9月11日(日)、静岡県の富士スピードウェイでWEC世界耐久選手権第5戦富士6時間レースの決勝が行われ、ハイパーカークラスに参戦するトヨタGAZOO Racingの8号車GR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)が優勝。8号車は第3戦ル・マン24時間レースに続き、今季2勝目を挙げた。

 2位にはポールポジションスタートだったチームメイトの7号車GR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)が入り、トヨタは地元でのワン・ツー・フィニッシュを達成。3位表彰台にはLMP1ノンハイブリッドマシンで参戦するアルピーヌ・エルフ・チームの36号車アルピーヌA480・ギブソン(アンドレ・ネグラオ/ニコラ・ラピエール/マシュー・バキシビエール)が登壇した。

 デビュー2戦目を迎えたプジョー・トタルエナジーズの“ウイングレス”ハイパーカー、『プジョー9X8』は週末を通してトップを争う戦闘力を見せられず、決勝ではトラブルにも見舞われた結果、総合4位と20位でフィニッシュしている。

 また、LMGTEアマクラスでは、日本籍チームとしてWECフル参戦2年目のシーズンを戦っているDステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMR(星野敏/藤井誠暢/チャーリー・ファグ)が3位でフィニッシュし、昨年のモンツァ戦に続きチーム2度目となるポディウムに登った。

■ハイパーカー:トヨタが圧巻のワン・ツー。プジョーにトラブル
 午前10時56分、澄み渡る青空のもと、36台のマシンがフォーメーションラップへと向かった。気温は27.9度、路面温度は43.9度というコンディションだ。

 10時59分、レッドライトが消灯しローリングスタートが切られると、まずは7号車GR010ハイブリッドの小林可夢偉が順当に首位をキープ。ハイパーカー勢は順位変動なくオープニングラップを周回していくが、LMP2クラスの集団はターン2で数台がコース外へと膨らんだほか、ダンロップコーナーではブレーキングでコントロールを失ったアルガルベ・プロ・レーシングの45号車オレカ07・ギブソンのスティーブン・トーマスが、JOTA28号車のジョナサン・アバディンにハードヒット。28号車は最後尾へと転落し、45号車はガレージへとマシンを戻した(その後、45号車には1分間のストップペナルティが科せられた)。

 序盤はトヨタ2台が約1秒の差、その数秒後方にアルピーヌが単独で走り、さらにその数秒うしろで2台のプジョーがテール・トゥ・ノーズの状態となる。やがてプジョーは94号車が93号車の前へと出た。

 1時間が経過する前、36周目にアルピーヌがピットイン。次の周にトヨタ7号車とプジョー93号車、さらに翌周にトヨタ8号車とプジョー94号車が、最初のルーティン作業を行う。トヨタ2台はここで左側2輪のみを交換。プジョー94号車がアルピーヌをかわし3番手へと浮上した。なお、5台ともドライバーは2スティント連続走行へと入っていった。

 2スティント目に入ると首位7号車はタイヤが厳しくなったか2番手8号車のギャップが詰まっていき、1時間38分が経過した64周目のダンロップコーナー進入で2台は順位を入れ替え、8号車のブエミがトップに躍り出た。

 その数周後、アルピーヌ36号車のネグラオが2番手のプジョー93号車ロシターへと迫るが、オーバーテイクに至る前にピットへと向かい、ニコラ・ラピエールへと交代した。

 1時間58分が経過したところで、トヨタ7号車がピットイン。タイヤを交換し、ホセ・マリア・ロペスへとドライバー交代を行う。次の周には8号車もピットインし、4輪交換とブレンドン・ハートレーへ交代。プジョーの2台も時を同じくしてピットに向かい、94号車がロイック・デュバル、93号車がミケル・イェンセンへと交代し、中盤戦へと入っていった。

 2時間半経過直前、プジョー94号車がリヤカウルの隙間から白煙を吹き、ピットへと向かった。どうやら少量のオイルリークが原因だった模様で、20分の修復を経てドライバーはデュバルのままコースへと戻り、走行を続けた。

 2時間59分、2番手トヨタ7号車がピットイン。次の周には8号車もピットへと戻り、それぞれ給油のみでコースへと戻っていく。このあとのスティントでは、8号車が7号車に対して優位なラップタイムを刻み、4時間経過目前では両者ギャップは30秒ほどまで拡大する。

