静岡県の富士スピードウェイで5月27日にスタートしたENEOS スーパー耐久シリーズ2023第2戦『NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース』は、決勝スタートから16時間が経過し、DAISHIN MPRacing GT-R GT3(JOE SHINDO/藤波清斗/青木孝行/大八木信行/坂口夏月)が総合トップを走行している。

 レーススタートから8時間が経過した時点では、フルコースイエロー(FCY)とセーフティカー(SC)がともに1度の導入と落ち着いたレースになっていた2023年の富士24時間。しかし、その後の深夜帯に時間がさらに進むと、レースは荒れ模様となっていった。

 HELM MOTORSPORTS GTR GT3が首位、中升 ROOKIE AMG GT3が2番手に続いていたST-Xクラスは、その後も2台の争いが続いていたが、レーススタートから9時間を迎えようとした23時55分にST-4クラスのシェイドレーシング GR86がGRスープラコーナー立ち上がりで車両火災に見舞われSCが導入される。

 ホームストレートからも確認できるほど大きな火柱が上がったシェイドレーシング GR86。ドライバーの安否も心配されたが、ステアリングを握っていた山田真之亮はマシンを脱出しており無事が確認された。なお、車両火災の原因は動物との接触が影響しているとのことで、コカ・コーラコーナーで動物と接触してしまったシェイドレーシング GR86は、ストップすることなく走行していたものの、セクター3に入ったあたりでマシンのフロントから火災が発生し、GRスープラコーナーで車両を止めた際に炎上してしまったようだ。

 このSC導入は30分ほど続いたため、このタイミングで10分間のメンテナンスタイムを実施するチームも多く見られた。そしてマシン回収および処理完了後の0時33分にレースは再開を迎え、FCY〜SC中のピットインで首位に浮上したのは中升 ROOKIE AMGとなり、2番手にHELM GTRが続き、その背後にはこちらもFCY〜SC中のピットで差を詰めたDAISHIN MPRacing GT-R GT3が迫る。

 トップをいく中升 ROOKIE AMGは平良響が好ペースを披露して単独走行を行うが、2番手争いはHELM GTRとDAISHIN MPRacing GT-Rが1秒以内のテール・トゥ・ノーズバトルを繰り広げ、DAISHIN MPRacing GT-Rの坂口夏月がHELM GTRのショウン・トンをかわして順位を上げる。

 335周目に中升 ROOKIE AMGの平良がピットに向かい片岡龍也に交代すると、代わってDAISHIN MPRacing GT-Rがトップに立ち、2番手にHELM GTRが続く展開に。しかし、首位浮上のDAISHIN MPRacing GT-RにはFCY中のピットインが判定され、ペナルティストップ60秒が宣告されてしまう。これでHELM GTRがまたしてもトップに立つことになったが、そのHELM GTRは右ブレーキローターが割れてしまうトラブルが発生し、緊急ピットインを余儀なくされる。

 HELM MOTORSPORTSのメカニックは7分ほどの作業でブレーキローターを交換してマシンをコースに送り出すも、この間に中升 ROOKIE AMG、DAISHIN MPRacing GT-Rの先行を許し、4周遅れの3番手に後退してしまう。

 その後もFCY導入こそあったものの、大きなアクシデントなくレースは進んでいた。しかしトップが390周を越えようとした3時30分過ぎ、ST-4クラスのトップを走行していたTOM'S SPIRIT GR86がダンロップコーナーのイン側ガードレールにクラッシュしてしまいSC導入となる。このSC導入を見た10台ほどの車両がピットに入りメンテナンスタイムを消化していく。

 TOM'S SPIRIT GR86のドライバーである松井孝允は自力でマシンから降りて無事だが、クラッシュの影響でガードレールの修復が必要となり、SC導入中の3時37分に赤旗が提示されてレースは一時中断となる。各車はホームストレートおよびピットレーンにマシンを一度止めてレース再開を待つことに。

 およそ1時間の中断後、ガードレールの交換も完了し、日の出を迎えた5時にレースはSC先導での再スタートを迎えた。この再開時にST-Xの3番手につけるHELM GTRはピットに向かい再度ブレーキローターの交換を行う。SCは3周を走行してピットに戻り、レースは残り9時間50分で再開された。

 しかしその再スタートで片岡の駆る中升 ROOKIE AMGはファーストセーフティカーライン前にセーフティカーを追い越したとのことで、まさかのドライビングスルーペナルティを科されてしまう。これで2番手のDAISHIN MPRacing GT-Rが1周遅れから1分差の同一周回に差を縮める。

 そしてレース再開から1時間30分、藤波清斗がステアリングを握るDAISHIN MPRacing GT-Rは鵜飼龍太の中升 ROOKIE AMG GT3を捉え、444周目のホームストレートで一気にパス。黄色とオレンジのニッサンGT-RニスモGT3が総合トップに立って16時間経過となる7時を迎えた。

 GT4規定車両が争うST-Zは序盤から好走をみせる埼玉トヨペット GB GR Supra GT4が2番手に1周の差をつけて首位を走行。その2番手争いはraffinee 日産メカニックチャレンジZ GT4とPorsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CSが同一周回で争う展開が展開が続いている。

 自動車メーカーの開発車両が争うST-QはレーススタートからニッサンZ・レーシングコンセプトがST-Zに迫る総合8番手の速さを披露し、ほぼノートラブルで16時間を走行し続ける。

 ORC ROOKIE GR86 CNF ConceptとTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptは今回の同一周回での争いとなり、16時間時点ではGR86が先行している。また、初の液体水素デビューとなるORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptはレース途中で車体側のポンプ交換を行うため長時間のピットストップを強いられていたものの、それ以外ではこちらも初となるピットレーンでの“給水素”を行うなど、順調に走行中だ。

 そしてTeam HRCのホンダ・シビック・タイプR・CNF-R、MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptはともにガレージでの作業を行う場面があったものの、作業完了後はコースに復帰している。

 ST-1はレース序盤から速さを披露するシンティアム アップル KTMがD'station Vantage GT8Rに2周差をつけて総合6番手でクラストップを走行。ST-2は序盤首位を走行していた新菱オートDIXCEL夢住まい館エボ10が夜間走行中にガレージで作業を行い後退、代わってKTMS GR YARISが先行した。

 ST-3はポールスタートの15号車岡部自動車フェアレディZ34が夜間走行中の接触によりマシンのフロント部分にダメージを負ってしまったため、僚友の16号車岡部自動車フェアレディZ34がクラス首位に立っている。

 ST-4は序盤トップを走行していたTOM'S SPIRIT GR86がクラッシュしてしまったこともあり、代わって全薬工業 G/MOTION'GR86が首位に。ST-5は8時間経過時と変わらずDIXCELアラゴスタNOPROデミオがトップを走行するが、2番手にSC中のピットインとメンテナンスタイム消化でポジションを上げてきたOHLINS Roadster NATSが1周差で続いている。