明暗分かれたトヨタ。ロバンペラが初日首位の一方、僚友エバンスと勝田はデイリタイア/WRCポルトガル
前日11日(木)のシェイクダウンに続いて行われたセレモニアルスタートにより開幕した今季第5戦ラリー・ポルトガル。その競技初日は晴天の下、ドライコンディションでの戦いとなった。
デイ1を総合首位で終えたロバンペラは、乾燥したグラベル(未舗装路)ラリーでは不利とされる早い出走順、僚友エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)に次ぐ2番目だったにもかかわらず、初日に行われた8つのスペシャルステージ(SS)のうち3本のSSでベストタイムをマーク。その内のひとつSS5の終了時点でダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)を逆転して首位に浮上すると、総合2番手に順位を下げたライバルに対して10.8秒のリードを築いてみせた。
前年大会の覇者である“フライング・フィン”は今朝のふたつのステージでは過度のアンダーステアに悩まされていたが、最速タイムを記録したSS3直後のタイヤフィッティングゾーンでセットアップを調整し、午後のステージでのスピードアップにつなげた。
一方、午前中にラリーをリードしたMスポーツのオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)が右フロントタイヤのパンクによって大きくタイムを失った後、新しいラリーリーダーとなったソルドはSS7でオーバーシュートがあり、これによって約10秒を失ってしまう。この時点で首位ロバンペラとのギャップは14.2秒にまで開いたが、一日の最後に行われたスーパーSSでベストタイムを刻み、タイム差を3.4秒縮めている。
ソルドのチームメイトであるティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)は僚友から15.2秒、トップからは26.0秒おくれて総合3番手でラリー初日を終えた。
彼もまたSS8で2番手タイのタイムを記録する速さを見せ、総合5番手で迎えた同ステージでエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)とピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)の両名から表彰台圏内のポジションを奪った。しかし、その差は非常にタイトでありヌービルと4番手ルーベとのギャップはわずか0.9秒。ラッピとも1.3秒しか離れていない。
■2021年大会覇者エバンスがクラッシュ
SS1でステージウインを飾ったルーベは、午前中最後のステージとなったSS3で発煙に見舞われ、あわやリタイアの危機に瀕した。しかしMスポーツはこの問題を解決し、彼は競技を続行することが可能になった。
ルーベは「ステージ終盤、最後の1km手前でクルマが燃え始めた」と当時の状況を振り返り、「今年は運がない。クレイジーだ」と述べた。
午前中にラリーをリードしながらSS4でタイヤのパンクに見舞われ順位を落としたタナクは、総合6番手で初日を走破した。これに続いたのはWRC2勢で、クラストップにつけているオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が総合7番手。以下、ガス・グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2)、ヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)、アンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2)と続くトップ10リザルトとなっている。
一方、チャンピオンシップリーダーとしてポルトガル入りしたトヨタのエバンスは、SS7の13.8km地点での激しいクラッシュによってデイリタイアに。車載映像では事故直後にエンジンルーム付近から炎が上がる様子も見られたが、幸いエバンスとコドライバーのスコット・マーティンはすぐにマシンを降り、両名とも無事が確認されている。
チームメイトの勝田は、SS1の終盤から発生していたオルタネーターの故障によりSS3直前にクルマがシャットダウンしてしまった。このトラブルの影響で競技を続けることが不可能となり無念のデイリタイアを喫した。
13日(土)に行われるデイ2は、ポルト北東に広がるカブレイラ山脈を中心に、3本のステージを日中のサービスを挟んで各2回走行し、一日の最後にウサダのラリークロス・サーキットでスーパーSSが行われる予定だ。全長37.24kmのロングステージ“アマランテ(SS10/13)”を含む計7本のSS合計距離は今大会最長の148.68km。リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は667.88kmとなっている。