2023年WEC第3戦スパ・フランコルシャン6時間レースで、カスタマー・ポルシェ963をデビューさせたハーツ・チーム・JOTA。ドライバーのウィル・スティーブンスは、LMDh車両での初レースで6位入賞を果たしたことを「極めてポジティブ」だと表現した。

 スティーブンス/イーフェイ・イェ/アントニオ・フェリックス・ダ・コスタのトリオは、スタート時にハーフウエットとなった難しいコンディションのレースにおいて、38号車ポルシェ963で147周を走破した。

 レースのわずか8日前にLMDhの新車を受け取ったばかりにも関わらず、JOTAは重大なトラブルやコース上でのアクシデントに見舞われることはなかった。

 スティーブンスはこの結果を受け、チームか「かなり完璧な」方法で6時間レースを乗り切ったことに満足している、と語った。

「今週は、できる限り多くの周回を重ねるという明確な目標を持ってここに来たんだ」とスティーブンス。

「予選では2、3周を少しプッシュして走り、決勝では最後まで走りきることを目標にした。そして、それを達成したんだ」

「レースの2日前にマシンをロールアウトさせたという事実を、忘れてはいけないと思う。システム面でも信頼性の面でも、正直なところ、ほとんど問題なくレースをこなすことができるのだ」

「これはチームにとって大きな成果であり、彼らの努力の賜物だと思う。それが、この1週間の最大の収穫だ。レースでは初めて、より長い時間、安定したドライビングができた」

「システム面やドライビング面で何を変えられるかを学ぶために、いろいろなことを試しているところだ」

 ダ・コスタはウエットタイヤでレースをスタートしたが、路面が乾き始めるとスリックタイヤを履いたマシンが急速にペースを上げ、結局は間違ったコンパウンドであることが判明した。

「戦略としては、ウエットタイヤでスタートするという安全策をとった」とスティーブンス。

「結果としてはそれは間違った戦略ではあったけど、リスクを冒さずに、より安全なポジションを確保することができたのだから、(同じ状況が訪れても)また同じ決断をするつもりだ」

「これは以前から言っていたことだ。僕らはそれを守り、常に安全な選択肢を取った」

「だから、最終的には1周か2周分の燃料をスプラッシュすることになったんだ。最後のスティントでは、最後まで走りきるために燃料をかなり節約していたんだけどね。もちろん、そのためにかなりゆっくり走ったけれど、それも勉強の一環だ」

「時には燃料を大幅に節約しなければならないし、定められたエネルギー・マイレージと短い給油時間などを達成するために、変更しなければならない多くのシステムチェックがあるんだ」

「だから、正直なところ、レースでは多くのことを経験した。エンジニアリングの観点からも、彼らにとっては新しいことなんだ。だから、みんなを誇りに思う。まだ始まったばかりだ。ゴールまで辿り着けたことは、極めてポジティブだ」

「そして、これからル・マンまでの間に、いくつかのパフォーマンス面の課題に取り組めば、自分たちの位置を確認することができる」

 スティーブンスは、JOTAはまだクルマから引き出すべきものがたくさんあると信じているが、ル・マンが近づくにつれ、それに向けて努力し始めるだろうと締めくくった。

「セットアップの面では、1週間何もしていない」とスティーブンス。

「だから、パフォーマンスを見つけるためにできることはもっとたくさんあるし、気楽にやらなければならない」

「僕らがそこにある課題を認識していることに、疑いの余地はない。 LMDhのレベルに合わせるためのステップは、明らかにそこにあると思う」

「まだ車を学んでいるところだ。そこには多くの可能性があり、それを解き放つ必要がある」

「だけど、ル・マンには参加するためだけに行くわけではないことは明白だ。 僕らは実際にそこに行き、レースをして勝ちたいと思っている」