初のGRスープラ、初のブリヂストンで挑むDeloitte TOM’Sの笹原右京。2年目のアレジと試行錯誤
2022年まではホンダNSX-GTで戦っていた笹原。参戦メーカーがホンダからトヨタに変わり、富士スピードウェイでGRスープラを走らせるのも今回が初めてだという笹原。彼にとっては初めての経験だらけということで、今も速くマシンを走らせるために試行錯誤の日々が続いているようだ。
「僕自身としては、まずGRスープラとブリヂストンタイヤが初めてなので、それらを学び、もっと理解しながらも、スープラをもう少しうまく走らせる方法などをいろいろと試しています」と笹原。
「自分が今まで他メーカーのクルマに乗っていたので、その違いも含め、テストでいろいろとトライをしている最中で、ここまで自分でも『これをやったらダメかな』や『これをやったら良いかな』というのは、なんとなく理解しつつあるので、ここまで順調にきていると思います」と、ここまでの手応えなどを語ってくれた。
ただ笹原本人として、一番の違いと受け止めているのはクルマというよりも、タイヤだという。
「タイヤの違いが一番大きいですね。今までヨコハマ、ダンロップと経験してきて、今年はブリヂストンなので全然違うという印象です。唯一地面に接している部分ですからね」
「あとは、ダウンフォースの出方や量も含めて、GRスープラとNSX-GTでは違うので、結局はタイヤ、エアロをどうやって活かすかということをうまく見つける必要があります。それは1年を通して、さまざまなコンディションを経験して『こうなんだろうな』ということが分かってくると思います」
前回の岡山公式テストでは、37号車は笹原がロングランを担当することが多かった。チームによってはシーズン中もロングスティントを担当するドライバーを固定しているところもあるが、そのあたりについてはまだ決まっていない様子だ。
「(テストメニューの担当も)その都度、変わっているところもありますし、事前にロングランやショートランの割り振りは決めてきます。岡山ではロングランが比較的多かったですが、今まで僕自身がブリヂストンタイヤのロングランをしたことがないですし、今年は長距離のレースが多くなるので、そこでのいろいろな走らせ方や、燃費の部分などを学んでいるところです」と、開幕に向けて新環境での知見を増やしている最中の笹原。今後の活躍に期待だ。
■新体制にポジティブな印象のアレジ。オフには徹底的な勉強を行う
そんな笹原とコンビを組むアレジだが、ここまでテストをこなしてきて、新体制に対しては“かなりポジティブ”に捉えている様子だった。
「今までテストもいっぱいやってきて、右京(笹原)もスープラにどんどん慣れてきているし、エンジニアとのコミュニケーションもしっかりと取れている。彼は英語も話せるからすごくスムーズに進められていると思うよ」
エンジニアを含めたミーティングでは、英語で会話するときもあれば、ニュアンスによっては日本語を使うケースもあるとのこと。何より、これまで他メーカーでスーパーGTを戦ってきた笹原の経験が、37号車陣営にとってプラスになっているとアレジは語る。
「新しいアイデアや、昨年までのホンダのフィーリングを彼は知っているから、いろいろなインフォーメーションをもらえて、良いところがすごく多い。彼はスーパーGTの経験もあるから、それがチームにとっても良いと思う」
昨年は初めてのGT500クラスで苦戦している部分もあったアレジだが、シーズンオフの間にオンボード映像やデータを徹底的に振り返って勉強してきたとのことだ。
「GT500も2年目で慣れてきたし、良いフィーリングはある。クルマは(36号車から37号車に)変わったけど、そこもしっかりと慣れて、よくなる方向に持っていけていると思うよ。今日のセッションでは、最初こそいろいろとあったけど、最後の方はうまく走れて良いデータもいっぱい取ることができたから良かったよ。今年、頑張ります!」
そう語るアレジの表情をみると、昨年と比べてもピリピリした様子はなく、GT500に慣れつつあるということが、こちらにも伝わってきた。まだまだ課題はあるようだが、シーズン開幕以降も、彼らの進化から目が離せない。