5月13日、WRC世界ラリー選手権第5戦『ラリー・ポルトガル』の競技2日目はSS9からSS15、計7本のスペシャルステージ(SS)で争われた。前日午後に総合首位に立ったTOYOTA GAZOO Racing WRTのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が、デイ2でも引き続きトップ維持し後続とのギャップを大きく拡げた。競技初日にマシントラブルからデイリタイアを余儀なくされた勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、このデイ2で再出走を果たし総合36番手となっている。

 昨シーズン、史上最年少22歳でのWRCワールドチャンピオンに輝いた男が、待望のシーズン初優勝の瞬間を手繰り寄せる一日となった。今大会最長の148.68kmで争われたデイ2は朝から好天に恵まれ、ポルト北東に広がるカブレイラ山脈に設定されたグラベル(未舗装路)ステージは終日ドライコンディションが保たれた。

 初日のSS5でダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)をかわして首位に浮上したロバンペラ駆るGRヤリス・ラリー1は、2日目のオープニングステージとなったSS9を皮切りにSS12まで4連続ステージウインを飾り、午後もSS14でベストタイムをマーク。この日行われた7つのSSの内5本で最速タイムを叩き出す速さを見せた。

 その結果、前日最後のステージとなったSS8終了時点では10.8秒だった首位と2位ソルドとのギャップは、SS15終了時には57.5秒にまで拡がることに。最終日に設定されている4つのステージを残してディフェンディングチャンピオンの独走状態となり、今季初優勝に王手をかけている状況だ。

「とてもいい一日だったよ」と、ロバンペラはデイ2を振り返った。

「昨夜クルマのセットアップを少し変えたところ、クルマのフィーリングがさらに良くなったんだ。おかげで純粋にドライビングを楽しむことができるようになった」

「楽に走ることができているので、明日の朝はまずクリーンに走り、最後のパワーステージでは少しチャレンジをしてみるつもりだ」

 総合2番手でデイ2を迎えたソルドは、ロバンペラに離されると同時にチームメイトのエサペッカ・ラッピやティエリー・ヌービル(ともにヒョンデi20 Nラリー1)からプレッシャーを受けることとなった。

 ヒョンデ勢では今朝のSS9“ヴィエイラ・ド・ミーニョ1”を終えた段階で、ラッピが総合5番手から3番手に浮上する。しかし彼は午後になるとペースが落ち、今大会最長ステージのSS13“アマランテ2”で僚友ヌービルに再逆転を許した。

■表彰台争いからルーベが脱落

 一方のソルドは、同ステージと2台同時出走のスーパーSS“ロウサダ・サーキット”の計2本でステージベストをマークしたが、ふたたび総合3番手となったヌービルに対してのギャップは前日の15.2秒から11.1秒に縮まっている。またヌービルと4番手ラッピのタイムも2.3秒と僅差だ。

 そんなヒョンデ勢と表彰台を争っていたMスポーツのピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)は午前中の2本目、SS10“アマランテ1”のフィニッシュ直前のコーナーが連続するセクションで、クルマを山肌にヒットさせてしまう。これによりマシンの右フロント足回りが壊れ無念のリタイアとなった。

 彼のチームメイトであるオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)は総合5番手で競技2日目を終えた。初日午前にはラリーリーダーだったエストニア人はタイヤのパンクにより遅れを取った後、デイ2でも不運なアクシデントに見舞われた。そのひとつがSS13での飛び石によるフロントガラスの損傷。さらにSS15ではハンドブレーキにも不具合が生じていた。これによりトップとの差は2分20秒以上となっている。

 総合6番手以下にはWRC2クラス上位陣が並び、SS15終了段階でオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)を逆転したガス・グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2)がその先頭に位置している。順位をひとつ下げたソルベルグがクラス2番手/総合7番手、アンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2)がこれに続いた。

 競技最終日となる14日(日)のデイ3は、サービスパークが置かれているマトジニョスの北東エリアで4本のSSが行われる。最終パワーステージの舞台にもなる“ファフェ(SS17/19)”はビッグジャンプで知られる、ラリー・ポルトガルの名物ステージだ。4本のステージ合計距離は55.42km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は、335.08kmとなっている。