ル・マン24時間レースでフロイド・ヴァンウォール・レーシングチームのラインアップから外されたジャック・ビルヌーブがこの件について声明を発表し、今季のWEC世界耐久選手権の残りのラウンドでも、同チームのマシンをドライブしないことを明らかにした。

 バイコレスがオペレートするヴァンウォール・チームは先週、1997年のF1チャンピオンの代わりにトリスタン・ボティエをハイパーカーのクルーとして迎え入れ、6月10〜11日に行われるル・マン24時間レースで走らせると発表していた。

■「僕はチームから公式な連絡を受け取っていない」
 ビルヌーブは5月31日に発表した自身の声明の中で、6日前に公表されて初めて知ったこの決定に「深く失望している」と述べた。

 カナダ人のビルヌーブは、セブリング、ポルティマオ、スパ・フランコルシャンでのWEC開幕3戦で、バイコレス製のヴァンウォール・バンダーベル680をドライブした。

 ル・マンでは、トム・ディルマン、エステバン・グエリエリのふたりに、2021年のセブリング12時間レースの勝者であるボティエが加わることになる。

「2023年5月25日にヴァンウォール・レーシング・チーム・バイコレスが発表したリリースによって、来るル・マン24時間レースでの自分の後任を知り、深く失望している」とビルヌーブは声明で述べている。

「今日まで、僕はチームから公式な連絡を受け取っておらず、僕がまだル・マン24時間レースへの参加契約を結んでいることを考えると、なおさら驚くべきことだ」

「リリースのタイミングは、奇しくも5月26日に予定されていた娘の出産のために僕が病院に到着する間際と重なった」

「バイコレスはこの個人的な家族の出来事をよく知っており、僕はこの突然の発表に反応することも、対処することもできない」

「レーシングファミリーとして、僕ら(家族)は常に私生活とプロフェッショナルなキャリアをうまく両立させてきた」

 ビルヌーブは、ル・マンへの準備は「綿密でよく組織されたもの」だったと付け加えた。52歳の彼は、プジョー908 HDi FAPで総合2位となった2008年以来となるル・マン参戦に向け、準備を進めてきていたのだ。

「この特別な挑戦のために、肉体的にも精神的にも最高の準備をするために、相当な時間と労力を費やした」と、彼の声明は続いている。

「インディ500、インディカー、F1世界選手権を制したことに続き、ル・マン24時間レースは僕にとって特別な意味を持つものだ」

「したがって、不当かつ恣意的に参戦機会が奪われたことに、深く落胆している」

 ビルヌーブは、ル・マンの次のWECのイベントとなるモンツァ6時間レースの暫定エントリーリストに名を連ねているが、ヴァンウォール・チームのドライバーとしては出場しない。

「このような状況の下、僕はバイコレスとともにWECの残りのシーズンに参戦することを断念すると決定した」と彼は認めている。

「その代わりに、プロとして成功し、充実した2024年のレースシーズンに向けて準備することにフォーカスし、エネルギーを割くつもりだ」