ポルトガルGP以来、4戦ぶりにマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が復帰を果たす。復帰戦となる今大会について、マルケスは本来の走りを取り戻し、そして試すべき事項に関して取り組むレースウイークだと語った。

 また、マルケスは5月9日に判決が下った、ポルトガルGPでのアクシデントに対するペナルティの適用について意見を述べた。

 マルケスは開幕戦ポルトガルGPの決勝レースでミゲール・オリベイラ(クリプトデータRNF・MotoGPチーム)に接触、転倒し、転倒時に右手親指を骨折した。この負傷により第2戦から第4戦を欠場している。第4戦スペインGPでは復帰の可能性が浮上したが、現地に姿を現したマルケスは囲み取材を行い、「もう一度同じ箇所を負傷する可能性が高く、そうなった場合、キャリアにとって致命的」であるために欠場を決めたと説明した。

 4戦ぶりの復帰となったフランスGPで、マルケスは木曜日の会見に登場した。復帰戦の週末について問われると、「復帰できて本当にうれしいけど、この週末に関してはあまり期待できない」と、現実的な回答をしている。

「ひと月半、バイクに乗っていないからね。だから少しずつ、ペースを取り戻してみるよ。このレースウイークの目標は、MotoGPバイクのペースを取り戻すことだ」

 マルケスは今大会でいくつかのテストを行うと言う。スペインGP後にヘレス・サーキットで行われた1日限りの公式テストは、テスト日数が限られているMotoGPクラスにとって、そしてライバルの後塵を拝している今、パフォーマンスの向上が必要なホンダにとって、重要なテストだった。しかし、スペインGPを欠場したマルケスはこのテストも参加することができなかった。

 そのため、フランスGPのレースウイークでは、カレックスのシャシーなどを走らせる予定だという。ヘレスでの公式テストで、主にステファン・ブラドルがテストしていたシャシーである。

「シーズンの中でも最も重要なテストのひとつであるヘレステストに参加しなかったから、ここではいくつかテストしてみるつもりだ」

「僕がカレックスのシャシーをテストしなければならないというのは必須事項で、僕としてもそれが必要だと思っている。ヘレステストに不参加だったしね。結果を得るためのレースの週末だから、いろいろなものを試すのは最善策とは言えないけど、でもそれを行わないといけないときなんだ。僕が不在の間、彼らが取り組んだことがある。もし天気がよければプラクティス1でテストするよ」

■ポルトガルGPのアクシデントに対して科されたペナルティ
 復帰戦の会見に出席したマルケスに、もうひとつの質問が相次いだ。ポルトガルGPでのアクシデントに対して科されたペナルティについてである。

 状況を時系列で整理しよう。開幕戦ポルトガルGPの決勝レース、3周目の3コーナーでオリベイラに接触、巻き込む形で転倒したマルケスは、「他のライダーを危険にさらす無責任なライディング」だったとして、3月26日、第2戦アルゼンチンGP決勝レースでのダブル・ロングラップ・ペナルティを受けた。しかし、マルケスが右手親指の骨折、手術を受けてアルゼンチンGPを欠場することが発表される。

 3月28日、マルケスが負傷によりアルゼンチンGPを欠場となったことで、「FIM MotoGPスチュワード・パネルの決定意図に沿うよう、ダブル・ロングラップ・ペナルティは、ライダーが参戦可能な次のレースで実施する」と、ペナルティの適用範囲が変更になった。

 これに対し3月29日、レプソル・ホンダ・チームとマルケスはFIM アピール・スチュワードに上訴。FIMアピール・スチュワード・パネルはMotoGPコート・オブ・アピールにこの件を委ねた。そして5月9日、第2戦アルゼンチンGPを欠場したことで、マルケスはペナルティを果たしたと判断された。

 マルケスはこの件に対し、会見でこう回答した。

「僕としては普通のことだよ。僕がペナルティを受けたとき、スチュワードのところに行って、ペナルティを受けることに完全に同意したんだ。僕がひどいミスをしたからだ」

 マルケスはこのとき、ペナルティの適用について確認した、と説明した。MotoGPスチュワード・パネルに「アルゼンチンGPでのペナルティですか?」と聞き、「そうです」と回答されたという。この件については、MotoGPコート・オブ・アピールの判決文にも同様の内容が載っている。

「書類でも話をしたときも、アルゼンチンGPで(ペナルティが科される)ということだった。でもその2日後、誰かわからないけど、それを変えたんだ。それは僕の過失じゃない」

「今後に向けて変わっていっているみたいだけど、それが最善の解決策だとは思わない。ルールが変更されることで、ライダーはさらにリスクを負うことになるだろう。僕の場合、ヘレスで復帰して、ペナルティを消化してピットに戻るということは容易だった。そういうことは避けないといけない。僕は別の案を考える必要があると思う」

 マルケスのポルトガルGPに起因したペナルティについては、これで決着を見た、ということになった。