を話す。

 予選では燃料が軽くて周回数が少ないことから、内圧を高めにしてコースインするためウォームアップやボトミングの問題は出てこないが、燃料が重い状態でのロングランでは、状況が一変してしまう。内圧を低くスタートしないと、レース中にオーバーヒート傾向になり、セットアップが難しいようだ。さらに、今回のレースではFCY(フルコースイエロー)が3度、セーフティカーが2度入ったが、そこでペースが落ちるたびに19号車のタイヤの内圧も下がり、リスタートでは他社に比べてネガティブな要因になってしまった。

 それでも、スタート直後やリスタートに苦しんだとはいえ、結果は5位フィニッシュ。ライバルに比べて鈴鹿では劣勢傾向にあったヨコハマタイヤとしては、大きなステップアップと言えるのではないか。

「自分のドライビングでも、もう少し何かできたかもしれないですけど、内圧の低い状態でプッシュしすぎるとタイヤが壊れてしまうので、難しい状況でした。1周目、2周目はキツかったですけど、その後は結構コンスタントに走れた。鈴鹿でコンスタントに走れたというのは、かなり大きい収穫だと思います」と国本も手応えを感じている。

 坂東監督も、予選ポールからの5位に悔しさと手応えと、レース後は複雑な心境だったようだ。

「悔しいです。ひと言でいえば予選から4ポジションダウン。富士もそうですけど、1周目に内圧が上がるのが他社よりも時間が掛かってしまう。それでも、その後のペースは去年のレースペースよりも速かったですし、進歩しているところはある。でも、今回の上位3台とはまだまだ差がありますね」

「内圧とグリップのバランスが難しいので、これからの課題です。それでも、鈴鹿で5位という成績は(小林)可夢偉が1000kmで乗ってくれた時(2017年)の4位以来。1000kmの時と違って、スーパーGTの300kmレースは今はスプリントなので、300kmの鈴鹿の決勝で結果を出すというのは難しですけど、他社にちょっとずつ追いつけたかなと。予選と決勝で存在感を見せられたので、また課題を克服して頑張っていきたいです」と坂東監督。

 今季の19号車は3戦中2度ポールを獲得し、同じヨコハマタイヤを履く24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zも富士で予選2番手と、ヨコハマタイヤ勢としての勢いを見せつつある。第4戦以降はどんな戦いを見せるのか。GT500クラスのタイヤメーカーの競争がどんどん僅差の戦いになってきていることは間違いない。