ルノー/アルピーヌの育成ドライバーで今年リザーブドライバーを務めるオスカー・ピアストリは、2023年のアルピーヌのレースシートを蹴って、マクラーレンに移籍することを決めた。その理由について彼は、アルピーヌとの交渉のなかで信頼を失っていったと述べた。

 当初アルピーヌはフェルナンド・アロンソと2023年の1年契約を結び、ピアストリを他チームに貸し出す形でF1デビューさせる考えでいた。ピアストリの行き先として有力候補と考えられていたのはウイリアムズだった。しかしアロンソは単年契約に満足できず、複数年契約をオファーしたアストンマーティンへの移籍を決定。そのため、アルピーヌは後任としてピアストリの2023年起用を発表した。

 ところがピアストリは来季契約を否定、彼がすでに他チームとの間で契約を結んでいることが明らかになった。F1の契約承認委員会(CRB)は、ピアストリにまつわる複数の契約の有効性について審査し、ピアストリとマクラーレンの契約が承認された。

「マクラーレンの来季ドライバーとしてようやく発表されてうれしい。今はまだアルピーヌのリザーブで、その役割を果たしたいと思っている。でも、今後これについてチームと話し合う必要があるだろう」とピアストリはFormula1.comのインタビューにおいて語った。

 元F1ドライバーであるマーク・ウエーバーを含むピアストリのマネジメント陣営は、来季ウイリアムズに貸し出されることに不満を持ち、マクラーレンに打診して、ダニエル・リカルドの後任としての契約を勝ち取ったとも言われる。ピアストリ自身は、アルピーヌとの交渉のなかで、チームの傘下にとどまることに不安を感じるようになったと明かした。

「CRBの裁定によって、僕が2023年シーズンの(アルピーヌとの)契約を結んでいなかったことが確認された」とピアストリは言う。

「つまり僕は自分の運命を自由に選べる立場にいたんだ。マクラーレン(との契約)は素晴らしいチャンスだと感じた。彼らは率直であり、熱心であり、強く僕を望んでいた。正直言って、アルピーヌでは僕の将来について明確にされていなかった」

「彼らはフェルナンドとあと1年か2年続けていきたいと公言していた。僕はそれを尊重する。でも僕は1年間、レース活動から離れて過ごした。僕としては、アルピーヌのシートを獲得することに希望を固めていたけれど、明確にされない部分があった。フェルナンドのケースと同様に、交渉において少し奇妙な感じがしたんだ。そのために(残ることが)正しい決断とは思えなくなった」

「将来について完全に明確にはされず、最終的に信頼が崩壊してしまった。僕はマクラーレンの魅力的なオファーとポジティブな取引を通して、マクラーレンこそが僕にとってベストな居場所だと感じたんだ」

 ピアストリは、事前にチーム代表オットマー・サフナウアーに、自分の意思を伝えていたと述べた。

「個人的な会話のなかで、オットマーに対して、僕たちのポジションを伝えた。それは以前から何度も彼に伝えられていたことだった。だから、発表が行われたことに、僕はとても驚いたんだ」

「僕のキャリアにとって最も重要な瞬間だった。誤った発表が行われ、僕のマネジメント陣営と僕はそれを正さなければならないと感じた。この発表を否定しなければ、法的な問題になる可能性もあったんだ。あれは事実以上のことを指摘することを意図したものではなかった。最後の行(「来年アルピーヌで走ることはない」)はかなり強い言葉だったが、CRBの裁定により、それが純粋に事実であったことがはっきりした」

 ピアストリは、アルピーヌに対する感謝の気持ちも示している。


「2019年にフォーミュラ・ルノー選手権でタイトルを獲得し、その褒賞の一部としてアカデミーに加入し、その後、アカデミーのメンバーとして2年にわたって素晴らしいシーズンを送り、さらにふたつの選手権でタイトルを獲得した。だからエンストンのチームに対して抱いている気持ちは純粋に敬意のみだ」

「今年はシートの代わりに、アルピーヌとともに、とても良いテストプログラムに取り組んだ」

 アルピーヌ側は、ピアストリのジュニアカテゴリーへの参戦をサポートし、幾度となくF1テストの機会を設けてきたことで、これまで莫大な資金を投入してきたにもかかわらず、彼が他チームに去ることについて、批判的な発言を行っている。

 これについてピアストリのマネージャーを務めるウエーバーは、『Channel 4』において、額が誇張されていると主張した。

「数字が大幅に誇張されている。ジュニアカテゴリー時代、オスカーはタイトルを獲ったことで賞金を手にした。オスカーのジュニアキャリアやアカデミーのため、予算の80パーセント以上が外部スポンサーやオスカーの家族によって提供されていた」