2022年シーズン終盤戦を迎えたスーパーGT。9月17〜18日に開催される第6戦『SUGO GT 300km RACE』は今季最もサクセスウエイト(SW)が重い一戦となる。SWが軽いクルマにとってはここで大量ポイントを稼ぐチャンスであり、第5戦終了時点でシリーズ上位につけ、かつSWが重いクルマにとっては、ここSUGOでいかにポイントを稼げるかが、終盤2戦、そしてシリーズタイトルを争う上での鍵となる。

 ここでは2021年のSUGO大会で優勝、もしくは上位入賞を果たした3チームの首脳陣に、昨年との違いと今大会の見通しを聞いた。

 全長3.621kmと、今季スーパーGTが開催されるサーキットのなかではもっとも短いスポーツランドSUGO。全長は短いにもかかわらず高低差は69.83mと、アップダウンが激しく、特に上り勾配での加速性能も重要となる。また、中高速コーナーが多いレイアウトのため、GT300クラスでは、コーナーリング性能に秀でるGT300規定車両が得意とするコースだ。

 そのため、“SWが軽いGT300規定車両”が有力候補と予想されるが、SUGOでの過去の結果を見ると、必ずしもSWが重い車両に優勝のチャンスがないということではない。2021年はSW54kgを積んだ61号車SUBARU BRZ R&D SPORTがポール・トゥ・ウインを飾り、2位にSW45kgを積んだ55号車ARTA NSX GT3、3位にSW81kgを積んだ56号車と、いずれも2021年に最終戦までタイトルを争った3台が表彰台を独占しているのだ。

 昨年のSUGO大会でポール・トゥ・ウインを果たした61号車の小澤正弘総監督は「ドライバーが得意なコースだというのもあり、比較的成績が残しやすいところですね」とSUGOの印象を語る。

「ただ、(SWを含めた車重は)去年が1254kgでしたが、今年は1314kgと60kg重たくなっています。さらに今年は(昨年のSUGO大会と比べ)GTA-GT300車両のエンジン出力(最大過給圧)が下げられているので……結構厳しい戦いになるかもしれません」

「最終コーナーからホームストレートにかけてや、ハイポイント・コーナーに向かう際の“上りの加速力”がかなり違ってくるはずですので、そこで苦しむのではないかなと考えています」

 昨年、ダンロップはタイヤテストをここSUGOで実施。このテストで得られた走行データは昨年の61号車のポール・トゥ・ウインの立役者ともなったが、今シーズンはSUGOでのGT300クラスを対象としたタイヤテストは行われていない。そのため、61号車は今大会へ向けても昨年のタイヤテストのデータをベースにセットアップを進めているという。

「昨年から大きく変わったところは重量だけなので、ある程度いけるつもりでいます。ただ蓋を開けてみないとどうなるか……というところですね」と小澤総監督。

「まだタイトル争いを考えるには早い段階ですが、ここSUGOでの結果が今シーズンのターニングポイントにもなると思います。なので、私たちは表彰台を獲れるように。そのためには、やはり明日の公式練習が一番大切なポイントになると思います。公式練習でうまくセットアップできれば、いい流れが作れると思いますので、まずは明日の公式練習に向けて、集中して頑張っていきたいと思います」

■「オリジナルエアロの空力セットが見えてきた」60号車SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT

 昨年はSW69kgを積みながら、予選3番手。決勝では5位入賞を果たした60号車SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT。今年のSWは33kgと、昨年より軽い状況でSUGOに臨むが、「今年はリストリクター径を絞られたので……」と話す小藤純一チーフエンジニアの顔は明るくない。

「エアロも含め改良を施し、去年よりも全体的にコーナリングスピードは上がってるのですけど、ストレートは(エアリストリクター径が絞られたことで)ガッツリと遅くなっています」

「もしGT3勢が同じくらいのタイムで決勝を走るとなると、後ろから抜かれる展開になると思います。さらに、登り勾配も多いので、抜き返すことは簡単ではありません。なので、勝ちパターンがあるとすれば、ポール・トゥ・ウインしかないと思います。ただ、ポールを獲れるほどのアドバンテージがあるかといえば……あまり楽観はできない状況です」

 なお、33kgというSWはタイムに「ギリギリ影響が出ない」重量だと小藤エンジニアは説明する。「ウエイトの影響が出てくるのは総重量が1300kgくらいですね。1300kgを境に、極端に下がるのですけど、今の重量(SWを含め1283kg)ではそんなに影響はありません」

 SWの影響が出ないという利点よりも、リストリクター径を絞られた影響が大きく出そうだと語った小藤エンジニアだが、60号車には復調に向けた兆しも覗かせている。

「今年うちのクルマは外装を新造し、空力のバランスを変えてきました。前半戦はエアロバランスが取れなくて正直苦戦しました。ただ、ここ数戦はこの外装でのエアロバランスのセットが徐々に見えてきました。最初は正直、右往左往しましたけど、最近は落ち着いて、公式練習でもあまりセットをいじらなくてもいいような値になってきています」

「なので、(持ち込み)セットにあまり不安がなければ、公式練習でしっかりとタイヤの耐久性の確認もできたりするので、レースに向けての準備は、前半戦よりも落ち着いてできると思います」

■「あとはトラブルが出ないように祈る」55号車ARTA NSX GT3

 一方、昨年45kgを背負い5番グリッドを獲得。決勝でもオーバーテイクを重ね、FIA-GT3勢最上位となる2位でフィニッシュを果たした55号車ARTA NSX GT3は、SW3kgという状況で第6戦SUGOを迎えた。軽さも武器に、第5戦鈴鹿でも好走をみせ、電気系トラブルによりリタイアするまでは表彰台を争った。

「昨年の45kgは正直、決して重くなかったと思います。周りの方がもっと重かったので、相対的にパフォーマンスが高く見えた部分もあるのかなと。ただ、予選もそこそこで、決勝もうまく追い上げることができたので、相性はそんなに悪くないサーキットだとと思っています」と55号車の岡島慎太郎チーフエンジニア。

「SUGOは特に予選の順位が非常に重要ですので、我々としても予選で好位置につけ、上位から決勝をスタートしていきたいなと考えてます。あとはトラブルが出ないように祈る、という感じでしょうか」

 過去2戦ともにトラブルでレースを終えている55号車。第5戦鈴鹿のリタイアの要因となった電気系トラブルについてはおおよその原因を掴み、今回対策を施して臨むと岡島エンジニアは説明する。なお、第4戦富士で見舞われたトラブルとは異なる部分での問題だったと明かした。

「ここ数年、ここまで苦しかったシーズンはなかったので、ここSUGOで何とかポイントを獲って……。今からタイトル争いとは言いませんけど、大きい結果を残せるように。チームとドライバーと一緒にベストを尽くして頑張りたいと思います」

 SWがシーズン中もっとも重くなる第6戦SUGO。優位性があるかと思われたGTA-GT300勢も性能調整が影響し、優勝予想はますます混迷を極める状況となった。その答えを紐解くためにも、まずは17日9時25分から行われる公式練習の走り、ラップタイム、そして各車の挙動から注視しておきたいところだ。