トヨタに勝つことは「非常に難しい」とフェラーリ499P陣営「唯一のチャンスはここで雨が降ること」/WEC富士
6月の第4戦ル・マン24時間レースでトヨタの6連覇を阻んだフェラーリ499Pは、7月の第5戦モンツァではトヨタに次ぐ2位となり、ハイパーカー世界ドライバーズ選手権タイトルの獲得へ向けては、ランキング3位と厳しい状況に直面している。
■最終戦の最終ラップでタイトル争いに残ることが“夢”
フェラーリはモンツァでのトヨタの勝利後、メディアの質問に応じなかったが、これはハイパーカーのBoP(性能調整)に不満があったためと見られている。
フェラーリのグローバル耐久レース責任者であるアントネッロ・コレッタは、LMDhとLMHのプラットフォーム間で調整する可能性を除いて最終3レースで固定されるBoPについて、富士では特に言及しなかった。しかし、ドライコンディションになった場合、BoPが課題になると予想していることは認めている。
9月8日金曜日のフリープラクティス2は雨に降られることなく行われ、トヨタはセバスチャン・ブエミと小林可夢偉によるワン・ツーでセッションを終えた。富士は歴史的にみてもトヨタにとって有利なサーキットであり、日本のサーキットで開催された近代WECの9戦のうち、1戦を除きすべてトヨタが勝利している。
「モンツァでは(優勝争いをする)チャンスがなかったし、ここでも困難だろう」とコレッタは語っている。
「だが、我々には目標があり、価値観は変わる可能性がある。通常の状態では非常に難しいと思う」
「いつものようにトヨタが優勝候補だと考えている。我々としてはとしては最速であることを目標にはしているが、正直に言うと、それはとても難しいだろう」
「我々の夢は、最終戦の最終ラップで(タイトル争いに)残ることだ。でも、それが可能かどうかは分からない」
彼はさらに続ける。
「おそらく唯一のチャンスはここで雨が降ることだろう。(最終戦の)バーレーンにおいては、それはとても複雑だと思う」
「率直に言って、我々の夢はタイトル争いに可能性を残したままバーレーンに向かうことだ。先のことは分からないが、ここ富士では良いレースができればと願っている。そしてバーレーンでどうなるか、だ」
「ここでチャンピオシップが終わるような状況になれば、バーレーンはただの中東での“ホリデーレース”になってしまう。全7戦中の6レース終了時点でワールドチャンピオンが決まってしまうとしたら、そこで我々にいくつかの問題を解決する必要があるのは明らかだ」
ジェームス・カラド/アレッサンドロ・ピエール・グイディ、アントニオ・ジョビナッツィのフェラーリ最上位クルーは、チャンピオンシップをリードするトヨタ8号車のラインアップから23ポイント差につけている。
「ル・マンを除けば、すべてのメーカーが首位に立つチャンスがあったことは明らかだ」とコレッタは付け加えた。
「他のレースはまったく違っていた。最初の3レースはトヨタが勝った。ル・マンでは我々が勝った。そしてまたトヨタが勝った」
「おそらく、我々はコンセプトを熟考する必要があるだろう。初年度は我々全員にとってまったく新しいものであるのが普通だろう。メーカーにとっても、連盟にとっても、プロモーターにとってもね」
「だが、2024年には他のメーカーも参入してくるし、戦いは非常にハイレベルなものになるだろうから、我々は一貫性を保つ必要がある」
「チャンピオンシップにとって最高の見せ場は、優勝を狙えるライバルがどんどん増えて、非常に強力な戦いになることだ」
ハイパーカーのライバルたちに対してトヨタが優位に立っている点のひとつは、ミシュランのスリックタイヤを履いたダブルスティントにおけるペースの安定性だ。
前回のレースでアントニオ・フォコ、ニクラス・ニールセンと50号車フェラーリ499Pをシェアして2位になったミゲル・モリーナは、「(モンツァでは)それを補おうとしていた」と評価した。
「レース序盤は彼らに追いつき、前に出ようと毎回プッシュしていた。タイヤマネジメントがうまくいかず、それに苦しんでいた」
「でも最終的には、このクルマを導入した最初の年だということ、そしてセットアップやその他に探求すべきことがたくさんあるということを肝に銘じておく必要がある」
「それもゲームの一部だ。最終的に、僕らはタイトル争いに残っているけれど、やるべきことはたくさんあるんだ」