6月7日、WEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間耐久レースが開催されているサルト・サーキット内に設けられているNASCARブースで、TOYOTA GAZOO RacingのWECチーム代表であり、ドライバーとしても参戦している小林可夢偉が、8月13日にインディアナポリスのロードコースで開催されるトヨタ・カムリTRDでNASCARカップ・シリーズにスポット参戦すると発表した。

 F1はもちろん、スーパーフォーミュラ、そしてWEC、IMSAと世界中でさまざまなキャリアを積み重ねてきた可夢偉が、アメリカで新たな挑戦に臨むことになった。北米で高い人気を誇るアメリカ最高峰のレースシリーズとも言える、NASCARカップ・シリーズにスポット参戦することになった。

 100周年となる今回のル・マン24時間には、NASCARマシンをガレージ56枠でスポット参戦させるユニークな試みが行われており、サルト・サーキット内にはNASCARのブースが設けられているが、このなかで可夢偉の参戦が発表された。

 舞台となるのは、インディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースで8月13日に開催される『ベライゾン200・アット・ジ・ブリックヤード』。可夢偉はかのバスケットボールの神様マイケル・ジョーダンが所有する23XIレーシングのトヨタ・カムリTRDをドライブする。カラーリングはトヨタ・ジュニュインパーツで、カーナンバーは67。可夢偉によればこれはジョーダンにちなむ番号だという。

「NASCARは日本やヨーロッパと比べても、モータースポーツの文化として異なっていますが、ドライバーとしては、アメリカンドリームとも言えるレースです」と可夢偉。

「ここ数年、幸運なことにIMSAでレースをすることができていましたが、アメリカはレースの形は違えど、技術レベルは非常に高いレベルにあると思っています。TRD USA、そして北米トヨタ、TOYOTA GAZOO Racingからこのような機会をいただき、本当に感謝しています」

「トヨタは長年NASCARに参戦してきましたが、カップシリーズでトヨタとレースを戦った日本人ドライバーは他にいないと思っています。この機会をとても誇りに思います」

 会場で可夢偉に聞くと、もともと可夢偉からアプローチを行っていたプロジェクトで、シミュレーターまではドライブしていたのだという。さまざまな紆余曲折を経てのプロジェクト実現となったが「当たり前に日本人がアメリカのレースにいられるような世界を作っていけたらな、と思っています」と可夢偉。アメリカでの新たな挑戦となりそうで、まずはル・マンに集中した後、さまざまな準備を進めていくという。

 また、TRD USAの社長を務めるデイビッド・ウイルソンは「可夢偉が我々のカップシリーズのプログラムに参加したいと考えてくれたことは本当に光栄だ。そしてパートナーである23XIレーシングと協力し、ロードコース用に競争力あるカムリTRDを用意できることに興奮している」

 可夢偉の言葉にもあるとおり、今までNASCARに挑戦した日本人ドライバーはこれまでもおり、福山英朗がウィンストンカップにスポット参戦した実績があるが、カップシリーズを日本車で戦う日本人ドライバーが現れることは、非常に貴重な機会と言えるだろう。