2022年のスーパーGT最終戦、第8戦もてぎで決まるGT500クラスのチャンピオン争いは、これまで以上に予選が重要な要素を持つ。過去2年のスーパーGTはコロナ禍の影響もあって最終戦が富士で行われ、直線での追い抜きのしやすもあって、大逆転でのチャンピオン決定劇が繰り広げられたが、ストップ&ゴーの特性を持つもてぎでは、なかなかオーバーテイクは容易ではない。予選順位が過去2年の最終戦より重みが増すことに加え、予選ポールポジションに与えられる1ポイントが、チャンピオンシップにも大きく影響を及ぼしてくるのだ。

 まずはGT500クラスでタイトル獲得の権利がある6チームのポイント差をおさらいしておこう。

1 58pt 3号車CRAFTSPORTS MOTUL Z
2 55.5pt 12号車カルソニック IMPUL Z
3 54pt 17号車Astemo NSX-GT
4 41pt 100号車STANLEY NSX-GT
5 38pt 37号車KeePer TOM’S GR Supra
6 38pt 14号車ENEOS X PRIME GR Supra

 ここでまず重要なのが、勝てば相手の順位に関係なくタイトルを決めることができるのは、3号車、12号車、17号車の3台。そして、14号車はまずはポール・トゥ・ウインが前提となり(37号車上位入賞回数が3号車より上のため同ポイントでもチャンピオン)、予選でポールの1ポイントを獲得できなかった時点で、タイトル争いから脱落してしまうことになる。

 それだけ重要な今回の予選で鍵を握ることになるのが、今年4度のポールを獲得している19号車WedsSport ADVAN GR Supraだ。今年、一発の速さが際立っている19号車は最終戦でもポールを獲得する可能性が高いが、もし19号車がポールを獲得すれば、同じGRスープラ陣営の37号車、14号車のタイトルの可能性を消してしまうことになる。19号車の坂東正敬監督は、さぞ頭を悩ましているだろうと想像し、金曜搬入日にその心境を聞きにいったのだが……。

「申し訳ないですけど、そういうことは1ミリも考えていなかったです。全然、ポールを狙います」と、きっぱり。

「僕はチャンピオン争いに関してどうこう言える立場じゃないですけど、(GRスープラの2台の候補は)自力でタイトルを決められる感じではなくて、相手次第なところがありますので、逆に言えば、僕らの立場としてはポール・トゥ・ウインができればGRトヨタ陣営の中でトップになれる可能性がある」

「そのためには1ポイントでも多くというのと、これまで年間5回ポールが最多のようですけど(2007年TAKATA童夢NSX)、そのときは年間9戦の開催だった。年間8戦中のなかの5回ポールだと歴代トップになる。ヨコハマタイヤとしても前回のオートポリスで(24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zが)ポールを獲っているので、タイヤの良さを日曜日の決勝前まで、きちんと段取りをしながらポールポジションをまずは獲りたいなと思いますので、空気を読むということはないと思います」と、坂東監督。

 事前に行われたもてぎでのテストでも(オートポリス後に予定され、雨で延期となった後に開催)、19号車はいい手応えを感じているようだ。

「この前の事前テストでは12、17、3、37、19のなかではすごく僅差でしたが、トップだったので、今回も狙いに行きます。イメージですけど僕らが予選で前に行って、17とか12が後ろに行ったら、(優勝を目指すような)無理をするようなレースはしないと思うんですよね。だから逆に言うと、ライバルは8(ARTA NSX-GT)、100、24(リアライズコーポレーション ADVAN Z)、19、このあたりがポール争いをしながら、後ろの方でチャンピオン争いをしてくれれば」と坂東監督。

 19号車とヨコハマタイヤとしては、夏のもてぎでは優勝争いを演じたように実績があるが、この寒い時期でどこまでパフォーマンスを発揮できるかは、未知の部分がある。

「この前のテストではトップタイムが出せているので、タイムの出し方としては問題ないと思います。ただ、レースとなった時に冬場のピックアップとか、グレイニングとか、そういうところに課題があるんじゃないかと。逆に言うと、今年こうやってテストをしているなかで、タイヤがどんどん良くなってきていて、振り返ってみると、開幕戦の岡山は全然ダメだったわけです。やっぱり寒い中での開催ということもあって。そういう部分だとこの時期のもてぎでよければ、来年の開幕戦にもうまくつなげられるんじゃないかと思っています」と坂東監督。

 緊張感の高まるチャンピオン争いのなかで、今季の予選を賑わせている19号車がどのようなポジションになるのか。

「空気は読まないです。ポール・トゥ・ウインを狙います」と最後に念を打つよう話す坂東正敬監督。19号車がチャンピオン争いをどう掻き乱すのか。大きな鍵を握りそうだ。