プレーオフもいよいよ第二段階、16名から12名に絞られた“ラウンド・オブ12”初戦となった2022年NASCARカップシリーズ第30戦『オートトレーダー・エコパーク・オートモーティブ500』は、今季頻発するワンメイクタイヤ“バースト”による長いドラマとなった1日を乗り切り、タイラー・レディック(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)が今季3勝目を獲得。前戦のマルチクラッシュにより、僚友のオースティン・ディロン(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)とともにプレーオフ進出権を逃していたレディックが、この日最多の77周をリードしてカップ戦オーバルでの初勝利を収めている。

 9月24〜25日にテキサス・モータースピードウェイで開催されたラウンド・オブ12最初の一戦は、さらに厳しさを増すシリーズ終盤戦の行方を占う1戦に。このテキサスを経て、後に続くタラデガ、シャーロット“ローバル”の3戦合計で、候補者はふたたび8名にまで絞り込まれる。さらに続く“ラウンド・オブ8”でも3戦の勝負を経て、最終“チャンピオンシップ4”となるフェニックスでの第36戦『チャンピオンシップ・レース』で、今季のタイトル争いもついにフィナーレを迎える。

 そんな緊張感高まる週末最初のセッションでは、すでにプレーオフ進出権を失った陣営が意地を見せ、金曜プラクティスはRCRのディロンがトップタイムをマーク。先週末のブリストルでは12台が絡んだ“マルチカー・パイルアップ”の犠牲者となり、タイトル争いの権利を失った悔しさをぶつけるスピードを披露する。

 さらに予選では、そのブリストルで勝利を挙げたクリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)の僚友、ブラッド・ケセロウスキー(RFKレーシング/フォード・マスタング)が2019年以来のポールウイナーに輝くなど、ここまで“非進出”ドライバーが3戦連続の勝利を飾っている、異例の展開が続くプレーオフを象徴するかのような結果となる。

 迎えた日曜のテキサスは快晴に恵まれ、1.5マイルのスピードウェイを舞台にサバイバルの1日となり、レースでは複数のタイヤトラブルによるクラッシュが多発。序盤から早くもクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)のタイヤセットに異変が生じ、最初はなんとかリヤをヒットした程度でピットへ帰還したものの、7番手を走行中の136周目に発生した2回目のトラブルでは、ターン4で姿勢を乱し今度は右フロントも損傷するクラッシュに見舞われる。

 これでステージ間に設けられた10分の作業時間を使い果たし、ベルはリタイアが確定。その手前では、僚友カイル・ブッシュ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)も4番手走行中にウォールの餌食となり、来季のRCR移籍発表後2戦連続でのリタイアとなってしまった。

「100度に迫るような路面温度で無理をした、ということ。11号車(デニー・ハムリン)を(ボトム側)ロワー・グルーヴで追っていたが、タイムロスしそうだと感じてハイラインに移ろうと思った。そこでちょうどスナップしてしまったんだ」

■トラブル&クラッシュ続出の波乱レースはレディックがトップチェッカー
 その直後の97周目にはアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)もベルと同様の症状で勝負権を失うと、さらにステージ2中盤には、この瞬間のラップリーダーでありプレーオフのランキング首位を行くチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)にも悲劇が襲う。

 184周目に右リヤタイヤを失った9号車は、ボディ右サイドを激しくヒットしてグラスエリアにストップ。衝撃でエキゾーストから出火し、ここでマシンを降りることとなった。

「何かがバラバラになったようだ。右リヤフェンダーあたりから『バタバタ』と音がよく聞こえたからね。詳細はわからないが、スピードダウンしていなければ確実にもっとバラバラになっていただろうね」と、これでランキング首位陥落のエリオット。

 そんな波乱続きのなか、ステージ1のカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)に続き、ステージ2はジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が制すると、ここでの降雨中断を挟んで前戦勝者ブッシャーとケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)も、立て続けでウォールに散る展開に。

 また、終盤を通じてサイド・バイ・サイドの勝負を繰り広げてきたデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)とウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)は、勝負の遺恨からアンダーコーションの隊列走行中に背後のカムリがカマロZL1のリヤにヒットする小競り合いも演じ、これに対しNASCARはレース後に「審議対象とする」ことを明言した。

 こうして終盤までにテキサスでの新記録となる16回のコーションが発生したレースは、最後のリスタート以降、ロガーノらを振り切ったレディックがトップチェッカーを受け、アクシデントや天候による波乱満載の1戦を制圧。序盤戦のカリフォルニアや、プレーオフ初戦のカンザスで自身もタイヤの問題により勝機を逸していた男が『3度目の正直』でオーバル初制覇を成し遂げた。

「本当に心の底から心配していた。それに関して嘘をつくつもりはないよ(笑)」と、安堵の表情で終盤の心境を明かしたレディック。「残念なことに、僕らは速いマシンに乗るたびにタイヤに問題を抱えていて、最後のスティントでは左サイドが本当に激しく振動していた。念のため、ジョーイ(・ロガーノ)に対して築き上げたギャップを最大限に活用しようと考えていた。ここまで強いクルマを手に入れるたび、何かに“噛まれて”きたからね」

 一方、プレーオフドライバー最高位の2位フィニッシュを果たしたロガーノは、トップ10圏外に終わったロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)や、7位のバイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)らを従えて、新たなチャンピオンシップリーダーに浮上している。

 一方、併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズの第27戦は、破竹の勢いを見せるノア・グラグソン(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が、プレーオフ初戦も制して1983年以来のシリーズ4連勝を飾り、今季7勝目に到達している。