2022年のNASCARエクスフィニティ・シリーズで新チャンピオンに輝き、最高峰カップシリーズではカート・ブッシュ(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)の代役としてシーズン後半を戦ったタイ・ギブスが、来季よりフルタイムでのカップ戦昇格を果たすことが確定。デニー・ハムリン、クリストファー・ベル、マーティン・トゥルーエクスJr.らとともに、移籍を決めたカイル・ブッシュ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)の後任として4台目をドライブすることが決まった。

 7月のポコノ・レースウェイでクラッシュを喫し、脳震盪とその影響で長期離脱を強いられたカートは、終盤プレーオフに突入した地元ラスベガスでの1戦を前に、惜しまれつつの引退を表明。そのキャリアに幕を閉じる決断を下した。その離脱期間中に45号車(プレーオフではダレル“バッバ”ウォレスJr.へのナンバー引き継ぎで23号車)を託されたジョー・ギブス・レーシング(JGR)の御曹司は、カップ3戦目のミシガンで10位フィニッシュを果たしたのを最上位に、最高峰クラスで15戦に出走していた。

 そのタイは、来季に向けシボレー陣営のリチャード・チルドレス・レーシングへの移籍を決めたカイルの後任に指名されたものの、チームの顔とも言えるドライバーが15年間背負った栄光のNo.18ではなく、慣れ親しんだエクスフィニティ時代のNo.54でシーズン開幕を迎えるという。

 実は、今季エクスフィニティでの初王座を勝ち獲る前戦。最高峰では前代未聞、衝撃の“TVゲーム・ムーブ”が話題をさらったマーティンスヴィルにて、弱冠20歳のタイはチームメイトであるブランドン・ジョーンズ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)を、優勝争いのホワイトフラッグ周回で背後から撃墜。この行為に対しファンや競合ドライバーたちからは数多くの非難の声が挙がっていた。

「瞬間にとらわれ、利己的な行動だった。本当に難しいことだけれど、自分自身をこの立場に置き、そこから学び、先に進まなければならない」と、最終戦“チャンピオンシップ4”のフェニックス戦を前に語っていたタイ・ギブス。

「ここに座って可能な限り『申し訳ない』と伝えることはできるけれど、それで問題が解決するわけではない。自分の行動を正さなければならないと理解している。JGRは大きな家族であり、自分の利己的な行動のために、それをバラバラにすることは本当に僕自身を傷つけた。なぜなら僕はそこで育ったから」

■スチュワート・ハース・レーシングはプリースの起用を決定

 一方、フォード陣営のスチュワート・ハース・レーシング(SHR)も、2023年に向け新たなドライバー契約をアナウンス。来季はエクスフィニティに戻るコール・カスターに代わり、41号車のフォード・マスタングにライアン・プリースを起用することを決め、2019〜2021年までJTGドハティ・レーシングからフル参戦したプリースが、リザーブからの昇格を果たす。

「これこそ僕自身が取り組んできた機会だ。2022年の初めには何も保証されていなかったが、レースカーであろうとシミュレーターであろうと、時間を費やすならSHRこそが僕にとって最適な場所だと感じたんだ」と、今季はSHRのリザーブ兼シム開発ドライバーの仕事を務めるかたわら、エクスフィニティでは3戦中2戦のトップ10、そしてキャンピング・ワールド・トラック・シリーズでは10戦中9戦のトップ10とナッシュビルでの勝利を挙げるなど、限定された参戦で結果を残してきたプリース。

「ここはレーサーによって、レーサーのために作られた組織であり、まさに僕がなりたい自分になれる場所だ。今季が終わったばかりで、ほとんどの人が休息を取りたいと思っているだろうが、始めるのが待ち切れないね!」

 そのプリース昇格を決めたSHR共同所有者兼“レーサー”のトニー・スチュワートは「彼が我々のプログラムに費やした時間と努力は、彼の実世界でのレース経験やリザルトと相まって、彼自身にこの機会を与えたんだ」と、その努力を評価する。

「ライアンはキャリアの中で何度か自分に賭けてきたが、つねにそれが報われている。そして今度は我々が彼に賭ける番だ。今、ライアンはカップで適切な機会を得た。我々は彼を誇りに思っており、彼がSHRのレースカーで何を見せてくれるかを楽しみにしている」