珍しいトヨタの選択ミス「見込みが甘かった」。タイヤトラブルで後退も「チャンスはまだある」/WRCチリ
チームメイトであるカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合5番手、今季5度目のワークス参戦となっている勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合6番手だ。
29日(金)に開幕したラリー・チリのデイ2は、サービスパークの南側エリアに設定された3本のステージを各2回走行するかたちで争われた。計6本のSS合計距離154.0kmは今大会最長。ステージの路面コンディションは前日と変わらず全体的にドライとなったが、グラベル(未舗装路)路面の特徴は大きく異なり、タイヤに厳しい路面コンディションのステージが続いた。
午前中の3ステージ(SS7〜9)に向けて、全車がソフトコンパウンド・タイヤを選択したTGR-WRT勢は、ここで苦戦を強いられることになる。デイ1で首位オット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)から12.7秒、総合2番手につけるテーム・スニネン(ヒョンデi20 Nラリー1)とは8.5秒差の総合3番手につけたエバンスは、デイ2のオープニングとなったSS7で3番手タイムを記録し、スニネンを抜いて総合2番手に順位を上げた。
しかし2番手で迎えたSS9の終盤、それまで好ペースだったエバンスのスピードががくんと落ちる。厳しい路面コンディションにリヤタイヤ2本が悲鳴をあげたのだ。この影響で大幅なタイムロスを喫した彼は総合4番手に後退。午後のステージでは他のドライバーたちと同じようにハードタイヤで走行し、ステージ2、3番手のタイムを記録して巻き返しを図ったが、順位の挽回はならず。総合3番手に浮上したティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)と10.7秒差の総合4番手で、長い一日を終えることとなった。
「午前中はタイヤの摩耗が激しいことはわかっていたが、これほど厳しいとは予想していなかった」とデイ2を振り返ったエバンス。
「午後は少し遅れを取り戻すことができたし、表彰台を争うチャンスはまだある。走行距離はそれほど多く残っていないが、もちろんベストを尽くして戦うつもりだ」
■ラトバラ代表「ステージの荒れ具合には誰もが驚いたと思う」
総合5番手で競技2日目を迎えたロバンペラは、デイ2オープニングのSS7でベストタイムを記録して総合4番手に浮上した。しかし、エバンスと同じようにタイヤの摩耗が予想以上に進み、続くSS8で5番手に逆戻り。続くSS9でも完全摩耗によってスピードを発揮できず大きくタイムを失った。午後の再走ステージでは1本目のSS10でベストタイムを刻んだものの順位は変わらず、総合5番手でデイ2を走破した。
デイ1で総合6番手につけた勝田は、出走順が3番手とやや不利な条件での走行となり、またチームメイトと同様にタイヤの摩耗に苦労しながらも、総合6番手のポジションを守りデイ3に駒を進めている。
「我々にとっては厳しい一日だった。多くのデータに基づいてタイヤを選択しているが、今回に関しては残念ながら路面コンディションの見込みが甘かったと言える」と語るのはチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラ。
「ステージの荒れ具合には誰もが驚いたと思う。それでも、今年はこれまで70回以上もタイヤ選択を行ってきて、そのほとんどが成功していた。今日はそれがうまくいかなかったので、そこから学び今後に向けて正しい計算を行う必要があると考えている」
「今日の午後、エルフィン(・エバンス)はティエリー(・ヌービル)といい戦いをした。だから、新しいステージが控えている明日は、挽回して表彰台を獲得してもらいたいと思っている」
その競技最終日は、サービスパークの東側エリアに設定された2本の新ステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行する。最終SS16は、ステージトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスポイントが付与されるパワーステージだ。SS13〜16の合計距離は54.12km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は198.91kmとなっている。