ゴールドのポルシェ963をJOTAが発表。デリバリー遅れのため第3戦からの参戦を予定
イギリス籍チームであるJOTAは、ロンドンのジョー・マカリ・パフォーマンス・カーズで行われたプレゼンテーションで、38号車ポルシェ963を公開。すでに発表されているとおり、このチームは『ハーツ・チーム・JOTA』のバナーの下、ウィル・スティーブンス、イーフェイ・イェ、そしてポルシェのファクトリードライバーであるアントニオ・フェリックス・ダ・コスタというラインアップで参戦する。
プロジェクトパートナーには、すでにアメリカのレンタカー大手・ハーツ社と、ポルシェのレストア会社であるシンガー社が名を連ねていたが、スーパーボウルで7度の優勝経験を持つブレイディとの提携により、世界で最も知名度の高いスポーツ選手のひとりが加わることになった。
ブレイディのアパレルブランドは、車体後部にロゴが入れられており、チームのオフィシャルアパレルパートナーとなる。
チームは4月下旬に予定されている第3戦スパ6時間レースでこの車両をデビューさせた後、先日エントリーリストが発表された第4戦ル・マン24時間レースに挑む予定だという。
ポルシェは4月末に963をカスタマーにデリバリーする予定としているが、JOTAの共同オーナーであるデビッド・クラークとサム・ヒグネットは、4月29日のシーズン第3戦に参戦すると表明している。
「スパでクルマを走らせるつもりだ」とクラーク。
「スパの後にいくつかのテストを行う予定だが、それはおそらくパフォーマンステストというよりも信頼性テストになるだろう」
「そして、ル・マンに備える。テストはいくらでもできるけど、レースはレース。そこですべてが変わる」
「ポルシェの準備は整っているし、スピードも上がっている。マシンを組み上げるため、我々のスタッフもそこ(ポルシェのファクトリーがあるバイザッハ)にいるんだ」
ヒグネットは、スパでポルシェ963を走らせることで、ル・マン前のテストプログラムだけに集中するよりも「5倍」学ぶことができる、と付け加えた。
「週末3日間のレースは、テストという点では非常に大きな価値がある」と彼は説明する。
「ル・マンまでの時間を考えると、テストに専念するよりも、レースと少しのテストを行うほうがいいんだ。クルマとプロセスの学習速度という点ではね」
「ル・マンに入る前に、スパでスクルーティニアリング(車検)イベントを行う予定だ。最初のル・マンで、車検と勤勉さのレベルを上げるなんて、悪夢でしかない」
「ル・マンではどのような検査を受けるのか、何をしなければならないのか、何を調べられるのか、といったことを事前に経験することができる」
WECとIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権におけるポルシェの初期LMDhカスタマーチームであるJOTA、プロトン・コンペティション、JDCミラー・モータースポーツの3チームは、4月下旬に同様のタイミングでマシンを受け取る予定だ。
「ポルシェはとても親身になってくれている」とクラークは言う。
「他の人たちからたくさんのコメントが寄せられているのは知っているけれど、彼らは僕たちを助けるためにできる限りの努力をしてくれているんだ。悪いことは言えないよ」
■“納車待ち”の間はLMP2に2台目を投入
JOTAは2023年、ポルシェとのハイパーカー・プログラムに加え、LMP2マシン1台でWECにフル参戦する予定だ。
さらに新型ポルシェの引き渡しを待つ間、JOTAはハーツの支援を受け、LMP2クラスに2台目のオレカ07・ギブソンを投入する。この2台目のエントリーは、セブリングでの開幕戦、さらにはポルティマオでの第2戦にも登場するという。
このLMP2の追加エントリーでは、スティーブンスとイェに、ポルシェのフォーミュラEリザーブドライバーであるデビッド・ベックマンがシルバードライバーとして加わり、開幕戦を戦う。
ベックマンとイェはポルティマオでもラインアップに残り、ダ・コスタがスティーブンスに代わってサードシートに座る可能性があるとみられている。
2台のLMP2マシンで参戦する理由について、ヒグネットは次のように語っている。
「商業的な理由もあるし、我々がレースチームであるという事実もある」
「もし、冬の間レースをしていないメンバーがスパに行くなら......我々はフレッシュさを保たなければならない。レースを続けるしかないんだ」