9月9〜11日にイタリアのモンツァで開催されたFIA F2第13ラウンドに挑んだ佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)は、予選、そしてレース2でトップを狙えるパフォーマンスを示すも、相次ぐ不運で思うような結果が残せない週末となった。

 今季これまで、噛み合わないままシーズンを戦ってきた万璃音だが、ヨーロッパで最も長く生活の地としていたイタリアは、まさに第2のホームグラウンドと呼んでも過言ではない。またモンツァは万璃音にとっての得意コースのひとつでもある。

 そんな週末の走り出しとなるフリー走行では、雨上がりの路面が次第に乾いていく状況のなか順調にセットアップを進めながら16周を走り、1分33秒673で17番手タイムをマーク。マシンのバランスは良好で、大きなセットアップ変更をすることなく、自信をもって予選に臨んだ。

 予選ではセッション開始直後から、ライバルたちがスリップストリームを使うべくポジションを交差しながら混戦状態でアタックを開始。万璃音は1セット目のアタックではうまく前車のスリップに入れず、1分32秒945で15番手とタイムが伸ばせなかった。

 気を取り直して2セット目のアタックを開始した万璃音は、セクター1〜2を全体ベストと遜色ないタイムでうまくまとめ、ポールポジションも狙えるかと思ったが、なんとそのタイミングのセクター3で他車のクラッシュにより黄旗振動が出され、アタックを諦めざるを得なくなってしまった。タイムは1分32秒452とアップしたものの、グリッドは15番手となってしまう。

「モンツアは好きなサーキットですし、イタリアは自分にとってリラックスできる場所ですから、週末は自信をもってレースに臨みました。フリー走行からマシンのバランスも良く、この週末はいけるという感触がありました」と万璃音。

「予選の1セット目はうまくスリップを使えずタイムが伸びなかったのですが、2セット目のアタックの前に多少セットアップを変更し、それがバッチリ決まり、アタックのタイミングも良く、ライバルのスリップも使えたし、自分のドライビングも完璧に近かったので、絶対にポールポジションかフロントロウは獲れると思ってセクター1〜2とベストできたのに、セクター3で黄旗振動が視界に入り、アクセルを抜きました」

「本当に乗れていたし、良いラップだっただけに悔しいです。ポールを獲得したチームメイト、ジャック(ドゥーハン)のエンジニアも『ジャックがポールを獲得できていなかったら、今日はマリノがポールだったな』と言ってくれました」

 迎えた9月10日のスプリントレースは現地時間18時にスタート。好スタートを決めた万璃音は、1コーナー進入に向けて中団グループの混戦での接触を避けながらうまくポジションを取り、積極果敢なレースを展開。最終的には4台をパスし、11番手でチェッカーを受けた。

「スプリントレースは、スタートからゴールまで頭を冷やしてタイヤマネージメントに終始し、変なアクシデントに巻き込まれないよう慎重に走ったリーズナブルなレースでした。マシンの調子が良かっただけに、そのままの状態でフューチャーレースに持っていければ、戦略で大きくポジションアップできると考えたからです」と万璃音。

■2番手まで浮上も、突然の赤旗に泣く
 9月11日のフューチャーレースは、万璃音の速さを十分アピールしたレースとなった。14番手からスタートした万璃音はプライムを選択。そんななか第1シケインで4台のマシンが絡むアクシデントが発生し、さらに第2シケインでも2台がリタイアするアクシデントが発生したため1周目からセーフティカーが導入された。

 レースは6周目に再開されるが、8周目に三度目のアクシデントが発生し、二度目のセーフティカーが出される。このタイミングでソフトタイヤを装着してスタートした多くのマシンがピットでタイヤ交換。万璃音はそのままステイアウトしポジションを上げ2番手まで浮上し、場内を沸かせた。

 しかし、アクシデントで破損したタイヤバリアの修復のため、9周目にまさかの赤旗が出されてしまった。

「プライムでスタートし、引っ張っていったのですが、セーフティカーが入っている周回が多くて、ソフトタイヤを履いているマシンに比べ、自分はタイヤの温度を保つのが難しい状況でした。そのせいでレース再開後はポジションを落としたのですが、ステイアウトでポジションを上げてせっかく大きなチャンスを得たのに赤旗が出されたことがすべてでした」と万璃音は状況を説明した。

「あのタイミングで赤旗が出されてしまうと、自分たちはルール上、レース再開後にタイヤ交換をする必要があり、すでにタイヤ交換を終えているライバルたちに対してディスアドバンテージの状況だからです」

 約15分間の赤旗中断の後、レースはセーフティカー先導のもと、ローリングスタートで再開。万璃音は赤旗中断中にソフトタイヤに交換し、13周目にこの時点でのファステストラップをさらに更新。トップとの差0秒5まで詰めて1コーナーのブレーキング競争でインを狙うが、わずかに届かず。その後、トップを追いながらも17周目あたりからソフトのグリップダウンが激しくなり21周目にピットインしてプライムへと交換。そのまま残り9周を走り切り、11位でチェッカーを受けた。

 万璃音は「赤旗中に交換したソフトタイヤがぜんぜんダメで、3周程度した段階でプライムの方が良かったことが分かりました。レース序盤にセーフティカーが出たので、ソフトとプライムの違いがあまり分からず、プライムが良いのかどうかの判断もつきかねていたのです」とレースを振り返った。

「ソフトでスタートして、実質3周程度を走り、二度目のセーフティカーのタイミングでプライムタイヤに履き替える戦略が今日の正解だったということですね。今日の自分たちは、赤旗さえ出なければプライムでギリギリまで引っ張り、ラスト3〜4周でソフトタイヤに交換すれば、勝てたレースだったと思います」

 厳しい状況が続くが、万璃音は「結果的には残念でしたが、速さはアピールできたと思います」と前を向く。

「ツイてないで片付けたくはないのですが、本当にツイてない。でもこれもレースです。残すところ最終戦のアブダビだけですが、最後まで優勝を狙って頑張りたいと思います」