5月11日〜14日にかけて、ポルトガル北部を拠点に開催されたWRC世界ラリー選手権第5戦『ラリー・ポルトガル』は、既報のとおりTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR WRT)のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が待望の今季初勝利を飾り、2022年シーズンのチャンピオンがドライバーズランキング首位に浮上した。史上最年少王者がポディウムの頂点に復帰した今大会を5つの印象的なシーンで振り返る動画“Top 5 Moments”が、WRC公式YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/@wrc)で公開されている。

“Top 5 Moments”とはWRCが公式YouTubeチャンネルで各ラウンドの終了後に投稿している動画で、当該のラリーで起きた5つの印象的なシーンを紹介する内容となっている。

 第5戦ポルトガルを振り返る内容の最初に取り上げられたのは、12日(金)に行われたSS1でMスポーツ・フォードWRTのピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)がステージベストタイムを記録したシーンだ。このステージでルーベは、それまで暫定1番手タイムとなっていたヒョンデ・シェル・モビスWRTのダニ・ソルド(ヒョンデi 20Nラリー1)を0.3秒上回るタイムでフィニッシュ。笑顔でインタビューに応じるルーベの姿が印象的だ。

 続いて選ばれたのは、前戦クロアチアで悲願の勝利を手にしたTGR WRTのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)がSS7でクラッシュを喫したシーン。チャンピオンシップリーダーとしてポルトガルに挑んだエバンスは、SS3では3番手タイムを記録するなど順調にラリーを進めSS6終了時点では総合6位につけていたが、SS7で激しくクラッシュ。車載カメラの映像にはエンジンルームから出火する様子が映し出されたが、エバンスとコドライバーのスコット・マーティンはすぐにマシンから脱出し、後の検査においても両名に怪我がないことが確認されている。

『SOLBERG’S HEARTBREAK』という見出しが付けられた3つめの動画は、最終ステージまでもつれ込んだWRC2クラスのトップ争いを紹介するものだ。シュコダ・ファビアRSラリー2を駆るオリバー・ソルベルグはデイ2終了時点でWRC2クラスをリードしていたが、この日最後のステージSS15終了後に受けたペナルティによって順位を失ってしまう。翌日ソルベルグは猛チャージをかけ、最終ステージひとつ前のSS18終了時点では、彼に代わってWRC2クラスをリーダーとなったガス・グリーンスミス(トクスポーツWRT/シュコダ・ファビアRSラリー2)に対して8.7秒差に迫った。

 迎えた最終ステージ。先にスタートしたソルベルグがWRC2クラストップタイムを記録。フィニッシュしたソルベルグがモニターを見つめるなかで、グリーンスミスはソルベルグから遅れること7.5秒でフィニッシュ。クルマにダメージを負いパワーステアリングが効かないなか見事、リードを守ることに成功した。グリーンスミスのタイムを見たソルベルグは悔しさをあらわにしたが、グリーンスミスが近寄ると抱き合い、互いの健闘を讃えた。

 続く4つめの動画はヒョンデ・シェル・モビスWRTのダニ・ソルド(ヒョンデi 20Nラリー1)が、4月に急逝したクレイグ・ブリーンに捧ぐべく2位表彰台を獲得したシーンだ。フィニッシュした直後、ソルドは車載カメラに向かって「クレイグ、これは君のものだ。そばにいてくれて僕を限界までプッシュさせてくれた。ありがとう」と呼びかけ、亡きチームメイトへの感謝を述べた。

 最後に紹介された動画には昨年、シリーズ史上最年少22歳でワールドチャンピオンに輝いたロバンペラが今季初優勝を飾ったシーンが選ばれている。フィニッシュ直後の車内ではロバンペラ、ハルットゥネンの両名ともに落ち着いた様子を見せたが、マシンを降りると喜びを爆発させた。映像にはチームスタッフとともに喜ぶヤリ-マティ・ラトバラTGR WRT代表の姿も映し出されている。

■Top 5 Moments | WRC Vodafone Rally de Portugal 2023https://youtu.be/M5yXPefb_3U