WEC世界耐久選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、6月7日(水)から11日(日)にかけてフランス、ル・マンで開催される第91回ル・マン24時間レースに、2台のトヨタGR010ハイブリッドで挑む。シリーズの序盤3戦と同様に、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組が7号車を、ル・マンとシリーズのディフェンディングチャンピオンであるセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組が8号車のステアリングを握る。

 100周年を迎えた今年のル・マンでは、フェラーリ、プジョー、キャデラック、そして、ポルシェといった耐久レースの歴史で数々の伝説を打ち立ててきたメーカーが、トヨタとともに最高峰カテゴリーでバトルを繰り広げることになる。

 現在5連覇中の日本メーカーが目指すのはもちろん大会6連覇だ。過去にル・マンで6連覇を成し遂げたのは、1960年から65年にかけて連勝を飾ったフェラーリ、1981年から87年にかけて無類の強さを誇ったポルシェの2メーカーのみとなっている。

 TGRは3月にアメリカ、セブリングで開幕した2023年シーズンのWECで、現在3連勝中。ル・マンの“前哨戦”に位置づけられる前戦のスパ・フランコルシャンでは、同ラウンドで2勝目を挙げた7号車と第2戦ポルティマオを制した8号車によるワン・ツー・フィニッシュを果たした。6月10〜11日に決勝レースが行われる24時間レースでは獲得ポイントが通常の2倍となるため、WECのシリーズチャンピオンを狙ううえでは非常に重要なラウンドとなる。

 トヨタのハイパーカーである『GR010ハイブリッド』は2021年のデビュー以来、絶えず進化を続けてきた。この2023年シーズンに向けても、エアロダイナミクスなどの細かな変更により、ドライバビリティと空力の安定性向上が図られている。

 これらの車両改良点はすでに開幕3戦で検証され、3連勝という結果により成果が示されているが、ル・マンでのパフォーマンスは4日(日)に行われるテストデーでの走行で初めて確認されることとなる。ル・マンのレースウイークは2度のプラクティスとその間に行われる予選が行われる来週7日(水)からスタートする。翌8日(木)には予選トップ8タイムを記録した車両が進出するハイパーポールが実施され、このセッションで今大会のポールポジションが決定する。

 木曜日にさらに2度のプラクティスを走った車両は、決勝に向けた整備のため9日(金)にチームによって組み直されることとなる。24時間の決勝レースは10日(土)の16時、日本時間23時にスタートが切られる予定だ。

■平川亮「今年はさらに良い状態でレースを戦えると思います」

■【ドライバーコメント】7号車トヨタGR010ハイブリッド
●小林可夢偉(チーム代表兼ドライバー)
「ル・マンは我々にとってシーズンのハイライトであり、もっとも勝ちたいレースです。この1年、日本の東富士研究所とドイツ・ケルンのメンバー、そして、すべてのサプライヤー様とパートナーの皆さまが一丸となって、ル・マンへ向けた準備をしてきました。トヨタ自動車とGAZOO Racing Companyの皆さまをはじめとした、サポートをしてくれるすべての方々のおかげで、今季ここまで開幕3連勝を飾ることができ、本当に感謝しています」

「これら勝利のおかげで我々は現時点ではランキングトップにいますが、ここまでの3戦の結果は、ル・マンを戦う上では大きな意味を持ちません。戦いはつねに激しさを増しているので、初心に立ち返り、クルマを完璧に準備するため、最善の車両セットアップを見出し、もう一度、素晴らしいチームスピリットを発揮する必要があります。ル・マンではさまざまなことが起こり得るので、あらゆることに備えなくてはなりません。この偉大なレースの100周年記念となる今大会は、非常に多くのファンの皆さまとともに楽しめる、本当に特別なレースになると思いますし、待ちきれません」

●マイク・コンウェイ
「ル・マンは偉大なレ−スであり、誰もが勝利を望んでいる。7号車はここ数年、ル・マンでつねに勝利を争う位置にいながら、何度も勝利を逃してきた。しかし、それこそがル・マンの本質であり、勝つのが本当に難しいレースなんだ。今年もふたたび勝つための要素はすべて揃っていると思っているし、トップ争いができる力があるということもわかっている」

「チーム全体にとって大きなチャレンジになるだろう。毎年タフで大変なレースウイークになるが、目の前のやるべきことがわかっている。このチームはル・マンでの勝ち方を知っているし、必ずまた勝つつもりで挑戦するよ」

●ホセ-マリア・ロペス
「このル・マンをずっと楽しみにしてきた。このような歴史的なイベントに、このチームで参加できることを嬉しく思う。レース自体も、コースもとても大好きだ。我々のGR010ハイブリッドでル・マンを走るのは最高の体験で、このクルマがル・マンのために生み出されたということを実感できる」

「今年は100周年記念大会というだけでなく、多くの伝統あるマニュファクチャラー間の戦いになるということもあり、30万人ものファンの皆さまが集まると聞いている。それもよくわかりますし、僕自身も本当に楽しみにしている。トップ争いができるよう頑張るしよ。もちろん目標は勝利のみだ」

■【ドライバーコメント】8号車トヨタGR010ハイブリッド
●セバスチャン・ブエミ
「あの独特の雰囲気と歴史を持つル・マンで戦うというのは、いつだってエキサイティングなことだが、今年はさらに特別だ。ル・マンは究極の耐久テストであり、中でも特別な大会となる今年、ドライバーとして参加できるのは光栄なことだ。僕にとって、今大会はTGRとの12回目の挑戦になる。その間ずっと、僕たちはともに素晴らしい経験と、多くの感動を味わってきた」

「とくにル・マンでは2012年にすべてが始まった。当時は後に4度もル・マンで勝てるとは夢にも思っていなかたったし、こんなに長くチームとともに戦い続けているとは想像もできなかった。今年の大会では強力なライバルからの挑戦を受けることになるため、これまでに培ってきた経験を総動員する必要があるが、良い戦いができる自信はあるよ」

●ブレンドン・ハートレー
「100周年記念大会という歴史に残る本当に特別なレースのグリッドに並ぶことができるというのは、とても光栄なことだ。ル・マンはいつも大変な挑戦になるが、今年は多くのハイパーカーが参戦してくるので、例年以上に厳しい戦いになるだろうね。僕たちはシーズン開幕から3連勝を果たしているけれど、ライバルチームは着実に実力を高めてきているし、我々と同様に、彼らもル・マンへ向けて大変な努力をしているはずだ」

「それだけに、激戦になるだろうことは予想できる。だからミスは許されない。ファンの皆にとっては素晴らしいイベントになると思うけど、チームやドライバーにとっては多くのハードワークが待っています。とは言え、僕自身はル・マンが待ちきれないんだ」

●平川亮
「昨年は、ル・マンでの勝利という夢が叶った、信じられない瞬間となりました。ル・マンのレースウイークは、コース上でもそれ以外の場所でも全開を強いられ、つねにベストを尽くすためにエネルギーが必要な、大変な1週間でしたが、あれからセバスチャンとブレンドンとチームの一員として1年をともに戦ってきたことで、今は全く問題なく、落ち着いて臨めるようになってきました」

「ル・マンで何を期待され、どう準備すれば良いのかもわかっているので、今年はさらに良い状態でレースを戦えると思います。我々のGR010ハイブリッドの競争力は証明されていますし、チームは耐久レースでの経験も豊富です。自信はありますが、クルマをもっと良くするため、つねに努力を続けていきます」