5月20日、2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の公式予選が行われ、ランキング4位につける坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)が参戦5年目にして初のポールポジションを獲得した。セクター3で速さを見せたリアム・ローソン(TEAM MUGEN)がオートポリス初走行ながら2番手に入り、坪井のチームメイトの阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)が3番手となった。

 舞台を九州に移し、シーズン中盤戦に突入したスーパーフォーミュラは、ランキングトップを走る野尻智紀(TEAM MUGEN)が体調不良により急遽欠場し、代役に大津弘樹が抜擢されるなど、予選前からあわただしい空気に。午前中のフリー走行はまだところどころにウエットパッチが残る状況だったが、昼には上空の雲も消え、路面も完全に回復。気温23度、路面温度は30度超えというコンディションで公式予選は開始を迎えた。

 Q1のA組は小高一斗(KONDO RACING)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)、ローソン、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM'S)、阪口、ラウル・ハイマン(B-Max Racing Team)、ジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)が出走。

 ほぼ全車がセッション開始と同時にコースに入ろうとしたが、その先頭に並んでいた平川が第1ピットレーン上でエンジンストール。メカニックの手で自ピットまで戻されるというハプニングでA組のセッションが始まった。平川は大きなマシントラブルということではなかったが、コース状況のチェックには進まず、ピット前でアタック用の新品タイヤに交換した上でコースインのタイミングを図る。

 一方、真っ先にアタックに入ったのは宮田で、1分26秒359がターゲットタイムに。小林、山本、小高と次々にコントロールラインを通過していくが、宮田を上回るドライバーは現れない。その後、ローソン、牧野、阪口が1分26秒台に入るが宮田のタイムを破ることができず、セッションは終了。

 宮田がトップタイムでQ1を突破し、以下、ローソン、牧野、阪口、平川、小高までの6名がQ2へ進出。山本は小高とわずか0.05秒差の7番手でQ1敗退。小林、大嶋、ブリュックバシェ、ハイマンがQ1で予選を終えることとなった。

 Q1のB組は大津弘樹(TEAM MUGEN)、山下健太(KONDO RACING)、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、福住仁嶺(ThreeBond Racing)、国本雄資(Kids com Team KCMG)、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、ジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM'S)、坪井、松下信治(B-Max Racing Team)、大湯都史樹(TGM Grand Prix)、佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)が出走。

 各車がコースチェックを済ませ、再びコースに入ってタイヤをウォームアップ、アタックに入ろうかというところで、代役参戦の大津が100Rでリヤを滑らしスピン。タイヤバリアにヒットしてしまう。このアクシデントによりセッションは残り時間が1分を切ったところで赤旗中断となり、アタックに入っていたほかのドライバーも仕切り直しとなってしまう。

 残り時間が3分間に延長され、15時2分にセッション再開となった。ほとんどのマシンがタイヤを履き替えずにアタックに向かう中、坪井は4本とも新品タイヤを投入。これが功を奏したか、坪井は1分27秒027をマークしてトップでQ2進出を決めた。

 坪井に続いたのは先頭でコースインしクリアラップをとれた山下で、1分27秒125をマーク。これに関口、松下、福住、佐藤と続き、ここまでがQ2へ進出し、大湯、国本、アレジ、太田、そして赤旗原因車両となった大津の5名がここで予選を終えることとなった。

 Q2は、福住がまずアタックに入り、1分26秒508がターゲットタイムに。これを宮田が1分26秒480で破り、宮田が初優勝に続き初ポールポジションを獲得するかと思われたが、これを上回ったのが坪井。セクター2で全体のベストタイムをたたき出すと、1分26秒187と、宮田のタイムを約0.3秒上回って見せタイミングモニターのトップにおどり出た。

 続く関口、佐藤は1分27秒台にとどまり上位進出はならず。阪口が1分26秒474を記録して坪井に続き、P.MU/CERUMO・INGINGが1−2体制を築くが、そこに割って入ったのがローソンだった。オートポリスはこの週末が初走行となるローソンだが、Q1を2番手で通過し驚きの適応能力を披露。続くQ2でも、Q1での自己ベストを更新し1分26秒361をマークして阪口を上回った。

 最後は小高のアタックとなったが、小高は100Rでスピンを喫しタイヤバリアにヒット。すでにチェッカーフラッグは振られており他車のアタックに影響はなかったが、小高はアタックの計測ができず、Q2最下位に。これで全車のアタックが終了し、坪井のスーパーフォーミュラ初ポールポジションが決定。2番手はローソン、3番手に阪口と続いた。阪口は2021年の第4戦SUGO大会以来となる自己ベストタイグリッド獲得となった。

 第4戦オートポリス、41周の決勝レースは21日15時にスタートを迎える。ポイントリーダー野尻不在の一戦となるなか、どのようなレースが繰り広げられるだろうか。