メルセデスのジョージ・ラッセルは、F1で頻繁に起こるトラックリミット違反の問題には、シンプルで有効な解決策があると考えている。

 レースウイークがひとつ終わるたびに、トラックリミット違反、ホワイトラインとペナルティに関する議論が激しさを増していくようだ。前回のF1第11戦オーストリアGPでも、予選から決勝にかけてこの問題が絶えずつきまとった。特に決勝レースでは、スチュワードが合計43回のトラックリミット違反を記録し、複数回の違反を認定されたドライバー数名に5秒ペナルティが科されることとなった。

 レッドブルのセルジオ・ペレスは誰よりも大変な目に遭った。金曜日の予選終盤にアタックを行った際、ホワイトライン規則に違反したとして、予選終了後にQ2でのベストタイムを取り消されたため、自動的にQ3の全記録まで抹消されてしまったのだ。

 トラックリミット問題は、すべてのドライバーにとって、それが予選中であれ、ライバルと激しく競り合う日曜日の決勝レースの最中であれ、終わりなきフラストレーションの元になっている。ドライバーたちの論点は、規則そのものだけでなく、それが一貫して適用されていないことへも向けられている。なかでもウイリアムズのアレクサンダー・アルボンは、オーストリアGPでマクラーレンのランド・ノリスをコース外に押し出したとして制裁を科されたことに戸惑いを隠せない。

 ラッセルは、「つまり、やっていいことと悪いことについてはある程度『白と黒』がはっきりしている。けれど、レース中に白黒はないんだ。ひとつひとつのインシデントが異なっているんだからね」とオーストリアで主張した。

「関係した全員が難しいポジションに置かれるとは思う。それでも、少々手に余るような状況になってきたね」

 ラッセルは、良識に従えば、シンプルかつ有効な違反抑止策が幅広く復活するはずだと言う。つまりはグラベルトラップだ。

「根本的な要因に立ち戻るべきだ。もしもグラベルトラップがあれば、おそらくふたりのドライバーは異なる対応をとっただろうし、その結果も異なっていただろう。ペナルティも異なっていたかもしれない……」

「僕たちは、堂々巡りをしながら妥協案を探そうとするばかりではなく、根本要因を解決する必要がある。(そうすれば)こんな状況には陥らないと思うんだ」

 ラッセルにとっては、ときにばかばかしいほどわずかの差でドライバーがトラックリミット違反の裁定を受けることが問題のようだ。

「僕たちドライバーにとって、その瞬間にホワイトラインをジャッジすることはとても難しい。ホワイトラインは感じられないからね」

「サイド・バイ・サイドで競り合って、もしも押し出されたら、なんとか踏ん張って次のコーナーであらためてアタックをかけようとする。けれど、もしもそこにグラベルトラップか、ペナルティが科されるようななにかがあったら、ドライバーはふたりとも異なるアプローチをとると思う」

 しかし、こうした議論に参加して、賢明な視点を提供したとしても、FIAと当局者たちがドライバーの声に耳を傾けようとしないかぎり、それは有益なものとならない。

「僕たちの話は聞いてもらっていると感じる。けれど、ドライバーが次々に『僕はこう思う』『僕はああ思う』と声を上げたからといって、彼らも毎週毎週規則を変えるわけにはいかない」

「彼らは原則を守らなければならないんだからね。ただ、規則の適用は一貫しているべきだし、それが僕たち全員に明らかにされる必要はある」

「ペナルティの出しかたは、もう少し一貫している必要があると思う。それは、規則を管理する人たちが一貫していて初めて可能になるんだ」