 3時間55分、ルーティンピットを終えてコースに戻った93号車が、ほどなくしてピットへと戻ると、そのままガレージへと入れられてしまう。7分半の修復作業を行い、ポール・ディ・レスタはコースへと戻っていった。

 ちょうど4時間が経過し、トヨタ7号車はマイク・コンウェイへとバトンタッチ。8号車も平川亮へと襷を繋ぎ、終盤の2時間へと突入した。

 4時間40分、プジョー93号車のディ・レスタはグリーンファイト100Rコーナーでスピン。しかしバリアにヒットすることはなく、そのまま走行を続けた。

 残り1時間を切ったところで、トヨタの2台は相次いで最後のピットへ。この時点で、2台のギャップは50秒強まで拡大していた。

 終盤はトヨタ2台の差がさらに広がるなか、順調に走行を続けた平川が17時にトップチェッカーを受けた。7号車のコンウェイは平川から1分8秒おくれで2位フィニッシュ。3位のアルピーヌは2周おくれでチェッカーを受けた。

 プジョー93号車がトップから7周おくれの総合4位。プジョーの94号車はレース終盤、技術違反があったとして1分間のストップペナルティを受けた。今回は6時間にわたって1度もセーフティカーやFCYが導入されない、クリーンなレースとなった。

 ハイパーカーのドライバーズタイトル争いは、トヨタ8号車の3人とアルピーヌ36号車の3人が同点で並び、最終戦バーレーンへと向かうこととなった。

■LMP2:WRT31号車がJOTAとの戦いを制す
 オープニングラップの混戦を制したのはWRT31号車のショーン・ゲラエルで、クラスポールスタートのJOTA38号車がこれに続く展開となる。ベクター・スポーツの10号車を挟み、ユナイテッド・オートスポーツUSAの2台やプレマ・オーレン・チームの9号車も序盤のうちに順位を上げてきた。

 だが、20分過ぎにベクター・スポーツ10号車は第3セクターでLMGTEアマの車両と交錯し、大きく順位を落としてしまう。一方、オープニングラップのアクシデントで順位を下げていた28号車のアバディンは、驚異的なペースで1回目のルーティンピットまでに4番手まで順位を回復。さらに全車がピットを終えると、WRT31号車をコース上でパスしてトップに浮上した。

 3スティント目に入っても首位のJOTA28号車と2番手WRT31号車のバトルは続き、3回目のルーティンピット後にはロビン・フラインスの31号車が首位に立った。

 各車は3時間30分が経過するあたりで、5回目のルーティンピットへ。首位のWRT31号車はここで代役参戦しているドリス・ファントールが乗り込んだ。2番手JOTA28号車は再びアバディン、3番手につけるJOTA38号車はアントニオ・フェリックス・ダ・コスタがドライブ。ここまでは約16秒という接戦ぶり。その後、ダ・コスタはチームメイトをパスして2番手へとポジションを上げた。

 終盤に入り、残り13分というところで首位のWRT31号車フラインスが最後の燃料スプラッシュへ。これでJOTA38号車が約30秒の差で首位に立つ。残り4分を切って38号車はスプラッシュを敢行するが、ここでは31号車が先行し、クラス優勝を決めた。

 終盤、実質3番手を走るJOTA28号車オリバー・ラスムッセンに、リアルチーム・バイ・WRT41号車のノルマン・ナトが迫っていったが、最後までオーバーテイクみは至らず。この結果、LMP2はWRT31号車(ゲラエル/フラインス/ファントール)が優勝、2位にJOTA38号車、3位にJOTA28号車となった。

■LMGTEプロ:フェラーリの2台がポルシェを制圧
 序盤はAFコルセ51号車フェラーリ488 GTE Evoのジェームス・カラドがポルシェ2台の前に出る形となるが、序盤から接近戦の様相に。15分が経過した時点で、ポルシェGTチーム92号車ポルシェ911 RSR-19のエストーレがTGRコーナーでカラドのインに飛び込み、首位を奪い返す。

 だがカラドも負けじとエストーレにくらいつき、30分が過ぎる頃にTGRコーナーで再逆転を果たした。

 その後方でもポルシェ91号車とフェラーリ52号車のバトルは続いていたが、35分過ぎにトラックリミット違反により91号車のジャンマリア・ブルーニにドライブスルーペナルティが科せられることに。これでフェラーリ2台対ポルシェ1台という対決構図へと変化する。

