当初予想されていたよりも時間はかかったが、ミック・シューマッハーは今、確実に進歩を遂げつつある。F1イギリスGPとオーストリアGPの両方でポイントを獲得したシューマッハーは、この2連戦において最も注目されたドライバーのひとりだった。

 2021年にハースからF1にデビューしたシューマッハーは、同じルーキーのチームメイト、ニキータ・マゼピンよりも速く、安定感もあった。比較的スムーズなデビューイヤーを過ごした後、今年、マゼピンと入れ替わる形で経験豊富で速さのあるケビン・マグヌッセンが加入すると、シューマッハーは苦戦するようになった。

 シューマッハーは最初、マグヌッセンが加入したことによる環境の変化にうまく反応できなかった。ふたりは良い関係を築いているが、シューマッハーはマグヌッセンに匹敵する速さを見せようとして、プッシュしすぎる部分もあった。ジェッダとモンテカルロで、マシンが真っ二つになるほどの大クラッシュを喫したのも、マグヌッセンに後れをとるまいとした焦りがあったことがひとつの原因であったように思える。

 モンテカルロでのクラッシュの後には怒りをあらわにしていたハースF1チーム代表ギュンター・シュタイナーだったが、ここ2戦のシューマッハーのパフォーマンスを喜び、次のように語った。

「今の彼はクラッシュせずにポイントを獲得している! 明らかに、正しい方向へと変化した。なぜそうなったかは私には説明できない。だが以前から言っていたことだが、あの名字は間違いなく大きなプレッシャーを伴う。人々は分裂させようとするが、我々は団結してベストな結果を出す必要がある」

「今のこの調子を維持していきたい。彼がポイントを獲得できなかったりQ3に進出できなかったりすれば、すぐにまた議論が巻き起こるだろうからね。これまでどおり冷静に戦っていくつもりだよ。彼は自分ならやれると分かっている。チームも、自分たちならできると分かっている。つまり今の我々は良い状態にあるといえる」