ウェイン・テイラー・レーシング(WTR)のレギュラードライバーであるリッキー・テイラーは、LMDhプラットフォームのローンチが、2023年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のレースに「新しいダイナミックさをもたらす」と信じている。

 来年、現行のDPiクラスから置き換えられるGTPクラスの基礎となるLMDhフォーミュラは、パワートレインに共通仕様のハイブリッドシステムが追加されることにより燃料消費量だけでなく、全体のエネルギー消費量に依存するように設定されている。

 アキュラの新しいプロトタイプカー『アキュラARX-06』のテストと開発の面で指揮をとってきたテイラーは、これまでのテスト走行により、すでにコクピットで劇的な変化を目の当たりにしていると語った。

「ドライバーとチームは、レースカーについてどう考えるかを学び直さなければならないと思う」と、彼はSportscar365に対して述べた。

「クルマは信じられないほど複雑だ。スペックハイブリッド車と同じように思われるかもしれないが、技術的にも非常に複雑になっている。多くのシステムが導入されたうえで成り立っているんだ」

「ドライバーとしては多くのことを学び直さなければならないと感じた。チーム側でもレースカーを扱う方法が以前とまったく違う」

「興味深いのは、レースがどうなるかだ。来年は燃料をあまり意識しない、まったく別のスタイルになるだろう」

「(これまでのように)燃料量を数えていくのではなく、エネルギーを計算し、いかにそのエネルギーを節約するかが焦点になる。実際にどれだけの燃料を使うかは、とても興味深いものになるだろう」

 IMSAは、ボッシュ、ウイリアムズ・アドバンスト・エンジニアリング、Xトラックと共同開発したハイブリッドシステムをLMDhカーに導入することにより、現行のDPiマシンと比較して10%の燃料使用量削減につながると予測している。最大50kW(約67馬力)を発生させるMGUが省エネを実現するというわけだ。

「うまくいけば、この新しいプラットフォームをどのようにファンに伝えていくかが、僕たちの活動の“新しいダイナミクス”として、とてもパワフルで面白いものになるだろう」とテイラー。

「すでに充分に複雑だが、それに対して本当に夢中になっている人々、熱狂的な人々にとって、戦略などに関わるすべてのものが非常に興味深いものになると思う」

 テイラーは先月、カンザス州のカンザス・モーター・スピードウェイで行われた3日間のテストで、アキュラARX-06によるアメリカでの初走行を完了させている。

■テイラー「DPiが古く感じる」

 彼にとってカンザスでの走行は、2013年のグランダム・シリーズにおいて、コルベットDPで行ったのが最後だった。テイラーは約10年の間にトップクラスのプロトタイプマシンが大きく進化したことを痛感している。

「(カンザスに)帰るのは本当にクールだった。当時から何が変わったかを考えると……マシンが今のようなレベルになるとは、夢にも思わなかったよ」

「まったく別のレーストラックのように感じた。ディフューザーが導入される前のデイトナ・プロトタイプだった2013年とは、すべてのやり方がまったく違うんだ」

 テイラーは、今回のテストの具体的な内容については明かさなかったが、ARX-06が1月のロレックス・デイトナ24時間レースでデビューするにあたり、オレカ製のマシンで早期に走行距離を稼ぐことは、“配当金を得る”ことに役立つと述べた。

「すべてが生産的だ。うまくいってもいかなくても、学ぶべきことがある。だから、すべてが生産的なんだ」と語ったテイラー。

「物事がずっと完璧に進んでいくと、デイトナで最初の問題にぶつかるかもしれない。チームは本当に頑張っているよ」

「僕が驚いたのは、(複数回のテストを行ったことで)現在のDPiマシンが急に古いものに感じられるようになったことだ」

「ここ(第10戦の舞台となったロード・アメリカ)に立って見ていると、アキュラARX-06の美しさと先進性に圧倒されて現行車のARX-05が『もう古く見える』と感じるほどだ」

「今となっては、とてもシンプルなクルマに思えるよ。(それに対してLMDhカーは)大きな大きなアップデートを受けている」