WEC折れる。安全性を欠くとの指摘が相次ぐタイヤの予熱問題で、ル・マンに限りウォーマー解禁
発電機を使用してタイヤに予め熱を入れておくタイヤウォーマーは、持続可能性を理由に今シーズン開始時に禁止されたが、この措置は一部の競技者から批判を浴びた。とくに外気温が10度に届かなかったスパ・フランコルシャン6時間では、温まっていないタイヤでグリップを得ることができず、その結果複数のマシンがコースアウトする事態が発生した。
WECならびにル・マン24時間レースの共同主催者であるACOフランス西部自動車クラブは11日(木)、オフィシャルサプライヤーのミシュランとグッドイヤーのデータをもとに「詳細な評価」を行った後、タイヤウォーマーをル・マンに限って解禁すると発表した。
ミシュランはハイパーカーとLMGTEアマクラスの全車両にタイヤを提供し、グッドイヤーはLMP2チームと協力している。
ACOの声明によると、この措置により「あらゆる経験レベルの」ドライバーが、トラックの温度が昼と夜で大きく異なる来月の24時間耐久レースにおいて「可能な限り安全な環境で」競争できるようになるという。
「タイヤメーカー、チーム、ドライバーは、2023年のFIA WECの残りのシーズンに向けて、冷たいタイヤをどのように温めるかについて理解を深めるための貴重な時間を得ることができる」と声明は付け加えた。
「タイヤを予熱することからの脱却は、もともとタイヤメーカーと協議して作成された長期的なWECタイヤロードマップの一部として導入されたものであり、過去2年間にわたって共同作業が進められてきた」
また、この声明では、タイヤウォーマーの復活が「一貫性と公平性の観点から」シリーズの全3クラスに適用されることが明記されたほか、ウォーマーを稼働させる燃料にWECの独占サプライヤーであるトタルエナジーズの100パーセント持続可能燃料が用いられることが確認されている。