2022年シーズンのF1は、すでにマックス・フェルスタッペンがドライバーズタイトルを、レッドブルがコンストラクターズタイトルを決め、選手権の決着はついている。しかし第20戦メキシコGPでは、フェルスタッペンのシーズン最多勝利記録の更新がかかっていた。そんなメキシコGPを無線とともに振り返る。

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 フェラーリが予選時から精彩を欠き、メキシコの週末はレッドブルとメルセデスの一騎討ちとなった。

 スタートでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が首位を堅持。しかしジョージ・ラッセル(メルセデス)をかわして2番手に上がったルイス・ハミルトン(メルセデス)が、ぴたりと背後につく展開でレースは進んでいった。

L13
ジャンピエロ・ランビアーゼ(→フェルスタッペン):スリップにつかれないように行くんだ。いい仕事をしてるぞ

 この時点で2番手ハミルトンとの差は、1秒6しかない。既にこの段階で、1ストップで走り切ることを前提に、タイヤをマネージメントしているということだったのだろう。

 一方でフェラーリのペースは、レース本番でもまったく上がらない。

L19
シャルル・ルクレール:失うものがないなら、プランCを考えてくれ
マルコス・パドロス:それだとトラフィックに引っかかる恐れがある

 スタートで履いたソフトタイヤが早くも苦しく、2回ストップ作戦を打診したのだろう。同じく中古ソフトのフェルスタッペンも、フロントのグリップ不足を訴え始めた。

L23
フェルスタッペン:左フロントが曲がらなくなってる
ランビアーゼ:了解した

 23周目にセルジオ・ペレス(レッドブル)がまずピットイン。ミディアムタイヤに交換した。対照的にメルセデスのミディアムは、ペースが落ちない。少なくともこの時点までは、メルセデス優位の展開に見えた。ハミルトンはフェルスタッペンに、1秒6まで迫っている。

L25
ハミルトン:僕のタイヤは、まだ大丈夫だ

フェルスタッペン:左フロントは、もう死んだよ

 25周目に、フェルスタッペンもミディアムに交換した。

ピーター・ボニントン(→ハミルトン):このタイヤで何ができるか、見てみよう。現時点で、ターゲット+6だ

 事前の想定周回数より、6周多く行こうということなのだろう。

L28
ハミルトン:エンジンにカットオフが出てる

 ハミルトンが29周目にピットイン。ハードタイヤに交換して、フェルスタッペンの6秒後方でコース復帰した。これで暫定首位に立ったラッセルが、チームメイトとは違う戦略を提案した。

L32
ラッセル:最後は、ソフトで行こう!
リカルド・ムスコーニ:それだと、(今のミディアムで)かなり長く走り続けないといけない

 ラッセルは34周まで引っ張ったが、最終的にハミルトンと同じハードに履き替えた。

L35
ランビアーゼ(→フェルスタッペン):ソフトの摩耗は、まったく問題なかったよ

 この無線を聞く限りでは、2回ストップで最後にもう一度ソフトを履かせる戦略も考えていたということか。しかし結果的にレッドブルは、両ドライバーともにソフト→ミディアムの1回ストップ作戦で走り切った。

 一方でハミルトンのペースが、徐々に落ちている。

L38
ハミルトン:このタイヤ、ミディアムほどよくないね
ボニントン:ライフの最後に、ガクッと落ちるようだ

 路面温度が下がってきたことも、影響しているかもしれない。スタート時点に比べ、すでに10度近く下がっている。フェルスタッペンとの差は、6秒から7秒9まで広がった。

L42
ラッセル:このタイヤは、ハッピーじゃない。滑りまくってる

ハミルトン:このタイヤ、よくないね。
ボニントン:いや、ミディアムは終盤に、必ず落ちるから

 そう言ってハミルトンを励ますが、ミディアムを履くレッドブル勢に対し、劣勢は明らかだ。

 50周目、角田裕毅(アルファタウリ)を強引に抜きにいったダニエル・リカルド(マクラーレン)が接触。角田は緊急ピットインを強いられ、そのままリタイアを喫した。

L50
角田:あいつ、XXX何してるんだ!

L51
マッティア・スピニ:ボディワークにダメージだ。マシン内側にも、ダメージがある
角田:あそこでオーバーテイクしようなんて、あり得ない!!

角田:なんて言ったらいいのか……まるでルーキーだよ

 5番手を快走していたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)も、トラブルでマシンを止めた。

L64
アロンソ:エンジン、エンジンだ
カレル・ルース:申し訳ない。言葉もないよ

 そしてフェルスタッペンがハミルトンに15秒以上の大差をつけ、今季14勝目を挙げた。

フェルスタッペン:14勝、信じられないよ。なんてシーズンなんだ!
クリスチャン・ホーナー代表:よくやった、新記録達成だ! 1シーズンにこんなに勝ったのは、我々も初めてだ。本当におめでとう!
フェルスタッペン:それにダブル表彰台だしね。これも凄いことだ。
ランビアーゼ:相変わらず、僕らを驚かせ続けてくれるね。最高だ

ハミルトン:素晴らしい仕事だった。最高のピットストップだったよ。プッシュし続けてくれて、本当にありがとう。今回は彼らが速すぎたということだ。でも必ず、近づける。それまで攻め続けよう
ボニントン:まったく、きみの言う通りだ。必ず接近できる。すでにずいぶん近づいてるし
トト・ウォルフ代表:ルイス、今回の我々は、すごく速かった。しいて言えば、タイヤ選択が正しくなかったかもしれない。でも攻め続けよう。

ヒュー・バード:またメキシコで、表彰台だ
ペレス:みんな、グッジョブだ!

ペレス:最速タイムだったのか?
ホーナー代表:ダブル表彰台、素晴らしい結果だったよ、チェコ。観客の声援を、存分に楽しんでくれ。残念ながら、最速はラッセルが取ったようだ。でも、最高だったよ
ペレス:みんなも最高だった。チャールズ(ルクレール)は何位フィニッシュだった?
バード:6位だ。きみが選手権2位に返り咲いた!

ホーナー代表:今回は表彰台に、GP(ジャンピエロ・ランビアーゼ)を上げようと思う。面倒を見てやってくれ
フェルスタッペン:それはちょっと保証できないかな。ものすごくびしょ濡れになると思うよ
ランビアーゼ:今夜のフライトで移動だから、手加減してくれよ
フェルスタッペン:そりゃあ、残念だ(笑)

 レッドブルとフェルスタッペンの勢いは、最終戦まで止まりそうにない。