2022年F1オランダGP決勝で、メルセデスのルイス・ハミルトンは、一時は勝利を目指していたものの、セーフティカー出動でチャンスを失い、4位でフィニッシュした。

 ミディアムタイヤでスタートし、ソフトスタートの上位勢より長くファーストスティントを取り、19周目にトップに。29周目のタイヤ交換でハードを履き、1ストップで勝利を目指した。2回ストップと考えられる首位マックス・フェルスタッペン(レッドブル)を約14秒差で追っているなか、バーチャル・セーフティカー導入でふたりともピットイン。さらに終盤にセーフティカーが出動、その直前にハミルトンはフェルスタッペンから約10秒差のところを走っていたが、フェルスタッペンがソフトタイヤに交換したのに対し、ハミルトンは無交換でトップに立った。しかしリスタートの際、タイヤが不利に働き、すぐさま抜かれ、首位を失い、さらに、セーフティカー中に自ら望んでソフトタイヤに交換したジョージ・ラッセル(メルセデス)、続いてシャルル・ルクレール(フェラーリ)にもかわされて、表彰台も逃がす結果になった。

 戦略に不満を持ち、苛立ちを募らせたハミルトンは、無線でチームに対し「君たちにひどい目に遭わされたことが信じられない。どれほど腹が立っているか、言葉にできないほどだ」と怒りを爆発させた。しかしレース後、冷静になったハミルトンは、チームに対して謝罪している。

 チームは、セーフティカー出動時の戦略について、次のように説明した。

「チームはルイスには、トラックポジションを維持して優勝争いができるよう、ステイアウトさせた。ジョージは少なくとも3位には入れるよう、ソフトタイヤに交換した。だがミディアムタイヤで走行周回数を重ねていたことの影響が大きすぎ、ルイスはソフトタイヤを履いた後続のマシンに抜かれてしまった」

 トト・ウォルフ代表は、「日曜朝、チームとして優勝を狙って戦うという点で意見を一致させていた。そのためにリスクを冒す価値があった。ルイスの気持ちはよく分かる。感情が高まっていたんだ。優勝が見えていて、あと一歩だったのに、他車にどんどん抜かれてしまったんだ。だが、我々の状況では、リスクを冒さなければならない」と語った。

■ルイス・ハミルトン(メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム)
決勝=4位
4番グリッド/タイヤ:ミディアム→ハード→ミディアム

 今日はVSCとセーフティカーにとても苦しめられた。それまでは戦略はうまくいっていたし、マシンも好調だった。ピットストップの出来は最高で、今年ベストだったと思う。それも励みになった。

 今年は浮き沈みの多いシーズンで、昨年のサウジアラビアを最後に優勝できずにいる。ここに来て、ようやく優勝をつかむチャンスが出てきた。でもセーフティカーが不利に働いたんだ。

 それでもチームの皆は本当に頑張ってくれた。僕は、チームとして1-2を達成することを心から願っていた。でも最後のセーフティカーの後、ポジションを落とし、感情が限界点に達してしまった。あの時、無線で何を言ったか思い出せないぐらい、あの瞬間、我を忘れていた。チームに対して謝罪する。ただ、僕にたくさんの情熱があるということをチームは分かってくれていると思う。

 今日という日を(「コップに水が半分しか入っていない」ではなく)「コップに水が半分も入っている」というポジティブなとらえ方をしたい。前戦ではとても苦戦した。でも今日はレッドブルを相手に戦うことができたんだ。多くのタイミングで僕たちはほとんどのライバルたちより速かった。

 セーフティカーがなければ、1ストップを成功させて、終盤、優勝をかけて彼らにチャレンジすることができたと思う。そう考えれば、今週末はたくさんの素晴らしい収穫があったといえる。マシンがついによく機能したしね。今後のレースでもこの状況を続けられるなら、彼らに戦いを挑み続け、優勝を手に入れることができるだろう。

(自分にソフトタイヤに交換するという提案がなかったことについて、『Independent』などメディアに対して語り)リスクを冒して1ストップでいくという話を事前にチームとしていたが、(終盤にセーフティカーが出た場合については)何も話さなかった。誰かがタイヤ交換をするなんて思わなかった。でも自分のピットボックスを通り過ぎた時に、ソフトタイヤが出ているのが見えた。その後、ジョージのことを知って、僕の希望は薄れてしまった。

 僕たちのチームは正しい状態にあると、1000パーセント信じている。今日は正しい判断をするのが簡単ではなかった。もちろん、振り返って、別の選択をすることができたのでは、と言うこともできるが、それをしたところで仕方がない。ただ学ぶしかないんだ。表彰台に上りたかった。1位か、少なくとも2位でね。でも今は前を向かなければ。