毎年、8月のスーパーGT富士ラウンドといえば、暑さの厳しい中で開催されるのだが、今週末は季節外れの寒さとなり、予選開始時には気温21度、路面温度28度というコンディションになった。パドックを歩いていても肌寒さを感じるほどで、ドライバーや関係者の中には長袖のウエアを着用している人も見受けられた。

 その予想外のコンディションに各チームも右往左往することになったのだが、今季GT500デビューを果たしたニッサンZ陣営は、ランキング首位で燃料リストリクター制限が入っているCRAFTSPORTS MOTUL Zを除く3台すべてがQ2に進出。各Q2担当ドライバーに話を聞くと、それぞれに強みを持って決勝に臨もうとしているようだ。

2番手:リアライズコーポレーション ADVAN Z

 ゴールデンウィークの第2戦に続いて、今季2度目のフロントロウ獲得となったリアライズコーポレーション ADVAN Z。ポールポジションを獲得したWedsSport ADVAN GR Supraとは0.6秒の差をつけられてしまったが、Q2を担当した平手晃平は、何よりフロントロウを獲得できたことに安堵していた。

「まずは良いタイヤを用意してくれたヨコハマタイヤさんにはすごく感謝しています。5月(第2戦)の時もそうでしたけど、フロントロウからスタートができると、レースのストラテジーも考えやすいし、変なリスクが減るので、そういう意味では同じヨコハマタイヤを履いたクルマがフロントロウにいるというのは良かったなと思います」

 5月の第2戦の時は予選で速さを見せながらも、決勝では序盤からポジションを落とし、後手を踏む展開になってしまった24号車だが、約2カ月あったインターバルで、集中的に改善をしてきたとのこと。今週末の温度レンジに関しても問題ないという。

「前回の富士ではスタート時のタイヤのウォームアップに苦しんで、後続に飲み込まれたところがありました。それ以降、ウォームアップの部分を改善しなきゃいけないということで開発を進めてきて、ようやくウォームアップがだいぶ良くなったタイヤが出てきたので、今回はそういう意味ですごく自信を持った状態でレースに挑めると思います。そのためにも、予選で良い位置を獲得できたのは本当に良かったです」と平手。

「(今週末のコンディションに対しては)どういうタイヤを持ち込むのか事前にミーティングをして決めていますけど、今回に向けてもしっかりと天気予報を見て、そこに合った温度レンジのタイヤを持ってきています。だから、僕たちとしては何も慌てていないし、むしろ“ドンピシャな感じ”ではあるので、明日は温度が多少上がっても下がっても、しっかりとカバーできるところにいるので、不安要素はまったくないです。そういう意味で本当に自信があるので、しっかりと決勝で結果を出して、メーカーさんに恩返ししたいなと思います」と平手は続けた。

7番手:カルソニック IMPUL Z

 ブリヂストンタイヤを履くカルソニック IMPUL Zは、平峰一貴が激戦のQ1を7番手で通過。Q2でもベルトラン・バゲットがしっかりとタイムアタックを決め、今季ベストタイとなる7番グリッドを獲得した。

「Q1からすごく接戦の予選だった。Q2も接戦だったけど、19号車がすごく速かった。彼らがどのタイヤをチョイスしているのか分からないけど、本当に速かったね」とバゲット。

「今回は想定よりもすごく涼しかったから、今日はタイヤのチョイスに悩んだ。基本的に持ち込むタイヤの方向性は事前に決めているから、その中でどう対処するかが大変だったけど、結果的にうまくいったと思う。僕自身のアタックも悪くはなかった。ただ、タイヤの内圧を少し高く設定してしまったところがあって、最終セクターで少しロスをしたところがあった」

「だけど、7番手というのは良いポジションだし、今回は長い距離でのレースだから、何が起こるか分からない。公式練習での調子を考えると自信はあるよ」と予選を振り返ったバゲット。

 第3戦からの2カ月に渡るインターバル中は母国のベルギーに帰り、家族と充実した時間を過ごせたとのこと。

「シーズン中に約2カ月もの間、家族と過ごすことができたのは2年ぶりくらいだと思う。すごく幸せ時間を過ごせたし、自分自身もリフレッシュできて、後半戦に向けて“フル充電”できたので、このまま最終戦まで頑張るよ!」と、笑顔をみせていた。

 何より12号車にとってポジティブだと話していたのが、レースペースの部分。5月の第2戦と比べても、かなり良い手応えを持って決勝に臨めるとバゲットは語る。

「決勝は長いレースになるし、どのタイミングでピットストップを行うのか戦略面が重要になると思う。あるチームは早く入るだろうし、逆にあるチームは長く引っ張るかもしれない。第2戦の時はペース的に今ひとつだったけど、3位でフィニッシュできた。逆に今回はペースがすごくいいから、決勝もかなり期待している。もちろん優勝も狙っていくけど、最低でも表彰台は獲得したいね!」

8番手:MOTUL AUTECH Z

 今シーズンは、なかなか上位に食い込めていない感のあるMOTUL AUTECH Zだが、しっかりとQ2に進出し8番手を獲得した。いつもの流れではQ1を松田次生、Q2をロニー・クインタレッリが担当するのだが、松田は第3戦終了時点でのペナルティポイントの累積が5点となり、今大会では公式練習の後半1時間が参加できなくなった。この影響もあり、今回は予選アタック担当を入れ替えたという。

「ペナルティポイントの累積の関係で公式練習では45分間しか走れず、ニュータイヤも(セッション前半の)ハーフウエットの状態でしか履けていなかったです。それだとQ1はちょっと厳しいので、今回はQ2担当になりました」と松田。予選Q2でのアタックは、実質的に“ぶっつけ本番”という状況だったため、ベストを出し切れなかったと、悔しい表情を見せた。

「ほぼぶっつけ本番でしたけど、上手くまとめ切れれば5番手くらいまでいけたかなと思うので、ちょっと悔しいですね。僕たちが持ち込んでいるタイヤが今日は合わなかったので、それを考えれば、今日は良かったんじゃないかなと思います。それにしても、ヨコハマタイヤ勢の速さが異次元です。今回も速すぎました」

 ただ、決勝日は少し気温と路面温度も上がるという予報になっており、その通りのコンディションになれば、勝機は見えてくるだろうと松田は考えている。

「僕たちとしては、今日の温度だと厳しいので、もう少し上がってくれる方向に行ってくれればなと思いますが、どうやら明日はそうなりそうなので期待しています。8番手からなら十分チャンスはありますし、“明日は明日の風が吹く”ということで、楽しみです」

 5月の第2戦が、クラッシュ等の影響で予定周回数を消化せずにレースが終わってしまった。その分、今回の450kmは改めて、全員にとって未知数の戦いになるのだが、その中でも各チームごとで手応えを持っている印象のあるニッサン勢。日曜日の決勝レースでは手強い存在になりそうだ。