2022年スーパーGT最終戦、第8戦もてぎの予選。優勝すれば相手の順位に関係なくチャンピオンが決まる、いわゆる自力優勝が可能な3台のチームの1台だった17号車Astemo NSX-GTが、予選で10番手と厳しい結果で決勝を迎えることになってしまった。同じく、ポールポジションの1ポイントが必須だった14号車ENEOS X PRIME GR Supra も予選11番手でタイトル争いが完全終了。37号車KeePer TOM’S GRスープラも予選14番手と、厳しいリザルトとなってしまった。予選で悔しい結果となったドライバー、そしてチーム監督に聞いた。

「いや……厳しいですね」。17号車Astemoの塚越広大に予選の感想を聞いたが、やはり、その表情は厳しかった。17号車はQ1で松下信治がアタックを担当したが、10番手でQ1敗退。タイトルを争う3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zが4番手、12号車カルソニック IMPUL Zが3番手で2列目からスタートするだけに、逆転タイトルが極めて厳しい状況になってしまった。

「(午前中からクルマは)思うようなバランスにはなっていなくて、いろいろセットアップを変えたものの、予選までには追いつかなかったですね」と塚越。

17号車はこの最終戦前に開催された事前のタイヤテストでは好タイムを出し、手応えのよい状態で今回のもてぎ戦に入っていたはずだった。

「事前テストの時は感触はすごくよかったのですけど、今日はそのときとは違う感触から始まってしまって、そこからどういう方向に行けばいいのかというのも、なかなかアイテムを見つけられずに終わってしまった印象です」と、難しかった予選日を振り返る塚越。

「今回、テストのときから持ち込みのセットアップを変えたとかというわけではないので、コンディションの違いなのかなとか思いますけど、そこはまだ分かっていません。できる限り分析して、明日の決勝につなげたいと思います」と、続ける。
 
 なかなかオーバーテイクが簡単ではなもてぎだが、何が起こるのかわからないのがスーパーGT、そして最終戦。「ライバル勢に対して後方からのスタートになってしまうので厳しいですが、そのなかでも決勝でしっかり力強く追い上げられるように最大限の準備をして臨みたいとは思っています」と、塚越は日曜の決勝に、一縷の望みをかける。

●ワースト5独占で大不振に陥ってしまったGRスープラのBS(ブリヂストン)陣営

 まだチャンピオンの可能性が残っている17号車に対し、完全に権利を失ってしまったのが14号車ENEOS X PRIME GR Supra だ。予選では山下健太がQ1を担当したが、11番手でQ1敗退となってしまった。チームメイトの大嶋和也が、予選日の状況を振り返る。

「予選、ダメでしたね。今日は持ち込みのセットアップもそこそこ自信のあるもので臨んだのですけど、午前中からあまりパッとしなかった。そこからガラッっとセットアップを変えて、走りはじめからだいぶ短い時間でまとめられたなと思ったのですけど……BSのトヨタ勢トップなのですけど、ちょっと厳しいですね」と大嶋。

「クルマのフィーリングとしては悪くはなくて、何が悪いというわけではないんです。そこそこのバランスにはなっているものの、あれだけトップとはタイム差(Q1トップとはコンマ8秒差)があるので、正直、ここから何をやればいいのか分からない状態です。(山下)健太もアタックでそこそこまとめて来てあのタイムなので、タイム差を見ると『もうちょっとここが曲がれば』という領域ではないので、困ったなという感じです」と続ける。

 同じく、予選14番手で実質、タイトルへの勝負件がなくなってしまった37号車KeePer TOM’S GRスープラの宮田莉朋も、厳しい状況を語る。

「アタックはノーミスです。事前のテストでは気温とか路面温度とか風の影響とかが良い方向になったので速さが出せていましたけど、最終戦でトップ争いができるくらいの速さがあるような感触ではありませんでした。そのなかでタイヤ選択で選ぶべきものを選んで、セットアップも考えて来なければと思っていたのですけど、悪い意味で予想したとおりの結果になってしまいました」と宮田。

 36号車au TOM’S GRスープラも15番手の最下位で、アクシデントがトラブルがない状況でトムスが15台中14番手、15番手の最後尾のリザルトは、なかなか記憶にない。そして、最後尾から5台がGRスープラ+BS勢というのも、厳しい状況を象徴している。

 だた、一方で19号車WedsSport ADVAN GRスープラが2番手を獲得していることから、クルマが悪いわけではない。また、ブリヂストン装着の100号車STANLEY NSX-GTがポールを獲得していることからも、タイヤが悪いわけではない。原因は不明だが、クルマとタイヤのマッチング、セットアップの詰め、タイヤ選択などの部分に要因が考えられる。

「レースが始まってから11月までタイヤテストはできていなかったので、そういう部分を含めても全然、僕らはそういったところでスープラの足りないところを把握しきれていないんじゃないかなと、ずっと思っています。昨年までヨコハマでずっとテストをしてきた経験があるからこそ、走行する時間が必要だということがよくわかります」と宮田。

 それでも「ブリヂストンとスープラは、レースは強いと思うので、予選は最悪な状況ですけど、まずはスープラ内のトップを目指して、最終戦なのでしっかりオーバーテイクをしてできるだけ上に行きたいと思います」と前を向いた。

●もてぎでの仇敵、100号車にまたしても打ち負かされてしまった19号車

 GRスープラ陣営のなかで、唯一の光明は19号車WedsSport ADVAN GRスープラが予選2番手を獲得したこと。2番手を獲得はしたが、惜しくも年間5度目のポールを逃してしまい、19号車坂東正敬監督も複雑な心境だった。

「俺、本当にポールを獲ったと思って、実は無線で『(阪口)晴南、ポール!』って、言っちゃったんです。1分35秒3のタイムが出た時点でポール確実だと思ったので。だからもう、悔しいというか……2台(100号車と19号車)だけですからねコースレコードは。あの1分35秒3のタイムを出して、それより上がいたら、もう完敗ですね。今回はドライバーの牧野(任祐)も初ポールですごかったと思います」と、坂東監督。

 予選で敗れた相手が100号車というのが、また坂東監督に追い打ちを掛けた。

「いつも、もてぎでは100号車ですわ(昨年第4戦もてぎ戦で一騎打ちのトップ争い敗れて19号車は2位)。まあ、世の中、そんなに上手くいくことばかりだったら面白くないですから。それでも寒いもてぎでの予選2番手はタイヤの成長ですし、画期的だと思っています」と坂東監督。

 チャンピオン決定戦となった2022年最終戦もてぎ戦。予選からさまざまなドラマが生まれる内容となったが、果たして決勝はどうなるか。予選で不本意な結果に終わったチームがどこまで巻き返せるかも、ひとつの注目どころとなる。