2023年ポストシーズン最終ステージとなる“チャンピオンシップ4”進出権を賭けたNASCARカップシリーズ第35戦『エクスフィニティ500』は、グリッド前方を埋め尽くしたトヨタ・カムリ艦隊に対抗したライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が今季3勝目、カップ最短オーバルのマーティンスヴィル・スピードウェイでの初優勝を達成する結果に。

 ウイナーから4.149秒差の3位となったデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)は惜しくもここで敗退が決まり、すでに“ラウンド・オブ8”で勝利を挙げているカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)とクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)に続き、この日曜をハンドリングの悪いマシンと一日中格闘したウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が13位に滑り込み、なんとか最終ステージ進出最後のひと枠を手にしている。

 昨季は“壁走り”で話題を集めた0.526マイルの超低速ショートオーバルで迎えた“ラウンド・オブ8”の最終3戦目は、本来は超高速トラックを得意とするカムリ勢がポストシーズンの好調を維持して速さを披露。FPはハムリンが先行すると、予選では僚友タイ・ギブスを退けたマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)がポールウイナーに輝き、レギュラーシーズン王者の意地を見せる。

 日曜の500周勝負でもポールポジションから最初の47周をリードしたトゥルーエクスJr.にハムリンやギブス、さらにベルらが並ぶJGR陣営のレースが続くなか、ステージ1はハムリンが制覇していく。同じく最終ステージ進出へ望みを賭けたトゥルーエクスJr.だったが、ステージ2中盤の219周目にピットロード出口のスピード違反でペナルティを受け、トラフィックからの挽回が難しい状況に追い込まれてしまう。

「暑くて汚れたトラックとダーティエアのなかでは、タイヤがさらにひどく焼けてしまう。よりラバーインしたラインで走りたいが、そこではただドッグファイトを強いられる状況だった」とターン1を回り込んだ先、最前列のボックスからわずかな距離のドラッグレースで速度超過を犯してしまったレギュラーシーズン王者。

 一方、前週ホームステッドでのクラッシュはパワーステアリングの故障によるものと判明し、カットオフより17ポイント低いところでレースに臨むなど大きな損害を被ったハムリンは、今週末レースハイの156周をリードしたにも関わらず、323周目のターン2で発生したマイケル・マクドウェル(フロントロウ・モータースポーツ/フォード・マスタング)のクラッシュによるコーションでピットへ向かうと、ステイアウトした10台を最後まで掻き分ける展開となる。

■478周目に首位浮上したブレイニーが通算10勝目を挙げる
 最終的に3位でフィニッシュしたものの「先週のパワーステアリングの機械的トラブルが、僕らの運命を決定づけた」と今季終戦の要因を振り返った。

「今日、本当に必要なときに速いマシンが来てくれて、おそらく50ポイント半ばが獲得できる1日を過ごせた。改めて“フェデックス・トヨタ”のチーム全員を本当に誇りに思う。彼らは素晴らしかった、本当に素晴らしかったよ」とハムリン。

「残念だが、この“ラウンド・オブ8”では一瞬たりとも不調に陥ることは許されず、1戦でも悪い週を過ごすなんてあり得ないんだ。残念なことに、機械の故障により非常に良好な走行状態でも一瞬で30位まで転落する。それで“おしまい”さ。」

「今日は12号車(ブレイニー)がベストカーだったし、勝ち残った4台全員におめでとうを言いたい。素晴らしいことになるだろうけど、残念だが僕らはそこに参加していない。でも今日のパフォーマンスには満足だ。本当にカムリはオールラウンドなクルマになった」

 そうハムリンに賞賛されたブレイニーは、序盤からJGR艦隊に勝負を挑む筆頭対抗馬として立ちはだかると、ステージ2ではハムリンを降して勝利を飾り、最終ステージでも11号車カムリとコンタクト上等のバトルを繰り広げる。

 背後のハムリンと同じタイミングでニュータイヤに換装したブレイニーの12号車は、ここから500周中478周目に今季限りでSHRからの離脱を表明したアリック・アルミローラ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)を抜き去り首位浮上に成功。そのまま22周を走破し、最終的に145周のリードラップを刻んでのトップチェッカーを受けた。

「非常に強力なプレーオフをまとめたように感じているし、とくにこの“ラウンド・オブ8”では全体で良い成績を収めることができたね」とラスベガスで6位、前戦ホームステッドで2位、そして今回キャリア通算10勝目を挙げ、自身初の“チャンピオンシップ4”進出を決めたブレイニー。

「ああ、もちろんこの取り組み全体を本当に誇りに思っている。残念ながら今回はRP(代表のロジャー・ペンスキー)はここには来れなかったが、彼が見守ってくれていたことは知っている。僕はここからそれほど遠くないハイポイントで育ったし、本当にクールだ。カップでここを制覇できて最高だし、来週フェニックスに行くのが待ち切れないね!」

 併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第32戦『デッド・オン・ツールズ250』は、ジャスティン・オルゲイアー(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)がシェルドン・クリード(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)を僅差で打ち負かし今季4勝目、キャリア通算23勝目を獲得。最後の最後でエクスフィニティの“チャンピオンシップ4”進出権を手にしている。