3年ぶり最終戦の舞台となったモビリティリゾートもてぎでの2022年スーパーGT第8戦GT500クラス公式予選は、Q1を担当した山本尚貴、そしてQ2担当の牧野任祐ともに完璧なアタックを敢行した100号車STANLEY NSX-GTが、年間最多ポールポジション記録を狙った19号車WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)を逆転し、最後の最後で今季初ポールポジションを獲得。ランキング4位からの逆転王座に向けお膳立てを整えるとともに、牧野としても自身初のGT500ポールポジションを手にした。

 開幕戦岡山からトラック上では毎戦のように僅差の勝負が展開されてきた今季も、いよいよタイトル決定の週末を迎えた。ここまでの7戦中4戦でトヨタ、ホンダ、ニッサンの各陣営が表彰台を分け合う白熱の展開が続いたシーズンだが、終盤に入りニッサン、ホンダが第6戦SUGO、第7戦オートポリスでそれぞれ1-2フィニッシュを決め、チャンピオン争いでは一歩抜け出すかたちに。

 対するトヨタ陣営は、開幕戦で14号車ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)が、第4戦で37号車KeePer TOM'S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋)が勝利を挙げたものの、その序盤戦で搭載したサクセスウエイト(SW)が響き、トラブルやアクシデントなどレース展開にも翻弄され、前述の2台ともにこの予選でポールポジションの1点を獲得することが、地力逆転王座の必須条件という厳しい状況に追い込まれた。

 チャンピオンに向け重要度を増す予選を前に、走り出しのタイムと、気象条件や持ち込みタイヤ、セットアップ適応の出来が注目された午前の公式練習では、混走時間帯からポイントリーダーの3号車CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)が計時モニター最上位に居座り続け、ロングランでも安定したタイムを刻む。さらに予選シミュレーションを実施するクラス専有走行枠では、12号車カルソニック IMPUL Zのベルトラン・バゲットがトップタイムを記録し、ランク2位からの逆転王座に意気込む。

 一方、ホンダ陣営ではタイトル候補の100号車STANLEY NSX-GTこそ4番手まで改善を見せたものの、ここもてぎで悪天候に翻弄されながらも、イベント開催前に事前タイヤテストも実施した17号車Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)は、ショートランを繰り返して11番手とわずかに不安の残る結果となった。

■Q1 14号車ENEOS X PRIME GR SupraがQ1敗退でタイトル争いから脱落
 14時20分のGT300クラスQ1A組開始時点で気温は16度と、風が吹けば肌寒さも覚える気候ながら、路面温度は午前9時30分の19度から27度まで上昇するコンディションに。しかしタイヤの熱入れを考慮し、14時53分のQ1開始と同時にコースへ向かったダンロップタイヤ装着の16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹)、64号車Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹)を筆頭に、各陣営とも早めの動き出しを見せる。

 セッション3分経過でニッサン陣営が最後にピットを後にし、各車グリップ発動まで念入りなウォームアップを進めると、まずは 3号車CRAFTSPORTSの千代が、自身計測3周目で早くも1分36秒129の基準タイムを設ける。そこへ23号車MOTUL AUTECH Zの松田次生も続いて1分36秒390で2番手とする。

 これに対し、わずかに先行してコースインしていた100号車STANLEY山本がセクターベストを並べ、計測4周目で1分35秒615としてタイム更新。ここへ同じラップで前戦ポールシッターの24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zの佐々木大樹が並んでいく。

 その一方、タイトルに向け予選ポールが欲しい14号車ENEOS X PRIMEの山下は計測5周目で38秒台、コントロールライン通過時点で7番手に留まると、続くチェッカーラップでも1分36秒台となり11番手に沈み、この瞬間に逆転タイトルの芽は絶たれることに。

 最終的に2アタックで自己ベストも更新した24号車と、19号車の国本が3番手とし、ヨコハマタイヤ装着車がトップ3圏内を確保。背後にはダンロップ組ホンダNSX-GTの2台が並び、8号車ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)を挟んでニッサン陣営の3号車、12号車の両タイトル候補がカットラインをクリア。一方で17号車Astemoは10番手でQ1敗退と、逆転タイトルに向け黄色信号の灯る結果となった。

■Q2 “最速男”阪口晴南がトップに立つも、最終アタックで牧野任祐が逆転ポール
 直前のGT300クラスQ2で赤旗が発生した影響も受け、予定より13分遅れの15時44分より開始された今季最後のQ2は、陽も傾いてホームストレートは完全に日陰のなか、路面温度のさらなる低下も予想される。

 そんななか、まずはQ1同様に16号車の笹原、64号車の大津がピットアウトし、8号車ARTAの福住を挟んで24号車リアライズの平手晃平、19号車WedsSport阪口が続いていく。

 12号車カルソニックの平峰、100号車STANLEY牧野のブリヂストンタイヤ装着車よりさらに後、セッション3分半を経過したところで3号車CRAFTSPORTS高星が最後にコースへと向かう。

 やはり発動の早いミシュランタイヤを履く3号車の高星は、ウォームアップラップの2周目も1分41秒台で入ると、続く周回で早くもアタックを敢行して1分35秒916を叩き出す。しかしこれに待ったを掛けたのが“ポールポジション請負人”こと19号車WedsSportの阪口で、計測4周目で1分35秒306として今季5度目の最前列をほぼ手中に収めたか、盤石のタイムを刻んでみせる。

 しかしドラマはここで終わらず。Q1通過後に「初めて履くニュータイヤで、彼にはプレッシャーもあるはず」と先輩である山本にエールを贈られていた100号車STANLEYの牧野が、計測5周目のチェッカーラップで最後のアタックを敢行すると、各セクターでタイムを更新する走りで最終ビクトリーコーナーをクリア。1分35秒194として、最後の最後に逆転ポールを奪い取ることに。

 赤旗ディレイにより路面温度も20度を切る難しいコンディションをものともせず「前戦オートポリスで逃していたポールポジションが獲り返せて、本当に良かった」と、自身初の予選最速に安堵する結果となった。

 一方、ランキング首位の3号車CRAFTSPORTSの高星は4番手、そして12号車カルソニックの平峰はその高星から3番手を奪取し、ともに2列目からスタートを切ることに。フロントロウの19号車を含め、これで予選上位を3メーカーが分けると同時に、レース序盤は各タイヤ銘柄のグリップ発動条件も異なるだけに、明日6日(日)は混戦必死の決勝300kmとなりそうだ。