残り20分のクラッシュで首位3台が消える。GTP上位完走は2台、AXRキャデラックが優勝/IMSAセブリング12時間
今季からLMDh車両に切り替わった最高峰GTPクラスでは、レース後半になってアクシデントが相次ぎ、残り20分では多重クラッシュが発生して3台が一気に姿を消すなど、エントリーした8台中、上位で完走したのは優勝車と2位に入った25号車BMW Mハイブリッド V8(BMW Mチーム RLL)のみ。総合3位には、LMP2クラス優勝車両が入る、波乱のレースとなった。
■トップ01号車から出火
WEC世界耐久選手権と併催された今回のセブリング戦は、開幕戦デイトナ24時間に続き『ミシュラン・エンデュランス・カップ』がかけられるイベントとなる。
WECの決勝日である金曜午前中に行われた予選では、31号車キャデラックのデラーニが1分45秒836というタイムでポールポジションを獲得。01号車キャデラック(チップ・ガナッシ・レーシング)のセバスチャン・ブルデーが2番手、3番手には10号車アキュラARX-06(ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポート)のリッキー・テイラー、4番手に6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)が続いた。
18日午前10時10分にスタートした決勝レースは、31号車キャデラックがリードするが、序盤にダブルスティントを行った際にペースが落ちて後退、さらにLMP3車両と接触してダメージを負い、何度かピットで修復を行った結果、クラス最後尾へと回った。
その後は01号車キャデラックがレースをリードし、中盤にはここに10号車アキュラも絡むことに。イエローのたびにギャップがリセットされ接戦が続くなか、後半に入るとサバイバルの様相を呈し始め、まずは24号車BMW Mハイブリッド V8のアウグスト・ファーフスがコース上にマシンを止め、リタイアを喫する。
そして陽が傾いて夜を迎えると、さらなる悲劇が。
まずは首位を走っていた01号車キャデラック。残り3時間目前、ブルデーのドライブ中に火災が発生し、車両後部から白煙を噴きながらピットへと戻ってきてしまう。ブルデーはこの9時間目のリスタートで、デラーニを抜きトップに立っていた。
これによって10号車、60号車(メイヤー・シャンク・レーシング)の順でアキュラ勢のワン・ツーとなるが、残り1時間45分、60号車は左リヤホイールが緩み、大きく後退を強いられてしまう。
残り55分、6号車ポルシェのマシュー・ジャミネはターン14でワイドになった10号車フィリペ・アルバカーキをかわし、31号車エイトケンがピットに入ると、ジャミネが首位へ。その直後にGT車両のストップのためにイエローが導入されると、31号車以外のGTP車両はピットインしフルサービスを行う。
残り30分のリスタートではエイトケン、アルバカーキ、7号車ポルシェのフェリペ・ナッセによる3ワイドの2番手争いが展開されるなか、ジャミネが首位となる。
そして残り20分、ターン1から3でGTクラスの一団に詰まるなか、6号車ポルシェのジャミネに10号車アキュラのアルバカーキが並びかける。しかしGT車両をパスしようとした6号車が左に動いたことで10号車がグリーンに追いやられる形となり、10号車はコントロール不能に。そのままターン3イン側のグリーン上を減速できずに滑っていくと、ターン3を立ちあがろうとしていた6号車に激しくクラッシュした。
さらにそこに差し掛かったポルシェ7号車が10号車に接触、7号車はアウト側のグリーン上に止まった僚友6号車ともクラッシュする形となり、一瞬にしてトップグループを形成していた3台が戦線を離脱することになってしまった。
これによりリードを奪った31号車キャデラックが優勝。2位は25号車BMW Mハイブリッド V8(コナー・デ・フィリッピ/ニック・イェロリー/シェルドン・ファン・デル・リンデ)で、総合3位にはLMP2優勝のタワー・モータースポーツ8号車オレカ(ジョン・ファラノ/スコット・マクラフラン/カイフィン・シンプソン)が入った。
ホイール脱落で順位を下げた60号車アキュラは、総合24位で完走。また、終盤クラッシュしたGTPの3台はチェッカーを受けられなかったが、暫定リザルト上では総合9〜11位に記載されている。
■新型ポルシェ911 GT3 Rが初勝利つかむ
LMP3クラスはライリー74号車リジェJSP320(ガー・ロビンソン/フェリペ・フラガ/ジョシュ・バードン)が制した。
GTDプロクラスを制したのは、パフ・モータースポーツの9号車ポルシェ911 GT3 R(クラウス・バケラー/パトリック・ピレ/ローレンス・ファントール)。開幕戦でBoPに苦しんだポルシェ勢だったが、このレースを前にリストリクター径が拡大されていた。2023年にレースデビューを果たした992型の911 GT3 Rにとって、最初の勝利となった。
2位にはバッサー・サリバンの14号車レクサスRC F GT3(ジャック・ホークスワース/ベン・バーニコート/カイル・カークウッド)。この上位2台は、8時間目にライト・モータースポーツとウインワード・レーシングの接触によるフルコースコーションの直前にタイミング良くピットストップを行い、クラストップに躍り出ていた。
GTDプロの3位にはウェザーテック・レーシングの79号車メルセデスAMG GT3(ダニエル・ジュンカデラ/ジュール・グーノン/マーロ・エンゲル)が入った。
GTDクラスは、BMW M4 GT3のワン・ツーとなった。優勝はポール・ミラー・レーシングの1号車(ブライアン・セラーズ/マディソン・スノー/コーリー・ルイス)。これにターナー・モータースポーツの96号車(パトリック・ギャラガー/ロビー・フォーリー/マイケル・ディナン)が続き、クラス3位にはケリーモス・ウィズ・ライリーの92号車ポルシェが入っている。