2023年に向けて新たなル・マン・ハイパーカー(LMH)を開発、あるいは既存のGR010ハイブリッドを大幅にアップデートするのでは、という未確認の情報が飛び交うなか、トヨタGAZOO Racingのチーム・ディレクターとテクニカル・ディレクターは、同社のLMH車両をIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦させる予定はない、と述べている。

 IMSAおよびACOフランス西部自動車クラブとの“コンバージェンス(収束・収斂)”により、2023年からIMSAのトップカテゴリーとなるGTPクラスにLMHが参戦可能になることを受け、トヨタはデイトナ24時間レースなどウェザーテック選手権への挑戦に興味を示していた。

 だが、トヨタGAZOO Racingヨーロッパのテクニカル・ディレクターを務めるパスカル・バセロンは最近、「いまのところ、IMSAに参戦する計画はない」と述べている。

「とはいえ、現在ではそれが(規則上)可能であることは分かっている。その種のことが検討され、IMSAでレースをすることの実現可能性が議論されることになるだろうが、現時点ではその計画はない」

 バセロンのコメントに呼応するように、チーム・ディレクターのロブ・ロイペンも、ウェザーテック選手権の単独のレースには「いまのところ」出走しないだろうと述べた。

「我々は常に、WECがもっと多くアメリカでのレースをするようになれば、チャンスがあるだろうと考えていた」とロイペンはSportscar365に対し語っている。

「我々は、そこ(IMSA)での個々のレースにコミットしたことはないと思う」

「デイトナ、インディアナポリスには、一定の興味がある。アメリカには間違いなく、興味深いレースがある。だが私は、それが(WECの)カレンダーの一部として含まれるべきだと考えている」

 ロイペンはWECがアメリカでの第2のイベントを含むよう拡大することを望んでおり、そうすれば現在IMSAとWECが共催している『スーパー・セブリング』のほかにも、トヨタが参戦できるイベントが生まれることになる。

 WECのフレデリック・ルキアンCEOは以前、インディアナポリス・モーター・スピードウェイと初期の交渉を行ったこと、そして徐々に年間8戦というかつてのスケジュールへと戻していく計画を認めていた。

 ただし、デイトナにおけるウェザーテック選手権とWECとの共催レースは、現在検討はされていないものと思われる。

「来年は、(WECの)レース数を増やすことが検討されているのは知っている」とロイペン。

「これはいいことだと思う。そして、2024年にはさらなるステップへと進む」

「我々からすれば、8戦に戻ることはとても良いことだと思う。ル・マンはもちろん、“ザ・レース”だ。富士もあって欲しいし、スパもだ」

「セブリングは素晴らしいイベントだ。我々のドライバーは、特定のイベントを夢見ている。インディアナポリスはそのうちのひとつだろうと思う」

「個人的には、24時間レースをもうひとつ見たいね」

 2023年にこのグローバルなコンバージェンス・ルールを活用するLMHメーカーとしては、トヨタが最有力視されていた。手を挙げたグリッケンハウスはIMSAのロードカー生産要件を満たさないという理由で却下され、6月10日にティザー画像を初公開したフェラーリも2023年1月に新車をデビューさせる準備ができていないからだ。

 また、今年7月のWECモンツァ戦から新型LMHの『9X8』を投入するプジョーは北米で量産車を販売しておらず、IMSAに参戦するのであればステランティス傘下の別のメーカーへとバッヂを付け替えなければならない。

 IMSAの規則では、ウェザーテック選手権GTPクラスへの参戦のためには、LMDhメーカーと同様、LMH車両もノースカロライナ州のウインドシア社で風洞テストを受ける必要があり、参戦するメーカーは9月1日までに2023年の計画をIMSAに通知しなければならないとされている。

 またGTPクラスに参戦するすべてのLMH車両は、LMDh車両と同じく12月のIMSA公認テストへと参加する必要がある。

 ロイペンはIMSAに参戦するLMH車両について、「それがあるといいね」と述べている。

「それを行うかどうかはマニュファクチャラー次第だ。IMSAがそれを阻止するとは思えない。それはコンバージェンスの考え方ではない」

「我々(のクルマ)は、その対象にはなっている。プジョーでもいいし、フェラーリでもいいはずだ」

「それを行うか否かは我々次第だ。だが、その計画はいまのところ、我々の“レーダー”には映っていない。残念ではあるが、そういうものなんだ」