 1回目のルーティンピットが終わると、52号車が2番手へと浮上してフェラーリのワン・ツー体勢に。後方では91号車のリヒャルト・リエツがGTEアマのポルシェと接触し、スピンを喫する場面も見られた。

 レース折り返しを過ぎたところで、首位51号車と2番手52号車がテール・トゥ・ノーズの状態となる。その後、5時間経過を前に一度は52号車がトップに立ったものの、残り1時間を切ったところで再び51号車が前に出た。

 2台は終始1秒以内のギャップで走行を続け、51号車(アレッサンドロ・ピエール・グイディ/カラド)がトップチェッカー。52号車が続き、フェラーリのワン・ツー・フィニッシュとなった。3位には約30秒のおくれでポルシェ92号車が入っている。

■DステーションがLMGTEアマクラス3位に
 序盤、2番手スタートだったアイアン・デイムス85号車フェラーリのサラ・ボビーがクラスポールからスタートしたTFスポーツの33号車アストンマーティンのベン・キーティングをパスして、トップへと浮上。2番手にはノースウエストAMRのデイビッド・ピタードが順位を上げてくる。

 予選での違反により最後尾となっていたDステーション・レーシングの藤井誠暢は驚異的な追い上げを見せ、わずか6周目のうちにクラス4番手にまで浮上。さらに藤井は9周目にはキーティングもかわし、3番手に躍り出た。

 ピタードと藤井は2台でボビーへと迫っていくと、17分が経過した11周目にともにボビーをパス。アストンマーティンのワン・ツーが体勢へと持ち込んだ。数周後、ピタードがダンロップコーナーへのブレーキングでミスを犯した隙に、藤井がトップへと浮上。クラス最後尾スタートから首位へと躍り出る格好となった。

 トップの藤井は1時間2分が経過したところでピットへ。星野敏へと交代する。全車が1回目のピットを終えると、首位はポール・ダラ・ラナへと代わった98号車、2番手に星野、3番手に2スティント連続走行に入ったキーティングと、アストンマーティンがトップ3を占める形となる。

 1時間19分、星野はダラ・ラナに迫ると、TGRコーナーでアウトから鮮やかにオーバーテイクを決め、首位の座を奪い返す。さらにキーティングもダラ・ラナをパスし、2番手へとポジションアップを果たした。

 チーム・プロジェクト1の56号車ポルシェでスタートドライバーを務めた木村武史が2スティント連続走行を行い、2スティント目にはデンプシー・プロトン・レーシングの77号車ポルシェのクリスチャン・リードをパスするなど、初のポルシェで躍動する。

 2時間9分経過時点で、星野はピットへ。各車が2回目のピットを終えると、エンリック・シャベスへと交代したTFスポーツ33号車が首位に立ち、2スティント目に入った星野は2番手で周回を重ねることとなった。

 この星野に85号車のラヘル・フレイと98号車のニッキー・ティームが迫ると、2時間56分経過時点のアドバン・コーナーでフレイが星野のインへと飛び込み、接触しながらパス。続いてティームも星野をかわし、Dステーションの777号車はクラス4番手へと後退することとなった。

 2時間以上ドライブした星野から、チャーリー・ファグへと交代すると、AFコルセ54号車にパスされるなどした777号車は6番手へと後退。しかしその後はポジションを上げていき、残り1時間を迎える時点では表彰台圏内の3番手につける。

 残り32分、トップを走っていたTFスポーツのマルコ・ソーレンセンがピットイン。続いて3番手のDステーション・ファグも最後のピットへと向かう。ファグがピットアウトすると、背後に迫ったAFコルセ54号車フェラーリのダビデ・リゴンのプレッシャーを受ける形となった。

 暫定トップに立ったアイアン・デイムスのミシェル・ガッティンは、残り25分で最後のピットへ。フレイへとドライバーチェンジすると、2番手でコースへ復帰。Dステーションは3番手のポジションをキープする。

 最後はこの順位のまま、TFスポーツ33号車がトップフィニッシュ。2位にアイアン・デイムス85号車が入り、Dステーションは3位で今季初の表彰台を獲得することとなった。

 2022年シーズンのWECはこれで5レースを終了。最終戦となる第6戦バーレーン8時間レースは、11月12日に行われる。