11月27日午前、『ホンダレーシングサンクスデー2022』が開催中のモビリティリゾートもてぎで、2022年シーズンのF1世界選手権を戦ったスクーデリア・アルファタウリのピエール・ガスリーと角田裕毅が登壇する取材会が行われた。

 2023年はアルピーヌF1へ移籍するガスリーは、長きにわたりレースキャリアをともにしたホンダ/HRCへ向けた感謝、「兄弟のように」接したチームメイト角田への想いを語るとともに、日本でのスーパーフォーミュラ参戦の際の思い出。そして日本のファンへ向け感謝のメッセージを述べた。

 まず、「アルファタウリで2022年シーズンを戦ってきたけど、今回のイベントがアルファタウリでの最後の走りになるから、非常にエキサイティングで楽しみにしているよ」と語り始めたガスリー。続けて、2022年シーズンを振り返った。

「ここで嘘をついても仕方がないので。正直、今年はがっかりすることも多いシーズンとなった。僕たちは2021年シーズンに本当に素晴らしいクルマを作り上げたので、2022年は当然それよりも良い結果を出したいと思っていた。ただ、レギュレーションも大きく変わったこともあって非常に苦戦することになった」

「問題がたくさん発生し、それをどんどん改善しつつ、頑張ってベストを尽くそうとしたけど、思ったようなパフォーマンスを出すことができず。本当に少し悔しいシーズンとなった。ベストを尽くしてもポイント圏内に入れなかったり、本当に悔しかった」

 事前に募集された記者からの質問の多くはガスリーに向けられた。その中には、日本、そしてスーパーフォーミュラの思い出を尋ねるものもあった。

「日本については本当に思い出がたくさんあるね(笑)。まず、今一番に思い出したのは、2017年に最初に日本に着いた日のこと。僕はぜんぜん日本を訪れたこともなかったし、知り合いもいなかった。文化も違う。知らない言葉を話す国にひとりぼっちでやってきた際には不安だったね。ただ、SFテストのために鈴鹿サーキットに向かうと大きく印象が変わったんだ」

「それまで参戦していたGP2ではファンがやってくることはぜんぜんないから、“ファン”という概念を自分自身で体験したことはなかった。でもSFのテストを終えて、ピットから自分のチームオフィスに戻ろうとしたら、ピットから出ることができないほどのファンが集まって、僕を出迎えてくれたんだ」

「そして、僕に写真やサインを求めてくれた。僕は驚いたし感激した。初めて“ファン”に出会った。ファンと触れ合うことができたんだ。これは僕の一生忘れることはない大切な思い出だ」

「日本の思い出は、本当にいい思い出ばかりが浮かぶ。台風を経験しているけど……ね。それ以外はいい思い出ばかりだ。そして、僕にとっては成長できた原点とも言えるような場所だと思う。それに日本の生活や文化に慣れることもできたし。すごく大好きな国さ」

「日本には他にはないタイプのファンが集っているように感じるね。いつも、日本に来る際にはカラのスーツケースを持ってこないと、ファンがくれるたくさんのプレゼントや手紙を持ち帰れないから。手紙をくれるというのは日本の文化だと思うけど、自分の気持ちを人に伝える方法としては、それは親切で優しい伝え方だと思う」

「その気持ちを、僕も大事にしているよ。さっきから話しているとおり、僕は日本が大好きだし、日本のファンが大好きだ。今日はホンダドライバーとして、日本での最後の走りを見せることができ、非常に楽しみにしている。今日は楽しみたいし、頑張りたい」

 そして、SF、F1とキャリアをともにしてきたホンダ/HRCのスタッフについての印象を尋ねられると「まず、初めてホンダに触れたのは、スーパーフォーミュラ参戦の時だね。それで、さくらの研究所を訪れたら、それはもう驚いたよ。本当に素晴らしい研究所だと思ったんだ。すごく本当に綺麗でピカピカで、病院のごとく埃がひとつも落ちていない。そんな施設ずを訪問させてもらい、ホンダのスタッフも親切で、一生懸命に働いている姿も見たんだ」と振り返った。

「僕がホンダの研究者を含め、皆さんとの思い出で印象に残っているのは、彼らはそれぞれが個人的な目標を抱いて仕事に取り組んでいたことだ。100%のベストを尽くして、最後には達成させる。だからこそ、すごく信頼できる人々だったし、ホンダは信頼できる会社だった」

「2018年にトロロッソに加入して、ホンダも『速いエンジンを作るんだ』、『グリッドで一番速いクルマを作るためにベストを尽くしているんだ』という気持ちから僕たちはF1でのタッグをスタートさせた。最初はゆっくりだった、でもひとつひとつのハードルを超えてホンダのみんなは頑張ったんだ」

「僕は彼らの努力する姿を見て、『ホンダは間違いなくワールドチャンピオンになる』と思っていたし、それを信じていた。そして、ホンダはレッドブルとともにワールドタイトルを手にしたし、僕も2020年のイタリアGPでF1初勝利を挙げることができた。これもホンダのみんなのおかげだと思っている。日本にいる研究者のみなさん、製造に携わる人々、そしてイギリスで働く人々は、お互いにベストを尽くして、絶対にギブアップをすることなく、頑張り続け、素晴らしいクルマを作っている人たちなんだ」

 そして、2021年から2年間チームメイトであり、『まるで兄弟のよう』と評された角田裕毅については、以下のように述べている。

「裕毅と2年間を過ごして、ひとつだけは把握できた。サッカーは僕の方が上手い(笑)。裕毅はそう思っていないかもしれないけど(ここで角田が首を横にふる)、ビデオも残っているからね!」

「それ以外に振り返っても、この2年間はいい思い出ばかりだ。レース中はもちろんライバルだけど、サーキットを離れると本当に仲のいい仲間、いい友達だと思っているし、そんな彼を僕はリスペクトしている」

「やはり、チームメイトはリスペクトできる人であることが非常に重要だと思う。僕たちはお互いを尊重しているし、いい関係を築き続けることができたのは、非常に嬉しい」

「F1でのキャリアはそこまで長くはないけど、この5年間で一番、ベストのチームメイトだった。一緒に走ることができて、嬉しく思っているよ。裕毅は選手として素晴らしく、これからもどんどん伸びていくドライバーだと思う」

「すごくタレント性のある人だと思うから、今までと変わらず応援するよ。ただ、裕毅の食生活とトレーニングについては僕からアジャストさせてもらったよ。より素晴らしいボディになって、結果も出ているでしょ? そういったところもあって、2年目の彼はさらに強くなった」

「2022年は本当にレベルの高いシーズンだった。大ベテランも、強いチャンピオンもいるなかで、ミッドフィールドの僕たちは衰えることなく、ベストを尽くせたと思う。簡単ではなかったけど、勉強にはなった」

「2023年からはチームメイトではなくなる。けど、いい友達として関係を続けてほしい。そして裕毅の成長を見守りたい。引き続き、よろしくね」

 2022年F1最終戦アブダビGP終了後の11月21日には、アルピーヌの2022年型マシン『A522』のステアリングを握り、ヤス・マリーナ・サーキットで行われたF1アブダビテストに臨んだガスリー。

 会見終了後、ガスリーは『ホンダレーシングサンクスデー2022』にて、2020年イタリアGPでF1初勝利を飾ったアルファタウリ・ホンダAT01のステアリングを握りモビリティリゾートもてぎを走行する。ガスリーも「アルファタウリのマシンを走らせるのは最後」と語ったこともあり、その走りに大勢のファンの視線が集まるに違いない。そして、その走りを見逃さず、その目に刻んでほしい。