2022年F1第21戦ブラジルGPの決勝が行われ、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がF1での初優勝を飾り、同時にメルセデスへ今シーズンの初勝利をもたらした。2位はルイス・ハミルトン(メルセデス)、3位はカルロス・サインツ(フェラーリ)となっている。角田裕毅(アルファタウリ)は17位だった。

 土曜日に行われた24周のスプリントではラッセル、ハミルトンが1番手、3番手と、メルセデスの速さが際立った。2番手のサインツがエンジン交換で5グリッド降格となったことで、決勝レースはメルセデス2台がフロントロウを独占した。これは昨年の第21戦サウジアラビアGP以来のことだ。今季ここまで0勝のメルセデスが、ついに初勝利を挙げるだろうか。

 スターティンググリッドでいえば、角田がスプリント後に前後のウイングやフロアを交換、さらにセッティングも変更したことで、ピットレーンスタートとなった。この週末ずっとグリップ不足を訴えており、改善を狙ってあえて下した決断と思われる。

 現地時間午後3時からの決勝レースは、快晴に恵まれた。気温23.6度、そして路面温度は50.4度と、この週末最も高温のコンディションとなった。ただしここから急激に下がる可能性もあり、タイヤ管理がレースの重要な要素になりそうだ。降水確率は10%で、雨の心配はほぼない。

 スタートタイヤは、3種類のコンパウンドが混在した。5番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)、7番手サインツ、8番手ケビン・マグヌッセン(ハース)、12番手ミック・シューマッハー(ハース)、15番手ランス・ストロール(アストンマーティン)、17番手フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、18番手ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)、そしてピットスタートの角田がミディアム。19番手のアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)がハード、そしてトップ4をはじめとするそれ以外の11台がソフトを選択した。

 レッドシグナルの消えるタイミングがかなり早かったが、ラッセルが素早く反応し、ポールポジションを堅持。ハミルトン、フェルスタッペン、ペレス、そして今日23歳の誕生日を迎えたランド・ノリス(マクラーレン)が続く。

 低速セクション、ターン8の進入で、マグヌッセンの背後に迫ったダニエル・リカルド(マクラーレン)が接触。2台は止まってしまい、早々にセーフティカー(SC)が導入された。SC中の5周目、アルボンがハードからミディアムに替えた。ノリスにかわされて6番手に後退したルクレールは加速の鈍さを訴えるが、チーム側は「問題ない」と、返している。

 7周目にレース再開。フェルスタッペンがハミルトンに迫り、セナのS字で2台が接触。さらにターン6でノリスとルクレールも接触し、ルクレールはターン7アウト側のバリアまで飛んで行き、再びSC導入かと思われた。しかし自力でコースに戻り、ノーズに損傷を受けたフェルスタッペンとともにピットに向かった。

 12周目の時点で首位ラッセル、2番手ペレス、3番手サインツ。ハミルトンは6番手、フェルスタッペン17番手、ルクレールは18番手まで後退した。ガスリーは7番手、角田も14番手まで順位を上げた。ハミルトンとフェルスタッペンの接触に関しては、フェルスタッペンに5秒ペナルティが下された。ハミルトンにダメージはないようで、セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)、ノリスを次々にかわし、15周目には4番手まで順位を戻した。

 17周目、ミディアムのサインツが早めのタイミングでピットイン。12番手でコース復帰した。これでハミルトンは3番手に上がり、トップ3だけが1分16秒台のペースで周回。首位ラッセルは「タイヤはいい」とレポート。21周目の時点で、ペレスとの差を2秒7まで広げている。

 23周目にペレスがピットイン。これに反応してラッセルも24周目にピットに向かい、ハミルトンが暫定首位に立った。ラッセルは2番手で復帰。ペレスは4番手だ。フェルスタッペンもソフトに履き替えたが、右リヤの交換に手間取り17番手と、再び大きく順位を落とした。

 29周目までソフトで引っ張ったハミルトンがミディアムに履き替え、4番手でコースに戻った。これで再びラッセルが首位に戻り、2番手ペレスに4秒6の差をつけている。ペレスはラッセルのペースについて行けず、両者の差はジリジリと広がっている。ハミルトンが最速タイムをマークし、1秒以上速いペースで3番手サインツに迫る。

 上空には雲が広がり、路面温度は41.8度まで下がった。ただし雨は、すぐには降りそうにない。首位ラッセルのペースは落ちず、43周目の時点で2番手ペレスに9秒差。そして速さに優るハミルトンが、45周目のメインストレートでペレスを抜き去り、ついに2番手に復帰した。

 47周目、3番手のペレスがピットイン。3番手に上がったサインツの11秒後方でコース復帰した。そして48、49周目にかけてフェルスタッペン、ハミルトン、ラッセルが次々にピットに向かった。ラッセルの首位は変わらず。サインツが2番手に上がり、ハミルトン、ペレスが続く。「タイヤはいい。なぜピットインなんだ」と、ハミルトン。しかしメルセデスのペースは盤石だ。

 52周目、ノリスがターン10立ち上がりで「パワーがない」といいながらストップ。これでマクラーレンは全滅だ。バーチャルセーフティカー(VSC)が導入され、アロンソ、ガスリーが即座にピットに向かった。さらに2番手サインツもソフトに交換。3番手に上がったペレスの4秒後方で、コース復帰した。

 その後54周目にSCに変わり、ラッセルがハミルトンに対して築いた11秒差はほぼゼロになった。「このまま1-2で行くの?」と、問うラッセル。「レースをする」と、担当エンジニアのリカルド・ムスコーニが答えた。3位表彰台のかかったペレスにとっても、冷えやすいミディアムで周回を重ねているだけに、厳しいSCとなった。路面温度は39.1度まで、さらに下がっている。

 60周目にレース再開。メルセデス2台の順位は変わらず、3番手ペレスにサインツが襲いかかる。そして63周目の裏ストレートで、DRSを使って抜き去って行った。ペレスはルクレールにも翌周のターン1で抜かれ、フェラーリが3、4番手につけた。

 ミディアムで20周近く走っているペレスはアロンソの速さにも対抗できず、65周目には6番手まで順位を下げた。さらに背後に迫るフェルスタッペンに順位を譲り、7番手に。フェルスタッペンには、「アロンソ、ルクレールのポイントを奪え」と檄が飛ぶ。一方メルセデス2台の優勝争いは、ラッセルが1秒以上のリードを保っている。

 そのままラッセルが71周を走り切り、真っ先にチェッカーを受けた。最速タイムを叩き出してのフルマーク。デビュー81戦目にして、ついに初優勝を飾った。

 2位ハミルトン、3位サインツ、4位ルクレール、そして5位には、レース終盤に素晴らしいオーバーテイクショーを見せたアロンソが入った。6位フェルスタッペン、7位ペレス、8位オコン、9位ボッタス、10位ストロール。この結果、ドライバーズ選手権ではルクレールとペレスが同ポイントで並んだが、優勝回数が多いルクレールが2位になった。

 アルファタウリの2台は終始ペースが伸びず、ガスリー12位、角田17位に終わった。

 メルセデスの1-2は、2020年のエミリア・ロマーニャGP以来。そしてイギリス人ドライバーの1-2は、2010年カナダGPでマクラーレンに在籍していたハミルトン、ジェンソン・バトン以来の記録となった。