ジョージ・ラッセルは、今週イモラで行われるF1第6戦エミリア・ロマーニャGPでメルセデスが導入しようとしているアップグレードパッケージについて、メルセデスにとって「世界が変わるわけではない」と牽制した。

 2023年シーズン序盤の苦戦、さらには昨シーズンの不振を経て、メルセデスのエンジニアは包括的なアップグレードプランを作り上げた。これにより、現在のW14が採用しているゼロサイドポッドデザインを離れて、違う方向性に進む可能性が出ている。チーム代表のトト・ウォルフは、極めて重大な意味をもつ今週末のエミリア・ロマーニャGP後、W14に対して段階的な開発と改良を実施し、徐々にパフォーマンスを上げていくことを計画しているという。

 その上で、ラッセルは期待しすぎないようにと釘を刺したが、開発が“正しい方向に進んでいる”ことを確信している。

「イモラは一新する週末となる。マシンに新要素が導入される」とラッセルは最近マイアミで発言している。

「それがよい結果をもたらすことを期待している。僕たちにとって短期的に世界が変わるわけではないが、正しい方向への一歩となるだろう」

「事前の期待感で僕たちが浮かれるわけにはいかない。あくまでもコースに行ってからの話になる。実際にコースに行って、アップグレードのパフォーマンスを見極める必要がある。よいアップグレードであることを祈りたい気持ちだが、金曜日の朝にならないと実際のところがわからない」

 マイアミでウォルフが強調していたのは、今回のアップデートの主眼はマシンを開発していく上での基盤を新たに構築することにあるということだ。またメルセデスのトラックサイドエンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンは、チームがイモラで目指すのは「単なるラップタイムの向上」ではないと断言した。

「速いことを願うのはもちろんだ。予選やレースペースといった意味で性能が向上していることを願う」とショブリンは語った。

「しかし重要なのは、単にラップタイムの向上のみを目指しているわけではないということだ。我々は開発で違う方向性を試そうとしている。長期的にみてレースの確率を上げ、さらには世界選手権制覇に挑める可能性を高めるような方向性だ」

「イモラで導入するパッケージはそうした方向性への第一歩となる。今シーズンの後半でもさらなるアップデートを行っていきたい」