第107回インディ500のプラクティス初日は、雨天ですべてのスケジュールがキャンセルとなり、翌日の5月17日の走行が実質上のプラクティス初日となった。

 午前10時からインスタレーションラップを行った後、ルーキー・オリエンテーション・プログラム(ROP)のセッションがあり、その後12時から18時まで6時間のプラクティスセッションが設けられた。

 今年は黒いデロイトカラーを基調にホワイトとグリーンのカラーとなったカーナンバー11、佐藤琢磨のマシン。ようやくこのマシンでスーパースピードウェイを走る時が来た。インスタレーションを終えていたため、コースインした後は、まずは周回を重ねる。

 アベレージスピードで時速220マイルを越えたあたりで、一度ガレージに戻ってマシンを修正する。その後コースに戻って周回するものの、220mph以上のスピードにはならず足踏み状態が続いた。



 トップのチームメイト、スコット・ディクソンはわずか4周目に229mph台に突入し、驚速のスピードで他を圧倒し存在感をアピールしていた。それに対して琢磨のポジションは27〜28番手前後となり、足踏み状態が続いていた。

「オープンテストの続きをやるようなプログラムでしたが、試したセッティングが両刃の剣と言うか、良い所もあるけど、悪い部分も出てきてしまって、それをどうしようか少し考えていました。ちょっと不具合の出た部分もあったし……」と走り始めは決して順調でないことを明かした。

 14時を過ぎた頃からは、アレックス・パロウ、マーカス・エリクソンとの3台でグループランを開始。3台がポジションを変えながら一緒に走り、それぞれの状況でマシンのフィーリングを確認する。

「ダウンフォースのバランスの問題で2番目にいれば前のクルマを抜きやすいんだけど、3番目にいるとなかなか抜けない。みんな、そのあたりが課題だったんですが、パロウとずっと一緒に走っている時に少しヒントをもらって、マシンを修正したら良くなっていきましたね」

 グループランの後、再びガレージでマシンを修正して、16時を過ぎるハッピーアワーの時間帯に合流すると、琢磨は前のマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)を追いかけながら、229.439mphをマークしてトップに浮上した。

 この直後にエリクソンもP4に上がって来て、チップ・ガナッシ・レーシングは琢磨、ディクソン、パロウ、エリクソンの順で1-2-3-4を形成した。

「最後の修正でマシンはだいぶ良くなりました。でもまだ気になる部分もあったんですが、今日はそこまで行かずに切り上げました」

「タイヤは4セット使っています。金曜日に雨予報も出ているので、木曜日には少し早めに予選シミュレーションをするかもしれませんが、まずは今日の続きをしながら確認していくことになると思います」と琢磨。

 P1をマークするとすべてが順調に進んでいるように錯覚するが、プラクティス開始後の足踏み状態は、まわりをヤキモキさせた。だがプラクティス終盤にはそれを修正して上位にタイムアップしたのだから、チップ・ガナッシの総合力の賜物のだろう。



 思い返すと、琢磨は昨年もプラクティス初日総合でトップタイムをマークしている。小さなデイル・コインのチームがトップタイムを出したことによって賞賛を浴びたが、今年はチップ・ガナッシというチームの存在もあり、もう琢磨がトップタイムをマークをしても誰も驚かなくなった。

 マシンを降りると隣のピットのディクソンに積極的に話しかけに行ったり、琢磨もチームのひとりとして献身的な姿勢を見せている。

 4台の総合力で今日も安定した力をアピールした琢磨とチップ・ガナッシ。プラクティス走行3日目はどんなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。