トヨタ、苦手ギリシャで1-2達成。選手権のリードを拡大「どれだけいい仕事をしたかを示す結果」/WRC
競技3日目にサスペンショントラブルに見舞われ、このデイ4で戦線に復帰したセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合10位でラリーを完走。TGR WRCチャレンジプログラムにより4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1で今大会に挑んだ勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は、総合6位入賞を果たした。
■とっておきは最後に披露
伝統のアクロポリス・ラリーの競技最終日は、ラミアのサービスパークを起点に、北西のエリアで計3本のステージを走行するかたちで争われた。そのうちの後半ふたつのステージSS14/15“グラムメニ”が、当初予定していた距離から約10km短縮されたこともあり、この日のSS合計距離は41.37kmと短いものに。それでも、週の前半に降った大雨によって路面が非常に荒れている区間も多く、決して油断のできない一日となった。
首位を争うライバルたちが相次いで脱落した、前日のデイ3で総合トップに立ったロバンペラは、総合2番手につけるダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)との間に2分以上のギャップがあることから、最終日の前半2本のSSではペースをかなり抑えての走行に徹する。
対してパワーステージに設定されている最終SS15では猛プッシュの走りを披露。今大会8本目のステージウインを飾り、ボーナスの5ポイントも追加獲得する完全勝利で2023年シーズン3勝目をマークしている。
■2022年大会の借りを返す
一方、デイ3を総合2番手と5秒差の3番手で終えたエバンスは、オープニングのSS13で2番手を争うソルドを9秒上回るベストタイムを記録し、総合2番手に順位を上げる。直後のSS14ではライバルがベストタイムで応戦。これによりエバンスと3番手ソルドのタイム差は4.0秒から2.7秒に縮まった。
迎えた最終パワーステージでもライバルが好走をみせるなか、エバンスはそれを上回るステージ2番手タイムでフィニッシュ。ボーナスの4ポイントを獲得しつつ、総合2位表彰台を獲得した。
この結果TGR-WRTは総合順位とパワーステージの両方でワン・ツーを記録し、2022年に表彰台を逃したギリシャの地で雪辱を果たすことに成功するとともに、チームはマニュファクチャラー選手権におけるリードを91ポイントに拡大している。
ドライバー選手権では首位ロバンペラが、ランキング2位のエバンスに対するリードを戦前の25ポイントから33ポイントに拡げ、エバンスもランキング3位につけるティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)との差を33ポイントに拡大している。
■ドライバーとチームがコンディションの変化にうまく対応
9日(土)の競技3日目に総合首位に立ちながらもタイヤとサスペンションのダメージによりデイリタイアとなったオジエは、デイ4で再出走を果たした後、総合10位で波乱のラリーを走破した。
また、同じくデイ3で2度のパンクに見舞われた勝田は、タイヤの交換作業により多くのタイムを失ったが、それでも総合6位でラリーをフィニッシュし、前年に続いてドライバー選手権ポイントを獲得した。
「ラリーとパワーステージの両方でワン・ツーを達成することができて素晴らしい気分だ」と語るのは、TGR-WRTスポーティングディレクターのカイ・リンドストローム。
「今週はレッキ中にコンディションが大きく変化したため、非常にタフな一週間になった。選手たちは路面コンディションの変化に対応しなければならなかったし、チームもそのようなコンディションでクルマの性能を発揮させるためにうまく適応する必要があった」
リンドストロームは、昨年から続けられてきたチームの努力がワン・ツーという最良の結果をもたらしたと述べた。
「1年前のギリシャではがっかりさせられたし、やるべきことが多くあることも分かっていた。今年の序盤戦のメキシコでもすでに、改善が進んだことによる成果が見えたが、今回の結果はチームがどれだけいい仕事をしたかを示すものだ」
「カッレ(・ロバンペラ)は大会中、誰よりもスマートに戦い、プッシュできるところと、気をつけなければならないところを見極めていた。また、エルフィン(・エバンス)も本当に素晴らしいパフォーマンスを発揮した。いくつか問題に直面したものの慌てることなく走り続け、それが最後に実を結んだのだ」
WRCの次戦は、9月29日(金)から10月1日(日)にかけて、南米のチリで開催される第11戦『ラリー・チリ・ビオビオ』。2019年の初開催以来、2回目のWRC開催となるイベントは、チリ中南部ビオビオ州の州都コンセプシオンを起点に、森林地帯に設定される中高速のグラベルステージがSSの大部分を占める。TGR-WRTは前回大会で優勝しており、大会2連覇を目指して臨むこととなる。