優勝は37号車KeePer TOM’S GRスープラに奪われたものの、レース序盤から24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zがトップを奪い、後半は12号車カルソニック IMPUL Zがトップを争うなど、富士を得意とするGRスープラとがっぷり四つに渡る戦いを見せたニッサンZ勢。2位を獲得した12号車、そして3位の24号車の手応えとともに、Z勢にとって今後の細かな課題も見えた一戦となった。

 2位表彰台を獲得した12号車カルソニック、平峰一貴はレース直後、悔しさと嬉しさがまさに悲喜交々した状態だった。

「いまのこのタイミング(表彰式を終えた直後)はまだアドレナリンが出ているので、やっぱりトップが目の前に見えているのに獲れなかったという悔しい気持ちはありますけど、まあでも、素直に僕らの力が足りなかったかなという感じはしています。今回は37号車KeePerの方が速かった」

「最後のスティント、イケると思ったんですけどね。『思いっきり行ったろう!』と思っていたのですが、向こうの方に毎周、じわじわ離されていったので、これは厳しいのかなかと。チェッカー受けるまで全力で戦った結果なので、次に向けてかなという感じです」と平峰。

 第2スティントと第3スティントでダブルスティントを担当した平峰は2回目のピットアウトで37号車と競って、1コーナーでレイトブレーキング。タイヤをロックさせてオーバーランしてしまったが、トップを狙って諦めない平峰の気迫が見えたシーンだった。

「37号車が来ていることは無線で聞いていました。『37、今ストレート通過』と聞いて『おっし! 抜かれるだろうけど、ちょっとでも抵抗したいな』と。でも、1コーナーでそんなに行ったつもりじゃなかったけど、タイヤをロックさせてしまって『アブね〜!』と。結構、奥まで行っちゃった(苦笑)。そういったミスは減らさないといけないですね。ロックしてすぐ気づいて早めにブレーキも離したので、フラットスポットは出来ずに済みました。気持ちが移っちゃっていてたので、恥ずかしいです(苦笑)」

 それでも「今日は全力を出し切ったかな、という感じです」と、悔しさを見せつつも納得の2位表彰台を獲得。優勝まであと一歩のパフォーマンスを見せた。

 3位表彰台を獲得した予選2番手の24号車リアライズの平手晃平もまた、今回のレースで存在感を十分に見せたひとりだ。第1スティントでポールポジションの19号車WedsSport ADVAN GRスープラを3周目にかわすと、そのままトップをキープ。第2スティントの佐々木大樹につなげた。

「(同じヨコハマタイヤでPPの19号車の)選んだタイヤも分かっていましたし、向こうがウォームアップに苦しむだろうなというのも分かっていましたし、早々に抜いておかないと蓋をされてしまっては面倒なことになるので、序盤からプッシュしました」と平手。

「相手が(国本)雄資だったので、フェアにバトルしてくれて無理することなく抜くことができました。そのあとは自分のペースをしっかり作って、後ろとのギャップを見つつ、今回のタイヤが一応、鈴鹿テストでは使用しているのですが、富士では初めてだったので、様子を見ながらマネジメントして、ファーストスティントはしっかり走りきることができました」と、最初のスティントを振り返る。

 第2スティントの佐々木もトップを守りつつ、73周目にピットインして再び平手に変わったが、このピットタイミングで37号車にトップを奪われてしまった。24号車のモニター上のピット制止時間は36.3秒。一方の37号車は28.7秒。24号車は1回目のピットで燃料を少なめに給油して、2回目の給油で時間が長くなってしまったことに加え、ピット作業で数秒のロスがあった。

「ちょっとね、我々の給油の時間とかタイヤ交換でミスがあったりとか、そういう部分がチリツモで。トップから3〜4秒の間で走っていたので、そういう細かいミスや戦略の部分で入れ替わってしまうくらいのタイム差でしたからね。今回勝てなかったのは僕らとして反省はしなければいけないですけど、いい意味で言うと、その位置で戦えるパフォーマンスを持ったタイヤとチームがあるので、次の鈴鹿に向けて、今回反省すべきところは反省して、次も連続で表彰台を狙っていきたいなと思います」

 もうひとつ、19号車にも共通して言えることだが、パフォーマンスアップが著しいヨコハマタイヤの現在の一番の課題が、ウォームアップに時間が掛かってしまう点だ。
 
「タイヤのウォームアップ性は今シーズンずっと他社に負けている。発熱してしまえばパフォーマンスはイコールで戦える感じですけど、そこまで温まるにはちょっと時間がかかっています。それでも5月の富士以降、ヨコハマさんにリクエストして、発熱のいいタイヤができあがりつつあります。発熱のいいタイヤって、大抵ゴムがぐにゅぐにゅする傾向があるのですけど、そこを上手く両立させたタイヤができてきて、今回もそれが確認できた。今後の開発方向もこのままの方向で振っていけば、他社のようなウォームアップ性能も得られると思うので、そうしたら本当に強いタイヤになりますよね。今後もそこを課題として重点的に開発しつつ、戦っていきたいですね」と平手。

 平手は今回の富士の3位表彰台で、ブリヂストン、ミシュラン、ダンロップ、そしてヨコハマとタイヤ4メーカーで表彰台を獲得したドライバーとなった。おそらく、これまでのGT500ドライバーのなかで唯一の存在だろう。

「ブリヂストンとミシュランで勝って、ダンロップとヨコハマで表彰台獲得。4メーカーで表彰台を獲得したドライバーっていないですよね。そのノウハウもフィードバックできていると思うので、このままいい方向に持って行けたらいいなと思っています」

 Zのクルマのパフォーマンスに、勢いのあるヨコハマタイヤ、今後の24号車はますます目が離せない存在になりそうだ。

 そんなZの今回の活躍を、ニッサン陣営の松村基宏総監督も目を細めて評価する。

「やっと富士でも戦えることがわかったなかと。23号車もセンサーの異常検知のトラブルがなければ5番手を走行していたので、トップを狙えるタイムではなかったですが、タイム的には悪くなかったと思っています。クルマは今回、どのZも富士で一応、戦える確認はできました。第2戦が途中で終わっていたので本当のところはわからないままでしたが、今回は最後まで優勝争いもできましたし、直線の速度も同じくらいじゃないですか。直線で速いとやはりレースではドライバーは楽ですよね」

 今回の富士を見る限り、富士を得意とするGRスープラと互角のパフォーマンスをZは見せていたことは間違いない。

「お陰様で一応(GRスープラと)並んでいると言っていいですよね(苦笑)。3社ともみんな本当にギリギリのところで戦っていますし、今回はお客さんにとって見応えのあるレースだったんではないでしょうか」

 ホンダNSX勢のパフォーマンスが富士で厳しかったことは若干気になるが、いずれにしても現在のチャンピオン争いはGRスープラとニッサンZが競り合う形で進行している。富士では最後は37号車が競り勝ったが、その結果以上にZが存在感を見せたレースだった。