7月16〜17日、2021/2022年ABB FIAフォーミュラE世界選手権“シーズン8”の第11戦、第12戦となるニューヨークE-Prixがアメリカ・ニューヨークで開催され、第11戦はニック・キャシディ(エンビジョン・レーシング)、第12戦はアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(DSテチーター)が優勝を飾った。

 シーズン後半戦を迎えた2022年のフォーミュラEは、ここからアメリカ、イギリス、韓国でのダブルヘッダー3レースでチャンピオンシップが争われる。まずその初戦となる第11戦のポールポジションを獲得したのはキャシディとなり、2番手にストフェル・バンドーン(メルセデスEQフォーミュラEチーム)、3番手にはルーカス・ディ・グラッシ(ロキット・ベンチュリ・レーシング)が続いた。

 予選の雨から一転して7月のニューヨークらしい蒸し暑いコンディションとなった決勝では、ポールシッターのキャシディがまずは好ダッシュを決める。対して2番グリッドのバンドーンは出遅れ、ディ・グラッシとセバスチャン・ブエミ(ニッサンe.ダムス)の先行を許す展開でスタートを迎えた。

 トップのキャシディはアタックモードが解禁されるとコーナーアウト側に設けられたアクティベートゾーンに進み、これでディ・グラッシが隊列をリードするも、直後にディ・グラッシもアタックモードに入ったため、再びキャシディがトップに立つ。

 レース残り17分、ブエミをかわして3番手を走行するバンドーンがディ・グラッシをオーバーテイクし2番手にポジションを上げる。しかしディ・グラッシも食らいつき、2周後の1コーナーで2番手の座を取り戻すと、ロビン・フラインス(エンビジョン・レーシング)もこれに続き、バンドーンは4番手に後退してしまった。

 この2番手争いがヒートアップしている間に先頭のキャシディはリードを広げにかかりレース残り10分を迎える。しかし、ここでコンディションが一転し、激しい雨がサーキットに落ち始めてくる。雨はまるでゲリラ豪雨のように一瞬で激しいものとなり、レース残り8分というところでフルコースイエロー(FCY)が提示された。

 しかし、このFCY提示とほぼ同じタイミングでキャシディ、ディ・グラッシ、バンドーンという上位勢が1コーナー進入でアクアプレーニングからかコントロールを失いクラッシュしてしまう。これでレースは残り7分30秒を残して赤旗中断となり、そのまま終了が宣言された。

 上位陣では唯一フラインスがクラッシュせずに1コーナーを通過していたが、レースの最終順位は終了から1周前のポジションが適用されることになり、キャシディがフォーミュラE初優勝を手にした。2位はディ・グラッシ、3位はフラインスとなり、エンビジョン・レーシングがワン・スリーフィニッシュとなっている。

 トップ走行中のクラッシュから優勝という天国と地獄を味わったキャシディは、「最初はとてもがっかりした」とレースを振り返った。

「今日はすべてうまくいったように思えたし、残り10周で優勝を決めたように思えたのに雨が降ってきたんだ。(優勝を知ったとき)ガレージで『本当にいいのか、いいのか!』と言ってしまった。あまり多くを語るのは難しいけれど、優勝は本当に嬉しい」

 そんなキャシディは翌日の第12戦の予選でも速さをみせて連続ポールポジションを獲得する活躍を披露。しかし、予選後にバッテリーパックを交換したことでペナルティが科されたことによりダ・コスタが繰り上がりのポールスタートとなる。

 レースのスタートではダ・コスタが完璧なスタートをみせてシムズとバンドーンを引き離す一方、3番グリッドのアンドレ・ロッテラー(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)のマシンが動き出せずにポジションを落としてしまう。

 5周目になると、シムズ率いる2番手集団はダ・コスタを0.5秒差まで追い詰めるもオーバーテイクするまでには至らず、アタックモードのアクティベートゾーンを通過した後もダ・コスタが隊列をリードする。

 23周目にはバンドーンがシムズのインに入り2番手に浮上すると、その勢いのままトップのダ・コスタを追い、ファイナルラップにはテール・トゥ・ノーズまで迫るもダ・コスタは冷静なドライビングを披露してトップチェッカー、今季初優勝を達成した。

 ドライバーズランキングではバンドーンが155ポイントで首位となり、エドアルド・モルタラ(ロキット・ベンチュリ・レーシング)が144ポイントで2位、エバンスが139ポイントの3位につけることになった2022年のフォーミュラE。次戦は7月30〜31日にイギリス・ロンドンで第13&14戦のダブルヘッダーレースが開催される予定だ。