ミディアムタイヤでポールポジションからスタートしたセルジオ・ペレス(レッドブル)を、ハードタイヤで9番手からスタートしたチームメイトのマックス・フェルスタッペンが逆転して優勝したF1第5戦マイアミGP。レース後、勝敗を分けたポイントがふたりのタイヤ戦略にあったのではないかという声が少なからずあった。

 しかし、レース後の記者会見でふたりはそれを否定した。確かにペレスはスタートで履いたミディアムのペースが思っていたよりも悪かったことは認めている。しかし、それはチームと話し合って納得したうえで採用した戦略だった。

 むしろハードタイヤでスタートするフェルスタッペンのほうがリスクを犯していた。

「もし、1周目に接触とかして、タイヤがパンクなんてしたら、もうそれで作戦は失敗するからね」(フェルスタッペン)

 だから、コース上では土曜日の予選のようなリスクは犯さなかった。フェルスタッペンが1周目の1コーナーでふたつポジションを落としたのも、フェルスタッペンのなかでは想定内だった。なぜなら、フェルスタッペンには、2番手以下にコンマ4秒以上も速いマシンがあったからだ。

「この日のレースで心掛けていたのは、安定したペースで走り、しっかりとタイヤのマネージメントを行うことと、絶対にチームメイトと接触しないこと」(フェルスタッペン)

 一方、ミディアムタイヤに苦しんでいた時点で、ペレスは「この日のレースは厳しくなる」と悟っていた。

 では、なぜミディアムタイヤのペースは予想よりも悪かったのか。ペレスはこう分析する。

「土曜日の夜に激しいにわか雨が降って、路面がグリーンに(真新しく)なったからかもしれない」

 クリスチャン・ホーナー代表も「チェコはスタート後から右フロントタイヤのグレイニングに悩まされていた」と語る。これは路面にラバーが乗っていないときに発生する典型的なタイヤの症状だ。

 ただし、ペレスはこう続ける。

「もしフェルスタッペンと同じタイヤだったとしても、今日のマックスのペースにはかなわなかったと思う」

 だから、ペレスも48周目の1コーナーでフェルスタッペンにアウトからオーバーテイクされたときも、不必要にブロックすることはしなかった。

 キング・オブ・ストリートのペレスにとって、このマイアミ・インターナショナル・オートドロームという市街地コースでの敗戦は、チャンピオンシップを争ううえで、痛い一敗となってしまった。