キャデラックV-LMDh、WEC初陣ではIMSAとの“3台同時走行”が利点に?「ポルシェに対しては競争力がある」
キャデラックはIMSA第2戦のセブリング12時間レースにV-LMDhを2台、WEC第1戦セブリング1000マイルレースに1台をエントリーさせる。
1月に行われたIMSA第1戦のデイトナ24時間で、キャデラックは3位と4位を獲得。バンバーはリチャード・ウエストブルック、アレックス・リンとともにキャデラック・レーシング(チップ・ガナッシ・レーシング)の02号車を走らせ4位となった。
この02号車は今後、WECに2号車として参戦する。
「このマシンでしっかりした24時間レースを経験するのはいいことだと思う」とバンバーは語っている。
「(デイトナが)伝統的なル・マン24時間レースであれば、キャデラックがワン・ツー・フィニッシュを果たしていたと思う。アキュラは2台にオイルの問題が発生していたからね」
「そのアキュラに続き、最後に2台のマシンを並べることができたことは、最初のデモンストレーションとしては良かったと思う」
「正直に言えば、僕らCGRは開発チームなので、セットアップを詰める機会はあまりなく、いつも標準的なセットアップで走っていたんだ」
「IMSAのクルーは先日のテストでとても良い結果を出してくれたので、セブリングではさらに競争力を高めてアキュラに戦いを挑めることを期待している」
「チームが同じレギュレーションでIMSAとWECを戦っているのは良いことだと思う。 僕らは互いに助け合い、プログラム全体を前進させることができる」
「(IMSAには)アクション・エクスプレース・レーシングもいる。彼らも大きな助けになると思う」
2023年は、CGRとポルシェ・ペンスキー・モータースポーツだけが、ウェザーテック選手権とWECの両シリーズに参加する。バンバーはそれがセブリングでのジョイントイベントにおけるアドバンテージにもつながることを期待している。
「ポルシェにも同じことが言えるけど、同じトラックを走っていることで、データを比較し、全体を前進させることができるんだ」とバンバー。
「これは、GMとキャデラックにとってとても興味深いことだ。彼らはECRからエンジンのプログラムを引き継ぎ、他のほとんどのメーカーはすでに経験済みの(LMDh規定に共通の)ハイブリッド・システムも初めて導入した」
「僕らは本当に多くを学んでいるし、そこから得られることはまだたくさんあると思う」
「キャデラックは、大きなレースで勝ちたいという気持ちが強い。彼らは本当にル・マンで勝ちたいと思っているんだ」
■LMDhは「LMP1とはまったく違う、クールなカテゴリー」
バンバーは、キャデラックの2号車によるWECフル参戦は、ドイツに新たな拠点を置くCGRにとって、かなりの挑戦であったと語る。
「全く新しいチームを立ち上げたのだから、チャレンジになるだろうね」と彼は言う。
「チームオーナーとしての視点に立てば、それがいかに大変なことかは分かる」
「パフォーマンス的には、かなりいいものになると思う。ポルシェに対して競争力があることは、もう分かっている。その点では、僕らはかなり強そうだ」
「ただ、LMH(ル・マン・ハイパーカー)とLMDhの間がどうなるかを見なければならない。それが今、両者のパドックに立ちはだかる最大の問題点だろう」
問題点を挙げる一方でバンバーは、LMDhプラットフォームの立ち上げに関わった組織を賞賛し、現在のスポーツカーレースにおいて「僕らが必要とするものに適したカテゴリー」だと述べている。
「ACO(フランス西部自動車クラブ)とIMSAは、デイトナでLMDhをスタートさせるという素晴らしい仕事をしたと言わなければならない」とバンバー。
「このように、4つの異なるメーカーが、同じレギュレーションで、同じダウンフォースウインドウで、同じパワーとウエイトで、BoP(性能調整)なしで、それぞれ異なるマシンを作り、全員がコンマ3から4秒以内に収まっているんだ」
「初開催のレースで、しかも全員がコンマ3、4秒以内というのは、非常に素晴らしい。誰もが簡単に達成できる成果がたくさんある可能性があるという点で、史上初のレースと言える。とても印象的だ」
「レギュレーションがよく、エアロ・ウインドウが小さく、パワーが同じであれば、誰もが同じところに到達できることを証明している。さらなるメーカーがLMDhに参加することがあれば、それも良いことだね」
「これまでのLMP1とはまったく違う、クールなカテゴリーだ。でも、僕らが必要としているものにふさわしいカテゴリーだと思う」
「レースは驚異的だ。ドラフティングもできるし、追い抜きもできる。トラフィックの中でも充分速いし、後ろに大きな乱気流があるわけでもない。本当に良いカテゴリーだと思う」