9月11日、WRC世界ラリー選手権第10戦『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』の競技最終日、デイ4がギリシャのラミアを中心に行われ、ヒョンデ・シェル・モビスWRTのティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダグ組(ヒョンデi20 Nラリー1)が今季初優勝を飾った。

 前日のデイ3が荒れに荒れた展開となった伝統のグラベル(未舗装路)ラリーは、SS14からSS16までの計3本のステージで争われた競技最終日にも波乱が待ち受けていた。

 昨年、8年ぶりにWRCのカレンダーに復帰し2年連続での開催となったアクロポリス・ラリーは、8日(木)に首都アテネのオリンピック・スタジアムで開幕。SS1のみが実施されたこのオープニングデーは、ヌービルがベストタイムを記録し最初のラリーリーダーとなった。

 2日目からは本格的なグラベルラリーがスタートする。ここではMスポーツ・フォード勢が強さを見せ、元9連覇王者セバスチャン・ローブ(フォード・プーマ・ラリー1)とピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)がワン・ツー体制を築く。

 しかし、“神々のラリー”はそう容易く進ませてはくれず、首位ローブはマシントラブルでリタイアに。また、2番手につけていた若手のルーベもパンクによって後れを取ってしまった。さらに、総合3番手から2番手に順位を上げたエサペッカ・ラッピ駆るトヨタGRヤリス・ラリー1にも燃料システム系のトラブルが発生。デイリタイアを余儀なくされる。

 上位陣にトラブルが相次ぎ、選手権リーダーのカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)もドライビングミスによってポイント獲得が望めるポジションを失うなかで、ヒョンデ勢は小さなトラブルを抱えながらもヌービル、オット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)、ダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)がワン・ツー・スリーで並んだ状態でデイ3を走破した。

 迎えたデイ4、総合3番手につけるソルドと7.1秒差の4番手につけ、最終日に表彰台を懸けた戦いを繰り広げるとみられていたエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)がターボのトラブルでストップ。残り3本のSSを残してリタイアとなった。

 表彰台独占を阻む“刺客”がいなくなったことでヒョンデは楽な展開に。チームオーダーによって選手権2位のタナクを勝たせることも考えられたが、それは行われず。SS15でベストタイムをマークし、最終ステージを前にタナクとのギャップを29.3秒に拡げたヌービルが、パワーステージでこの“貯金”を有効に使いながらフィニッシュを果たし2022年シーズン初優勝を決めた。

■アクロポリス・ラリー初参戦の勝田貴元はトヨタ勢最上位の総合6位入賞

 パワーステージでタイトルを争うロバンペラを上回るベストタイムを記録したタナクは、チームメイトから15秒差の総合2位でフィニッシュ。仕事人のソルドがトップから1分49秒おくれながらも総合3位を確保し、ヒョンデにチーム史上初となるワン・ツー・スリー・フィニッシュをもたらしている。

 ポディウムを独占したヒョンデ勢に続いたのはMスポーツ勢で、3日目のタイヤトラブルでタイムを失ったルーベが総合4位に。競技2日目にパンクに見舞われた僚友クレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1)が総合5位となった。

 日本人WRCドライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)はパワーステージでマシンをヒットさせ、その影響から右リヤタイヤがパンクしてタイムをロスしたが、最後までクルマを運び総合6位でラリーを終えた。

 総合7位はWRC2クラスを制したエミル・リンドホルム(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)。同8位はWRC2クラス2位のニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)となり、さらにヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)が続くものと思われたが、ロッセルはパワーステージでマシンが横転するアクシデントでストップ。土壇場でリタイアとなった。

 ドライバー選手権を争う首位ロバンペラと2位タナクのポジションは変わらずも、ポイント差は戦前の72ポイントから53ポイントへと縮まった。また、マニュファクチャラー選手権も1位トヨタと2位ヒョンデのギャップが88から63ポイントに縮小している。

 WRCの次戦第11戦『ラリー・ニュージーランド』は、9月29日(木)から10月2日(日)にかけて開催される予定だ。