6月11〜12日にフランス、ル・マンのサルト・サーキットで行われた第90回ル・マン24時間レースで、10年以上ぶりに2台そろってのリタイアを喫したLMGTEプロクラスのコルベット・レーシング。首位争いのなか、LMP2車両にヒットされレースを終えた64号車シボレー・コルベットC8.Rのアレクサンダー・シムズは、「トロフィーに手をかけたような気がした」と語っている。

 シムズの64号車は、AFコルセの51号車フェラーリ488 GTE Evoとクラストップを争っていた残り6時間、ミュルサンヌ・ストレートのデイトナ・ヘアピンを立ち上がったところで、フランソワ・ペロードがドライブしていたAFコルセ83号車オレカ07・ギブソンと接触してコース左側のガードレールに激しくクラッシュ。レースから脱落することとなった。

 このアクシデントの直前、序盤からサスペンションに問題を抱えた後、複数のメカニカルトラブルにより、姉妹車の63号車もリタイアを決定していた。

 WEC世界耐久選手権におけるフルシーズン・ドライバーであるトミー・ミルナー、ニック・タンディとともに64号車からエントリーしたシムズは、この高速クラッシュにもかかわらず、怪我を負うことはなかった。

「すごく、ものすごく残念だ」とシムズは語っている。

「レース序盤にはちょっとしたトラブルがあったけど、それになんとか立ち向かうことができたし、あのような周回を重ねられるほど、僕らのペースはセンセーショナルだった」

「マシンはとても良く機能していたし、とてもうまくハマっていた。レースへと戻り、ピットストップではフェラーリに対してアドバンテージがあるポジションにつけることができた。すべてがうまくいっていたんだ」

■「本当に酷いことをしてしまった」と接触したペロード
 シムズはアクシデントの瞬間を「ストレートを走っていたら、プロトタイプの1台がミスジャッジをしてしまったんだ」と語っている。

 ブロンズドライバーのペロードとAFコルセのチーム代表であるアマト・フェラーリは、事故後コルベット・レーシングのガレージを訪れ、この事故について謝罪した。83号車は事故の責任があるとして、3分間のストップペナルティを科せられた。

 ペロードはアルガルベ・プロ・レーシングの45号車オレカも含めた3ワイドでの走行において、「判断ミス」があったと認めている。

「僕らは3ワイドで走っていたんだ」とペロードはTVのインタビューに応えている。

「右隣の(アルガルベ・プロの)マシンが少しステアリングを切ってきたが、僕はこの時点でコルベットを抜いたと思っていた。だから僕も左にハンドルを切った。そこで道路はわずかに曲がっていた」

「フェアになろう。言い訳はできない。とんでもないミスを犯してしまったんだ。小さな動きが、大きな結果を生んでしまったということだ」

「だから僕はコルベットに謝らなければならなかった。それが僕にできる最低限のことだ。いまの段階では、何も彼らの気持ちを晴らすことはできないのは分かっている。本当に酷いことをした。僕にとっても、彼らにとっても……もちろん、とりわけ彼らにとってね」

 コルベットは2台に問題が発生する前、最初の数時間をコントロールしていた。

 だが、63号車のジョーダン・テイラー/アントニオ・ガルシア/ニッキー・キャッツバーグは、左リヤサスペンションの破損を修理するため長時間をガレージで過ごし、10時間目にはディフューザー交換のためにストップしていた。

 チームの発表によれば、「目に見える、あるいは見えない重大な機械的損傷をマシン後部に受けた」ため、18時間を前にリタイアを余儀なくされたという。

 また、クラッシュによりレースを終える前の64号車は右リヤのホイールアーチにデブリが溜まり、早いタイミングでのブレーキ交換のため、予定外のガレージ入りも強いられていた。

「僕らのレースは、一瞬のうちに終わってしまった」とシムズ。

「コルベット・チームはとても頑張っていたので、とても残念だ。トロフィーに片手をかけているような気がした」

「レースは僕らのものだったし、何も悪いことはしていないんだ。とても残念だたけど、楽しかったよ」

 コルベットのル・マンでのダブル・リタイアは、予選でこのカテゴリーのフロントロウを独占した2010年以来のこととなる。さらに今年のル・マンは、LMGTEプロクラスの最終年でもあった。

「多くのことがうまくいかなかった。スタートはとても良かったけどね」とテイラーは語っている。

「僕ら63号車は最初の6時間を快適にリードし、ある程度コントロールできているように感じたし、自分たちの計画を実行できていた」

「残念ながら左リヤに何らかの不具合が発生し、ピットに戻ってきたときには他のパーツもたくさん壊してしまっていた。そのせいで、修理に時間がかかってしまったんだ」

「そこから、クルマを襲ったひとつの問題が他のメカニカルトラブルを引き起こしたので、修正してクルマのバランスを取るために、何度もピットインしなければならなかった」

「あの件の後、マシンは決して元には戻らなかった。ずっとバランスが少しおかしかったんだ」

「それは自分自身を少し危険にさらし、他の人のレースを危険にさらすことになる。リタイアは正しい判断だったと思う」

「僕らは普段は決してあきらめず、常にそれを修正するために努力するが、この日は克服するには少し多すぎたようだ」

「64号車がレースをコントロールし、素晴らしいリードを保っていたのに、あのような結果になったことは、とても受け入れられるものではない」