いよいよF1が鈴鹿にやってくる。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、日本での開催は3年ぶりだ。タイトル争いも佳境を迎えており、日本GPで今年のチャンピオンが決まる可能性もある。そんな日本GPに向けて、今回はautosport webでもおなじみのF1ジャーナリスト、尾張正博氏がグランプリの見どころを語る。

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 いよいよ日本GPが3年ぶりに開催される。今年の日本GPの見どころはスバリ、ホンダのDNAが宿るHRC(ホンダ・レーシング)製のパワーユニットが搭載されているレッドブルを駆るマックス・フェルスタッペンがホンダのホームコースである鈴鹿サーキットで、2連覇を達成することができるかどうかだろう。

 現在チャンピオンシップでトップを独走するフェルスタッペンの獲得ポイントは341点。選手権2位のシャルル・ルクレール(フェラーリ)とは104点差、同3位のセルジオ・ペレス(レッドブル)とは106点差となっている。すでに4位以下のドライバーは逆転でタイトルを獲得する可能性は完全に消滅しているため、鈴鹿でタイトルが決定するかどうかは、この3人のパフォーマンスにかかっている。

 フェルスタッペンが日本GPで2連覇を達成するには、日本GPが終了した時点で2位以下に112点以上の差をつけることが条件となっている。優勝(25点)と2位(18点)の差は7点あるため、もしもフェルスタッペンが優勝しても、2位にルクレールが入れば、その差は111点にしかならない。ただし、現在のF1はレースでファステストラップを獲得したドライバーに1点が与えられるため、フェルスタッペンが優勝&ファステストラップを獲得すれば、無条件で2連覇を達成する。

 そこで注目されるのが、鈴鹿との相性だ。鈴鹿の特徴は低速から高速までさまざまなタイプのコーナーが連続したテクニカルコースで、タイヤに厳しいことだ。今年のカレンダーのなかでこれと似たコースはバルセロナ(スペインGP)、シルバーストン(イギリスGP)、スパ-フランコルシャン(ベルギーGP)あたりとなる。フェルスタッペンはこの3つのうちふたつで優勝。7位に終わったイギリスGPはレース中にコース上の破片を拾ってマシンにダメージを負っていたからで、それがなければ優勝していた可能性は高い。つまり、フェルスタッペンが鈴鹿の予選でポールポジションを獲得し、レースをポール・トゥ・ウインで制す可能性は極めて高い。

 ただし、ファステストラップは難しいかもしれない。というのも、フェラーリが勝てないと判断した場合、フェラーリはルクレールもしくはそのチームメートのカルロス・サインツに、勝負を捨ててレース終盤に緊急ピットインを命じてファステストラップを狙わせ、フェルスタッペンのタイトル獲得を阻止することが考えられるからだ。

 そうなると重要になるのが、フェルスタッペンのチームメイトであるペレスの役割だ。もしペレスがフェルスタッペンに続いて2番手を走行し、フェラーリ勢2台を抑えてチェッカーフラッグを受ければ、その時点でフェルスタッペンのタイトル獲得が決定する。

 ホンダのDNAが宿るエンジンが鈴鹿でタイトルを獲得するのは、1991年以来のこと。33年前はアイルトン・セナのチームメートであるゲルハルト・ベルガーが、セナの王座に大きく貢献し、1-2フィニッシュでタイトルを決めた。

 じつは今年、レッドブルはスペインGP、ベルギーGPでも1-2フィニッシュを飾っている。33年ぶりの歴史的快挙を絶対に見逃してはならない。