今シーズン、いや、ここ数シーズン、予選でのパフォーマンスを課題としてきた平川亮(carenex TEAM IMPUL)。今季の予選最高グリッドは開幕戦・富士での3番手。平川は「そこから予選結果がどんどん悪くなっていくというのは、想定していなかった」と最終ラウンド前に振り返っていた。

 走行時間の限られるスーパーフォーミュラでは、セットアップの大幅な変更には、常にリスクが伴う。それでもインパルと平川陣営はレースウイークのなかでできる範囲トライを繰り返し、第5戦SUGOあたりから新たな手応えをつかんでいたという。

 大逆転でのタイトル獲得を狙う最終ラウンド。金曜日の時点で平川は「点差も離れてしまっているので、プレッシャーは感じていない」と語った。そして、課題としている予選に対しては「しっかりと準備してきた」と走行前の記者会見で語ったように、シーズン途中で得られた手応えをさらに伸ばす方向で、セットアップに変更を施してきていた。

 予選Q1では、そのセットアップが的中、B組を3番手で通過する。A組・B組を通した全体でも4番手タイムであり、平川とチームは順調に駒を進めているように見えた。

 しかし、セットをほぼ変えずに臨んだQ2で歯車が狂う。ポールポジションを獲得した野尻智紀(TEAM MUGEN)がQ1・B組からコンマ9秒の大幅タイムアップを果たした一方で、平川は自身のQ1のタイムを上回れず、11番手に沈んでしまった。

 予選後、平川は「Q1は結構良くて、もうちょっといけるなという感触もありました。Q2は、ウォームアップで前方にクルマがいっぱいいいて、タイヤを温めきれなかった……としか考えられないです。温めきれず、攻められなかったという感じだと思います」と、釈然としない表情のまま語った。サポートレースで使用されているタイヤの影響で、路面コンディションの変化が読みづらい側面もあったという。

 ただし、変更を施してきたセットアップは「機能していると思います。Q2もシケインとかで失敗しての11番手なので、クルマはそんなに悪くない」とも語り、本来得意とする決勝に向けては追い上げが期待された。

 もっとも、タイトル争いという意味ではライバルの野尻がポールポジションの3ポイントを上乗せしたこともあり、この時点で逆転はいよいよ現実的ではなくなってしまった。

 平川にとっての、予選Q2に続くもうひとつのターニングポイントは、決勝スタート直後にやってきた。

「スタートは良くもなく、悪くもなく。1台くらい抜いたんですけど、ポジショニングが良くなくて……。そこでスイッチ類の操作を間違えてしまい、S字でステアリング(上のスイッチ)を見ていたら、阪口(晴南)選手に抜かれてしまいました」

 スタート用にエンジンやスロットル関連のマップを変更し、それを1コーナーまでに通常の設定に戻す、という操作を平川はしているという。「みんなはあまり変えないみたいなのですが、僕は富士とかでも変えたりしています。それが今回は悪い方向に行ってしまいましたね」。

 結果的に、この一瞬のスキが平川の上位進出のチャンスを奪ってしまう。そこからは終始阪口にフタをされる形でレース進めることとなったが、阪口の前方には最終的に3位表彰台を得ることになる佐藤蓮(TEAM GOH)の姿が見えており、「彼(佐藤)より速いペースでいけるくらいの余裕は自分にあったので、スタート直後のミスがなければ、もっとチャンスは生まれていたと思います」。

 平川が抜きにかかると阪口がオーバーテイクシステム(OTS)を使う、という展開で両者は膠着状態に。ようやく阪口を攻略したのは20周目の日立Astemoシケイン。その時点でレースは3分の2が経過しようとしていた。

 阪口を抜いた翌周、待望のクリーンエアを得た平川はセクター1、2で自己ベストタイムを更新。そこまでのフラストレーションを解放する走りのように見えたが、残りの周回数も考えて「そんなにはプッシュしていなかった」という。

「やっぱり、前にクルマがいないだけで、全然ペースは上がるんだな、っていう。クリーンエアをいかに取るかというのが作戦の面では一番大事なのですが……前に車がいると、全然速く走れないですね」

 27周目にピットインしてフレッシュタイヤに履き替えた平川は、アウトラップでいったん抜かれた山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)をファイナルラップ前にオーバーテイク。さらに最終周には坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)にも迫っていったが、「もう、ボタン(OTS)が残っていなくて、行けなかったです」。9位でチェッカーを受けた瞬間、平川のタイトル争いは終わりを迎えた。

「今シーズンは今日で終わったと区切って、明日は来年に向けてしっかりと弾みになるように頑張りたい」という平川は、日曜に控える第10戦では「無茶はできないですけど、ある程度試していきたいことはあるので、そこは躊躇なくやっていこうと思います」と早くも目を来季に向けている。

「来年はクルマが変わる(次世代車両が導入される)かもしれませんが、とりあえずはいまのクルマでのベストを尽くせるよう、明日は試してみたいと思います」