TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR WRT)のテクニカルディレクターであるトム・ファウラーは、日本のメーカーがWRC世界ラリー選手権第2戦『ラリー・スウェーデン』で表彰台を逃したことについて、「気にしていない」と語った。

 ヤリ-マティ・ラトバラ代表指揮の下、現王者のカッレ・ロバンペラ、エルフィン・エバンス、8冠王者セバスチャン・オジエ、ワークス昇格を果たした勝田貴元という新体制で2023年シーズンを迎えたTGR WRT。チームは1月の開幕戦モンテカルロで、オジエとロバンペラによるワン・ツー・フィニッシュを飾り完璧なスタートを切った。

 しかし、2月9〜12日に行われた第2戦スウェーデンでは状況が一転する。ロバンペラ、エバンス、自身初のワークスノミネートとなった勝田の3選手はいずれもトップ3フィニッシュを果たせず、トヨタが過去3連覇していたスウェーデンの表彰台に彼らの姿はなかった。

 最終日までティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)と表彰台を争ったロバンペラは総合4位でのフィニッシュに。チームメイトのエバンスはドライビングに自信を持つことができず上位争いに加われず。また勝田はデイ2のSS5でロールをともなう大きなクラッシュを喫し、好調だったラリーを棒に振ってしまった。

 技術部門のトップであるファウラーは、トヨタが今季2勝目とトップ3フィニッシュを逃した理由として、トヨタGRヤリス・ラリー1のセットアップの問題と、22歳の新チャンピオンが金曜日に道を開いていく役目を負ったことを挙げた。

「金曜日のあるステージで、カッレ(・ロバンペラ)が30秒以上タイムを失っているのを見た」とファウラーはWRC.comに語った。

「それはカッレが“路面の掃除役”として最初にステージを走ったからだ。それを除けば彼は(トップの)すぐ後ろにいた。そして、優勝争いに加わっていたと信じている」

「カッレが氷と雪の道を最初に走ったのは、ちょっとした宝くじのようなものだった」

「仮にクルマに何か問題があったのであれば、私はそれを受け入れることができる。だが今回はそうではなかったと思う。我々のクルマはまだ強いし、次のラウンドであるメキシコに向けて準備はできている」

 ラリー・スウェーデンの結果、今ラウンドで優勝したオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)がランキング首位に立ったため、トヨタのドライバーは3月16〜19日に行われるラリー・メキシコでのもっとも不利な“掃除役”を免れる。とはいえロバンペラは2番手、エバンスは4番手といずれも早い出走順であることには変わりはない。

 なお、WRCメキシコ初参戦となる勝田は、7番手でグアナファトのステージに臨むことになる。